北陸 東海 中国の3地域 景気判断引き下げ 日銀地域経済報告

北陸 東海 中国の3地域 景気判断引き下げ 日銀地域経済報告
日銀は15日、全国9つの地域の景気の現状をまとめた「地域経済報告」を公表しました。海外経済の減速や去年、相次いだ台風など自然災害の影響が、各地の生産活動に広がっていることが分かりました。
日銀は15日、3か月に1度の支店長会議を開き、全国9つの地域の景気の現状を「地域経済報告」として公表しました。

報告では、アメリカと中国の貿易摩擦などで海外経済が減速し、自動車や電子部品の生産が伸び悩んでいるなどとして、「北陸」「東海」「中国」の3つの地域の景気判断を引き下げました。

残る6つの地域の景気判断は据え置きました。

一方、去年10月の台風19号など自然災害の影響については、「東北」や「関東甲信越」で工場が被災したり部品が調達できなくなったりしたため、各地の企業で生産が落ち込んだということです。

海外経済の減速に自然災害の影響が重なり、企業の生産活動は、すべての地域で『弱めの動き』や『減少している』という判断になりました。

観光業も台風がシーズンと重なったため、各地の宿泊施設で客の数が大きく減少したという声が聞かれました。

一方、消費税率引き上げについては、「関東甲信越」や「北陸」などで、税率の引き上げ後に自動車の販売が落ち込んだといった声が聞かれました。

ただ、個人消費については、回復しているとか緩やかに増加しているといった判断が多くなっています。

日銀は、引き続き景気に変調が見られないか、慎重に点検していく考えです。

茨城では… 「袋田の滝」入場者2割以上減

茨城県にある「袋田の滝」は国の名勝にも指定され、毎年、50万人以上が訪れる茨城県内有数の観光地です。

地元の大子町は、去年の台風19号で久慈川が氾濫して多くの住宅が水につかり、「袋田の滝」周辺の飲食店や土産物店も浸水の被害を受けました。

台風が通過した数日後には滝の見学施設が再開し、周辺の店もすでに営業を再開していますが、再開後から去年の年末までの入場者は13万8000人余りと、前の年の同じ時期に比べて2割以上少なくなったということです。

さらに、冬の時期は滝が凍結する光景が人気ですが、ことしは暖かい日が続いて凍結しないままで、今月の入場者は去年の同じ時期の半分ほどにとどまり、追い打ちをかける状況になっています。

土産物店を営む小室幸嗣さんは、「例年に比べて個人客が少なくなっています。また、節約の意識もあるのか、訪れても何も買わずに帰る人も多い。滝が凍っていないのと台風の影響のダブルパンチで経営が厳しい状況です」と話していました。

大子町観光商工課の内田さち子課長は、「安全に観光できることをPRするとともに、新たなイベントなどを催してにぎわいを取り戻したい」と話していました。

長野では… りんご畑 大量の泥の撤去が課題

去年秋の台風で大きな被害を受けた長野市のりんご畑では、大量の泥の撤去に時間がかかり、復興への課題となっています。

長野市穂保とその周辺は、りんごの栽培が盛んな地域ですが、りんご畑には千曲川から流出した泥が今も大量に残っています。

長野市が泥の撤去を進めていますが、被害を受けた地域が広く、手付かずのままの畑も多く残されています。
泥がたまったままでは、毎年3月下旬ごろから始まる車のような機械で農薬をまく消毒作業を行うことが難しく、農業を再開して暮らしを立て直すうえで大きな課題となっています。

地元の「長沼林檎生産組合ぽんど童」の徳永慎吾さんは、「産地全体で消毒ができないとその年のりんごの収穫には結び付かない。復旧と栽培を同時に行わなければならないのは初めての経験なので、課題を一つ一つ乗り越えていきたい」と話していました。

宮城では… 消費税率引き上げで車の販売落ち込む

仙台市の自動車販売店では、消費税率が10%に引き上げられたあと、販売台数が落ち込んでいます。

仙台市宮城野区にある自動車販売店では、去年10月の台風19号のあと、水没した車を買い替える動きが見られたということですが、増税による買い控えの影響は大きく、販売台数は前の年の同じ時期に比べて2割ほど落ち込んでいるということです。

このため店では、去年10月から始まった自動車税の減税によって、車種によっては消費税の増税分を賄うだけのメリットを受けられると説明したり、満65歳以上のドライバーを対象に自動ブレーキなどを備えた車の購入を補助する制度が始まることを紹介し、販売の落ち込みを食い止めようとしています。

宮城スバル自動車日の出店の小野寺祐一店長は、「今後はお客様と丁寧に向き合って販売していくしかありません」と話していました。

緩やかな回復を続けているなど

日銀が「地域経済報告」で報告した各地の景気判断は次のとおりです。

▽北海道は「緩やかに拡大している」。
▽東北は「弱めの動きが広がっているものの、緩やかな回復を続けている」。
▽北陸は「引き続き拡大基調にあるが、その速度は一段と緩やかになっている」。
▽関東甲信越は「海外経済の減速や自然災害などの影響が見られるものの、基調としては緩やかに拡大している」。
▽東海は「緩やかに拡大している」。
▽近畿は「一部に弱めの動きが見られるものの、緩やかな拡大を続けている」。
▽中国は「いくぶんペースを鈍化させつつも、基調としては緩やかに拡大している」。
▽四国は「一部に弱めの動きが見られるものの、回復している」。
▽九州・沖縄は「緩やかに拡大している」。

台風19号などの影響が長引くおそれもある

全国地方銀行協会の会長を務める茨城県に本店がある常陽銀行の笹島律夫頭取は、去年の台風19号などの影響について「水没した家屋や工場が多くあり、復旧するまでの間、生産活動を下押しする圧力になっている。新しい生産設備が入るまで時間がかかる工場では、影響が長引くおそれもある」と述べ、影響の長期化に懸念を示しました。