トランプ大統領の弾劾裁判始まる

トランプ大統領の弾劾裁判始まる
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ウクライナ疑惑をめぐり、アメリカのトランプ大統領を罷免するかどうかを決める弾劾裁判が日本時間の22日未明に始まりました。野党・民主党が「権力乱用」と「議会妨害」があったと主張しているのに対し、トランプ大統領側は真っ向から争う構えで、激しい攻防が繰り広げられることになりそうです。
ウクライナ疑惑をめぐりトランプ大統領は、みずからの政治的利益のためにウクライナに圧力をかけた「権力乱用」と、議会による調査を妨害した「議会妨害」があったとして、先月、野党・民主党が多数派の議会下院で弾劾訴追されました。

これを受けて21日午後、日本時間の22日午前3時すぎ、議会上院で大統領を罷免するかどうかを決める弾劾裁判の審理が始まりました。

初日は弾劾裁判の進め方に関する決議案の審理が行われ、トランプ大統領の弁護団を率いるホワイトハウスのシポローネ法律顧問は「唯一の結論は、大統領は何も悪いことをしていないということだ」と述べ、真っ向から争う構えを示しました。

これに対して弾劾裁判で検察官役を務める民主党のシフ下院議員は「国民は公正な裁判を求めている」と述べ、共和党側が否定的な姿勢を見せている証人の召喚について、公正な裁判のためには必要だと訴えました。

決議案が可決されれば、検察側と弁護側はそれぞれ合計24時間をかけて「冒頭陳述」を行うことになります。

審理に先立ってトランプ大統領は訪問先のスイスで21日、弾劾裁判について「何年も続いている魔女狩りで、恥ずかしいことだ」と非難しました。

さらに審理が始まったあと、ツイッターに「記録を読め!」と投稿し、ウクライナの大統領との電話記録をすでに公表しているとして、潔白を改めてアピールしました。

アメリカの大統領が弾劾裁判にかけられるのは史上3人目で、議会上院を舞台に秋の大統領選挙もにらんだ与野党の激しい攻防が繰り広げられることになりそうです。

裁判の手続きは…

アメリカの大統領が弾劾裁判にかけられるのは1868年のジョンソン大統領、1999年のクリントン大統領に続いてトランプ大統領で史上3人目です。

裁判ではまず今後の進め方について審理したあと、検察側、弁護側双方が冒頭陳述を行う見通しで、それぞれに2日間、合わせて24時間が配分されています。

その後、行われる質疑について、アメリカのメディアは書面のやり取りが中心になるという見通しを伝えています。

この審理の結果を受けて、陪審員役の上院議員が「権力乱用」と「議会妨害」それぞれについて「有罪」「無罪」を採決することになります。

そして出席議員の3分の2以上が「有罪」に賛成した場合、トランプ大統領は罷免されることになります。

罷免の可能性は低いか

弾劾裁判が開かれる議会上院では与党・共和党が多数を占め、大きな造反の動きは出ていないため、大統領が罷免される可能性は低いと見られています。

このためトランプ大統領としては、共和党の協力で無罪を勝ち取るだけでなく、野党・民主党が党利党略で不正行為をねつ造したと主張し、ことし秋の大統領選挙に向けて民主党に政治的打撃を与えたい考えです。

審理を前に、トランプ大統領の弁護団は書面を提出し、問題とされた大統領の言動に法的な問題はなく、「権力乱用」や「議会妨害」には該当しないとしたうえで、一連の弾劾手続きは民主党の政治的な動機によるもので無効だとして、無罪を主張しています。

一方、民主党は裁判でボルトン前大統領補佐官やホワイトハウスのマルバニー首席補佐官代行ら大統領の元側近や現職の幹部を証人に呼び、トランプ大統領に不利な証言を引き出したい考えです。証人を呼ぶためには上院で過半数の賛成が必要で、100議席のうち53議席を占める共和党から4人が賛成に回れば実現することになります。

共和党側は証人の召喚には応じず裁判を迅速に終わらせる構えですが、民主党は共和党の議員を1人でも多く切り崩して弾劾の賛成票を増やし、大統領に不適格だという印象を強調したい狙いです。

一方、弾劾裁判は民主党の大統領選挙に向けた候補者選びに影響を与える可能性も指摘されています。民主党の候補者選びの幕開けとなるアイオワ州の党員集会まで2週間を切る中、各候補は繰り返しアイオワ州に選挙運動に入り、支持を訴えています。

しかし、上院議員のサンダース氏、ウォーレン氏、それにクロブシャー氏は審理への出席を求められ、裁判が行われる日中の選挙運動はできなくなります。

トランプ政権の高官は「2週間以上続く可能性は低い」という見通しを示していますが、1999年のクリントン元大統領の弾劾裁判では、審理はおよそ5週間にわたっていて、裁判の期間も注目点となります。

また、有力候補のバイデン前副大統領は、ウクライナ疑惑を巡ってトランプ大統領と共和党から息子の不正があったと追及されていて、裁判でこうした主張が繰り返されれば打撃を受けるおそれもあり、裁判では大統領選挙をにらんだ政治的な駆け引きが激しくなることも予想されます。