雪不足のなか 伝統の「むこ投げ」行われる

雪不足のなか 伝統の「むこ投げ」行われる
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全国的な暖冬による雪不足は、新潟県の伝統行事にも影響がおよびました。全国有数の豪雪地帯の新潟県十日町市に伝わる、新婚の男性を雪の斜面に放り投げる伝統行事「むこ投げ」は、場所を移動して行われました。
「婿投げ」は、十日町市松之山地区に300年ほど前から伝わる伝統行事です。

地元の女性が別の地区の男性を婿に迎えて結婚した腹いせに、地域の男性たちがその婿を雪の上に放り投げたのが始まりといわれ、豪雪地帯ならではの行事として知られています。現在では、新婚夫婦を祝う行事として、毎年行われています。

しかし、ことしは開催に必要な雪が不足し、新潟県によりますと、開催日にあたる15日の積雪は、この25年間の平均の1割にも満たない、16センチで、開催が危ぶまれました。
そこで地元の人たちが、地区の小学校の屋根などに残っていた雪をかき集め、例年よりも100メートルほど場所を移動し、広さおよそ100平方メートル、雪の深さが40センチの会場を作りました。

実行委員会によりますと、雪不足で会場を変更したのは初めてではないかということです。
15日は、2組の夫婦が参加しました。地元の人たちに担ぎ上げられた婿が、高さ5メートルほどの高台から雪の斜面に1人ずつ放り投げられました。
下で見守っていた妻は、斜面を転がる婿を受け止め、雪をやさしく払っていました。

地元から参加した高橋友浩さんは、「みんなが会場を整備をしてくれたおかげでけがなく終えることができてうれしいです」と話していました。
妻の亜里紗さんは「一時は、開催できないのではないかと心配しましたが地域の皆さんのおかげで開催することができて本当によかったです」と話していました。

「むこ投げ」とは

「むこ投げ」は、十日町市で新婚夫婦を祝う行事として、毎年行われています。前の年に結婚した新婚の婿が、地元の人たちや親戚などに担がれて、5メートルほどの高台にまで連れて行かれると、掛け声とともに放り投げられます。

婿は下で待つ妻のもとへ雪の斜面を転がっていきます。むこ投げのあとは、どんど焼きで出た灰と雪を混ぜてすみを作り、参加者の顔に塗る「すみ塗り」も行われ、無病息災を願います。

ことしは30トン超の雪を搬入

実行委員を務める地元の人たちは会場に合わせて30トン以上の雪を搬入しました。その中で、雪の少なさを嘆く声も上がっています。
実行委員の小野塚賢さんは、かつて「婿投げ」で投げられ、祝福された経験があることから、本番の2日前から雪の搬入作業の指揮をとり、会場の整備に追われていました。

小野塚さんは「無事に終えることができ、伝統をつなげてよかった。来年はもっと雪が降ってくれたらうれしいです」と話していました。

当日は雨

ひと晩で1メートルほどの雪が降ることもある十日町市松之山地区。

しかし、15日も雪が降ることはなく、日中の最高気温は8度と、3月上旬から下旬並みの暖かさとなりました。雪が一部溶ける部分もありましたが、100平方メートルの斜面に厚さ40センチの雪を用意し、開催にこぎ着けました。

過去の積雪量は…

全国有数の豪雪地帯として知られる十日町市松之山地区ですが、ことしは記録的に雪が少ない状況です。新潟県によりますと、過去5年間の1月15日時点での十日町市松之山の積雪量は下記のとおりです。
2015年 322センチ
2016年 81センチ
2017年 204センチ
2018年 160センチ
2019年 139センチ
2020年 16センチ

気象台によりますと、新潟県内では気温が高い状況が続いていて、16ある観測点のうち1センチ以上の積雪があるのが、15日の時点でわずか2地点にとどまっています。

気象台は、雪が少ない傾向は、今後も続くとしています。