新型肺炎 病院も態勢整える

新型肺炎 病院も態勢整える
中国で新型のコロナウイルスの感染が拡大していることを受けて、現地の日本人を帰国させるためのチャーター機が29日午前中にも羽田空港に到着する見通しです。感染が疑われる人などがいた場合、受け入れる可能性のある都内の病院は態勢を整え備えています。
東京都は帰国した日本人の中に感染が疑われる人がいた場合、感染症治療のための専用の施設がある都立駒込病院、都立墨東病院、荏原病院、豊島病院の4つの病院で受け入れることにしています。

このうち、東京 大田区にある公社病院、荏原病院では感染が疑われる人を受け入れる場合は、救急外来用の入り口から入ってもらい、救急用の診察室1室を専用に使うということです。

また、感染症専用の独立した換気システムでウイルスが流出しない「陰圧室」を11用意して、防護服を来た医師や看護師が対応するということです。

荏原病院感染症内科の中村ふくみ医師は「ふだんから態勢を整えているので通常行っている感染症対策を徹底して受け入れられるようにしたい」と話していました。

指定感染症の受け入れ先となる病院は

一方、新型のコロナウイルスが指定感染症に指定される来月7日以降は、全国にある感染症治療のための専用の施設を有する医療機関が受け入れ先になるとみられています。

千葉大医学部附属病院

その1つ千葉市の千葉大学医学部附属病院は感染の疑いがある人や感染が確認された人が来院した場合、ほかの外来患者と接触しないで診察室へ入り、検査など受けられるように通路や部屋が分けられています。

また対応する医師は感染を防ぐためキャップやゴーグル高性能のマスクそれに長袖のガウンと手袋をつけて診察に当たることにしています。

そして入院する患者のために空気を外にもらさない特別な仕組みになっている感染症病床が5つあり、ベットのほかシャワー室やトイレなども部屋の中に設けられています。

この病院では、現状は十分対応できると考えていますが、今後、患者が急激に増えるようなことがあればさらなる対応を迫られる可能性もあるとしています。

千葉大学医学部附属病院 猪狩英俊感染制御部長は「この2週間ほどの患者の発生動向を見ると、今の病床数で対応できると思う。ただし、ウイルスが強毒化した場合などは状況が変わるので、行政と相談しながら対応を考えないといけない。中国では新しい治療薬による治験が始まっているので、患者の治療に有効だと分かった場合には、実施への手続きも行いたい」と話していました。

また、状況が日々変化していることから1週間ほど前から毎日医師や医療スタッフが集まってミーティングを行い、新型のコロナウイルスに関する最新の情報を共有しています。

28日は、中国 武漢から日本人を乗せて帰国するチャーター機が羽田空港に到着する見通しとなったことが報告されたほか、仮に受け入れた患者が重症化した場合、ICUや麻酔科などと連携して対応する方法について話し合われました。

今月31日にも、職員全員を対象に患者の受け入れ態勢の説明や、感染を防ぐ方法などを周知する勉強会を開くことにしています。

猪狩部長は「きょうは中国からの帰国者がどの空港に着くかが大きな話題となった。ある程度、不確定な情報でも全体で共有することで今後の動きに生きてくると思う」と話していました。

過去の指定感染症 国内で感染者の確認なし

指定感染症にはこれまでに平成15年に重症急性呼吸器症侯群「SARS(サーズ)」、平成18年に「H5N1型」、平成25年にH7N9型の鳥インフルエンザ、それに平成26年に中東呼吸器症候群「MERS(マーズ)」が指定されていますが、国立感染症研究所によりますといずれも国内で感染者が確認されたという記録はありません。