保存中の缶詰 確認してみませんか

保存中の缶詰 確認してみませんか
長期保存ができて災害時には強い味方にもなってくれる缶詰。備蓄をしているという方も多いのではないでしょうか。でも、思わぬことになっていないか、いま一度、確認したほうがいいかもしれません。(佐賀放送局記者 小柳貴彦/ネットワーク報道部記者 目見田健 秋元宏美)

桃の缶詰が…

先日、ツイッターに、このような投稿がありました。これには、「缶詰が爆発するなんて知らなかった。怖い」とか「保存している缶詰を確認しよう」といった反応がネット上で見られました。この投稿とは別に実際に缶詰の破裂を経験した女性に話を聞くことができました。

まったく気づかなかった

去年11月のある日、キッチンのかごが汚れているのに気づき、中の缶詰を調べてみると開口部分が破裂して中身が飛び出していました。しかも、黄色だったはずの中身は真っ黒になっていたそうです。期限切れの缶詰は速やかに処分するよう呼びかけているこの女性。当時のことを、こう振り返りました。

「音も臭いもしなかったので、缶詰が破裂したことにまったく気づきませんでした」

缶詰は賞味期限内に

破裂した缶詰をネットに公開している生活協同組合もありました。コープこうべです。缶詰の破裂に関する問い合わせを受けて、破裂のメカニズムを紹介するとともに、長期保存された場合にまれに起こる現象だと説明。賞味期限内では、このような現象は起きないので、期限内に食べるよう呼びかけています。

缶詰破裂 件数は?

缶詰の破裂。消費者庁に相談が寄せられていました。相談件数は、2011年から去年までの9年間で合わせて20件以上。さほど多くありませんが、缶詰の中身は、あんずやみかん、トマト、パン、さらにはドッグフードなどさまざまな種類にわたっていました。

また、保管していた缶詰が気づいたら破裂していたというケースだけでなく、缶詰を開封した直後に中身が飛び散ったというケースもあったということです。

さらに、国民生活センターにも同様の相談が寄せられていて、「災害に備えて買っていた備蓄用の缶詰が破裂していた」という相談もあったということです。

缶詰は本当に破裂するの?

そこで「日本缶詰びん詰レトルト食品協会」の専務理事、土橋芳和さんにうかがいました。「缶詰は破裂するんですか?」と聞くと、極めてまれなことだと前置きをしながらも、「破裂する。業界の常識です」との答え。

破裂のメカニズムは?

では、どうやって破裂するのか、そのメカニズムを詳しく聞きました。破裂には、おおまかに分けて2種類あると言います。
(1)肉や魚が腐って微生物が繁殖しガスを出して膨張し破裂。
(2)缶の鉄と中身の果物に含まれる酸が化学反応を起こし水素ガスが発生して破裂。
ほとんどが(2)のケースだということで、土橋さんはこう解説します。

「温度が高く(保管する)時間が長ければ長いほど化学反応は起きやすくなる」

膨張した時はどうすればいい?

では、はからずも賞味期限がすぎ、缶詰が膨らんで今にも破裂しそうになった時はどうすればいいのでしょうか?
土橋さん
「基本的には、開けて中身は捨てる。金属が溶けているためおなかが弱い人はおなかを壊す可能性もあるため食べない方がいいです」

「処理する場合は、安全な場所、例えば、庭に穴を掘ってそこに缶詰を置き上からぞうきんやタオルで覆って、キリなどで缶に穴を開ける。ガスが抜けたら中身を捨てる。普通に空けたら中身が飛び散るので注意してほしい」

賞味期限を忘れないために

ただ、保管している缶詰の賞味期限って、あまり把握していないですよね。もっと言うと、災害に備えて備蓄している食品についても同じではないでしょうか。
地域で防災活動の中心を担う防災士を養成する団体、日本防災士機構の担当者も、こう話します。
「万が一の備えとして保存していたものの、気づいた頃には期限が切れているものは、長期保存が可能な飲料水や缶詰などの食品が多いですね」
では、期限切れにならないようにするには、どうすべきか。この担当者からは、季節ごとに年4回、それが厳しいようなら最低でも年2回は点検するようアドバイスをもらいました。やっぱり、定期的に確認するしかないようです。

さらに、▽車のトランクには食品や水を備蓄しない(夏場高温になるため)▽複数の場所にわけて備蓄する(倉庫など1か所にまとめて備蓄すると倉庫が被害を受けた際に備蓄品が使えなくなる)ことなども大事だということです。

これらを踏まえたうえで、日本防災士機構の担当者は、こう話しました。
「自分の住む町ではどのような災害が発生するリスクがあるのかを知り、ライフラインがすべて停止した場合でも1週間以上は生活できるよう備えをしておくことが重要です」
缶詰をはじめとする食品が災害時に強い味方になってくれるよう、期限の確認といった取り組みを、常に心がけたいと思います。