大学入試のあり方を検討する会議 議論始まる

大学入試のあり方を検討する会議 議論始まる
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大学入学共通テストへの英語の民間試験と記述式問題の導入見送りを受けて、大学入試のあり方を検討する会議の初会合が開かれ、萩生田文部科学大臣は、英語のいわゆる4技能の評価や記述式の充実策などについて精力的に議論してほしいという考えを示しました。
来年から始まる大学入学共通テストへの英語の民間試験と記述式問題の導入見送りを受けて、文部科学省は大学入試のあり方を検討する新たな会議を設置し15日初会合が開かれました。
この中で、萩生田文部科学大臣は「英語の4技能を適切に評価する重要性に変わりはない。令和6年度の大学入試に向けてどのように評価していくのか、できるだけ公平でアクセスしやすい仕組みを検討してもらいたい」と述べました。

また「論理的な思考力や表現力を評価する記述式問題が果たす役割は重要で、共通テストや各大学の個別選抜でのあり方など、記述式の充実策を議論してもらいたい」と述べました。

そのうえで「大学入試は国民の関心の高い事柄で、精力的な議論をお願いしたい」と述べました。

また、会議の座長を務める東京工業大学の三島良直名誉教授は「大学入試の公平性や公正性が非常に重要だと指摘されており受験生や国民が不安を感じる制度であってはならない。広く社会に考え方を共有しながら検討することが大変重要だ」と述べました。

文部科学省は、原則、会議を公開して開催し、今後およそ1年をかけて検討することにしています。

出席者からはさまざまな意見

初会合では、出席した有識者らがそれぞれの立場から意見を述べました。

このうち、教育行政学が専門の日本大学の末冨芳教授は「拙速な大学入試改革が結果として格差拡大政策として機能してしまうことの側面がある。私自身、貧困層の子どもたちと接している中で、受験自体をやめなくてはいけないと悩む子もいた。入試の壁はあってはならない」と述べたうえで、「政策ターゲットとなる当事者の意見やニーズを無視した政策は効果が低い。若者たちの声を重く受け止めるべきだ」と指摘しました。

また、高等教育を研究している東京大学大学院の両角亜希子准教授は「何年も前から、専門家が問題を指摘し続けたにもかかわらず、意見が反映されずに土壇場で見送りになった。なぜ反映されなかったのかきちんと把握する必要がある」と指摘したうえで、政策決定の経緯を徹底検証しなければ、同じ失敗を繰り返すのではないかと主張しました。

一方で、日本私立中学高等学校連合会の吉田晋会長は、今回見送りとなった英語の民間試験や記述式問題は、政府の教育再生実行会議や、中教審で決まったものだったと指摘したうえで、「変える方向で進んできたものなので、きっちりと進めてほしい」と述べました。

また、オブザーバーとして参加した大学入試センターの山本廣基理事長は、センター試験には幅広い能力の55万人もの受験生がいるとしたうえで「何でもかんでもセンターの試験でというのはどうかなと思う」と述べて、個別の大学が実施する試験と役割分担することが大事だと指摘しました。

座長「経緯しっかり検証を」

会議のあと、座長を務める東京工業大学の三島良直名誉教授は、「今回なぜこういうことが起こったか、経緯をしっかり検証しないと拙速に決めると同じことになる。1年でというと、最後にまた強引な決め方にならないようにというのをいちばん気にしているが、なんとか方向性を定められればいい」と話していました。

「入試改革の2本柱」見送りの経緯は

今のセンター試験に代わって来年度から始まる「大学入学共通テスト」には、英語の民間試験と国語と数学の記述式問題が入試改革の2本の柱として、導入される予定でした。しかし、制度の不備を指摘する声が相次ぎいずれも見送りとなりました。

英語の民間試験の導入は、日本人が苦手とされる話す力と書く力の測定をねらいとしていました。しかし、難易度の異なる民間試験のスコアをどうやって1つの物差しで測れるのかという疑問の声や、受験料など、経済的な負担が大きいことを懸念する声などが相次ぎました。

さらに、萩生田大臣の「身の丈に合わせて、頑張ってもらえれば」という内容の発言にも批判が集まり、文部科学省は去年11月、来年度からの導入を見送ると発表しました。

また、国語と数学の記述式問題は、マークシート方式では難しいとされた思考力や表現力などを測定するのがねらいとされました。

しかし、50万人以上が受験する記述式の答案を20日間という短い期間で公正、公平に採点できるかが大きな課題となりました。

これについて、採点を委託されたベネッセの関連会社が、採点にバイトの学生を活用することが明らかになったほか、この会社が、高校の教員に対して、採点業者であることを明かして、自社の模擬試験などを紹介する資料を配付したことなども問題とされました。

これらを受けて、文部科学省は「受験生の不安を払拭(ふっしょく)し安心して受験できる体制を早急に整えることは困難だ」として、先月、見送りを決めました。