成田空港検疫所「発熱やせきは申し出て」水際での対策強化

成田空港検疫所「発熱やせきは申し出て」水際での対策強化
中国の湖北省武漢に渡航していた男性から新型のコロナウイルスが検出されたことを受けて、成田空港の検疫所は水際での対策を強化しています。
厚生労働省によりますと、新型のコロナウイルスが確認されたのは神奈川県に住む30代の男性で、武漢に渡航していた今月3日に発熱の症状を訴え、6日に日本に帰国したあと医療機関を受診し、入院しました。

感染症の防止対策を水際で担う成田空港検疫所は武漢からの便が到着する国際線のロビーなどで警戒を強化し、発熱やせきなどの症状がある人は申し出るよう呼びかけています。

また体の表面の温度を示すサーモグラフィーによる確認を入国するすべての人を対象に実施し、感染の疑いがある場合は迅速に対応したいとしています。

成田空港では今月下旬の中国の正月「春節」に合わせて多くの中国人観光客が訪れることが見込まれています。

成田空港検疫所は「発熱やせきなどの症状がある場合はもちろん、解熱剤を服用して、いったん熱が下がっている場合も申し出てほしい」と話しています。

発熱者への対応は

発熱が疑われる人がいた場合は体温を測定したうえで37度5分以上の熱があれば、健康相談室と呼ばれる部屋で体調を確認し、現地での行動などを聞き取ることにしています。

こうした情報からデング熱やマラリアなど法律で指定された「検疫感染症」の疑いがある場合は簡易キットを使って検査をしたり、自治体と連絡を取ったりして必要な手続きを進めるということです。

ただ中国の武漢で相次いでいる患者から検出された新型のコロナウイルスが原因とされる肺炎は現時点で「検疫感染症」ではなく、簡易キットなどによる検査方法もないということで、検疫所は当面、感染の疑いがある場合には医療機関を早期に受診するよう促すことにしています。

一方で、入国する人などが解熱剤などの薬を服用して熱が下がっているときはサーモグラフィーで確認できないことから、検疫所は一時的に熱が下がっている場合でも申告するよう呼びかけています。

武漢からの帰国者「感染経路や予防方法よく分からず心配」

中国の武漢からは16日午後、定期便の利用者が成田空港に到着しました。

このうち今週月曜日の13日から16日まで仕事で現地を訪れた38歳の会社員の男性は「渡航前に武漢で肺炎が流行していると聞いたので、市場など多くの人が集まる場所には近づかないようにしました。感染経路や予防方法がよく分からず、心配もあるので、今後、発熱などの症状が出ればすぐに病院に行くなど、気をつけたい」と話していました。

武漢に向かう便の利用者「予防を徹底」

成田空港から中国の武漢に出発する便の利用者からは、現地では感染防止に気をつけたいという声などが聞かれました。

自動車関連の企業に勤め、出張で武漢に向かうという20代の男性は「日本でも感染者が確認されたというニュースを見て不安になりましたが、仕事の都合上、渡航をずらすのが難しかったので出発します。現地では予防を徹底したい」と話していました。

また日本在住で春節の休みを利用して武漢に帰省するという30代の中国人の女性は「家族からマスクやウイルス対策のスプレーを日本で買ってくるよう頼まれました。今のところ中国の家族の周辺に感染者は出ていないので、あまり心配はしていません」と話していました。

成田と武漢を結ぶ便 週15便運航

成田空港では首都圏にある空港で唯一、武漢との間を結ぶ定期旅客便が合わせて週に15便、運航しています。

このうち国内の航空会社では全日空が週に7便、春秋航空日本が週に3便を運航しています。

春秋航空日本は「武漢から成田に向かう出発便の利用者については空港のカウンターで体調を確認しているほか、サーモグラフィーによる発熱の有無の調査も行われているため、異常がある場合は日本への旅行などを取りやめるよう伝えている。また機内でも注意を呼びかけ、対策を強化している」と話しています。

このほか中国の航空会社では中国東方航空が週に3便、中国南方航空が週に2便を運航していています。

去年10月、日中両政府は日本への観光に対する関心が高まっていることを背景に、成田と中国を結ぶ路線に設けられていた便数の制限を緩和し、これに伴って武漢との間を結ぶ便も今月4日から週に3便、増えたばかりでした。

観光庁 旅行会社に呼びかけ

中国の湖北省武漢に渡航していた人から新型のコロナウイルスが検出されたことを受けて、観光庁は旅行会社に武漢を訪れる旅行者に対して
▽ウイルスに関する最新の情報を提供することや、
▽帰国時の検疫に協力することなどを呼びかけるよう求めています。

千葉県 森田知事 五輪に向け感染対策を強化へ

武漢に渡航していた男性から、新型のコロナウイルスの感染が確認されたことについて、千葉県の森田知事は16日の会見で、東京オリンピック・パラリンピックに向けて水際での感染症対策を強化する考えを示しました。

このなかで森田知事は「厚生労働省と連携を密にして県民に不安を与えないよう対策をしていかなくてはいけない」と述べ、県内の医療機関に対して、中国・武漢から帰国した人が、せきや発熱などの症状を訴えて受診した場合の院内感染対策を徹底するよう通知したことを明らかにしました。

そのうえで、東京オリンピック・パラリンピックに向けて医師会などとの検討会議を設置し、感染症が発生した場合の情報収集方法などを協議しているとして「一人一人の申告も大事だし、どうやって水際で食い止めるか、いろんな角度で研究、検討していかなければならない」と述べて、成田空港など、水際での感染症対策をさらに強化する考えを示しました。