障害者殺傷事件 供述調書で遺族の悲痛な思い明かされる

障害者殺傷事件 供述調書で遺族の悲痛な思い明かされる
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相模原市の知的障害者施設で入所者19人が殺害されるなどした事件の裁判が横浜地方裁判所で開かれ、検察が亡くなった19人のうち12人の遺族の供述調書を読み上げ、豊かな感情があり、かけがえのない肉親を突然奪われた悲痛な思いが明かされました。
平成28年7月、相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で、入所者が次々と刃物で刺され19人が殺害されるなどした事件では、施設の元職員、植松聖被告(29)が殺人などの罪に問われています。

15日、横浜地方裁判所で3回目の審理が開かれ、犠牲者で個人が特定される情報は伏せて匿名で審理されることが決まっていたものの、今月8日の初公判に合わせて母親が下の名前を公表した、19歳の「美帆さん」について、冒頭、裁判長が代理人の弁護士から上申書が提出されたとして、「今まで『甲Aさん』と呼んでいましたが、これからは『美帆さん』と呼ぶことになります」と述べ、呼び方を変えて審理を進めることを説明しました。

裁判では犠牲になった19人のうち、12人の遺族の供述調書が順に読み上げられました。

このうち美帆さんの母親は調書の中で「女手一つで大事に大事に育ててきました。美帆は理不尽な形で19歳という短い期間で突然終わりを迎えました。私にとって1人娘で、365日24時間、忘れたことはありません。表情が豊かで、楽しい顔やうれしい顔や怒った顔はどの顔もとてもかわいかったです」と振り返っていました。

そのうえで「美帆に希望をもらって生きてくることができました。今、天国で元気に過ごしていると思います。すぐには行けないけれど美帆の所にいつか行くまで待っていてほしいと思います」と話したということです。

犠牲者の1人「甲Eさん」の弟は、「姉は60歳で犠牲になりました。知的障害がありコミュニケーションを取ることはできませんでしたが、時折うれしそうな表情や渋い表情をすることがあって、姉の生きている証しや成長の証しを見ているようでした」としています。

また、毎年正月に家族で集まっていたとして「集まることが私たちの幸せで、きっと姉の幸せでもあったと思います」と振り返ったうえで、被告に対しては「『障害者は不幸をつくる』という差別思想から事件を起こしたと言いますが、一緒に暮らしていた家族の幸せをどれだけ分かっているのかと思います。悔い改めるよう厳重な処罰がされてほしい」としています。

法廷では、検察官が読み上げる内容に合わせて裁判官や裁判員などの前にあるモニターに犠牲者や家族の写真が映し出される場面もありました。

植松被告は弁護士の後ろの席に座り、時折、首を傾けるしぐさをしながら、前を見て静かに聞いていました。

けがをした尾野さんの父親「つらい内容で涙が出てきた」

事件でけがをした尾野一矢さんの父親で、15日の裁判を傍聴した剛志さんが裁判のあと取材に応じ「ご遺族の調書を聞くと、読み上げなくてもいいと感じるぐらいつらい内容で涙が出てきました。大変つらい思いをして、刺された状況やご遺体と対面した状況をご遺族が話されたと思うと、とても聞いていられませんでした」と話していました。