軽井沢バス事故から4年 安全対策はどこまで

軽井沢バス事故から4年 安全対策はどこまで
長野県軽井沢町で大学生など15人が死亡したスキーツアーのバス事故から15日で4年になります。事故現場にはバスを運行していた会社の社長などが訪れ、花を手向けました。
平成28年1月15日の未明、長野県軽井沢町でスキーツアーのバスがセンターラインを越えて道路脇に転落し、大学生など15人が死亡、26人がけがをしました。

事故から4年となる15日、事故現場の近くの慰霊碑には雪が降り積もる中、午前5時前にバスを運行していた東京の会社の高橋美作社長などが訪れて花を手向けて手を合わせました。

高橋社長は、「亡くなった皆様のご冥福を改めて心より申し上げます。ご遺族の皆様、関係者の皆様にも改めておわび申し上げます。本当に申し訳ありませんでした」と述べ、頭を下げました。

この事故では高橋社長と運行管理担当の元社員が重大な事故を起こす可能性があると予測できたのに、大型バスの運転に不慣れな運転手への指導を怠ったとして業務上過失致死傷の疑いで書類送検され、長野地方検察庁が起訴するかどうか、今も捜査を続けています。

事故を受けて、バス会社への監査体制が強化され罰則も厳しくなりましたが、監査や巡回を行う人員が足りない状態が続いています。

また、事故の遺族たちは、監査の体制だけでなく免許制度のあり方なども含めて対策をより強化するよう国への要望を続けています。

犠牲者を悼むとともに、バスの安全をどうやって確保していくのか改めて問われています。

起訴するか 今も続く捜査

バスを運行していた東京の会社「イ―エスピー」には、当日の出発前に点呼を行っていなかったことや、死亡した運転手の健康状態を記した台帳を作成していなかったことなど、運行に関わる多くの法令違反が見つかりました。

警察は捜査の結果、3年前の6月、「イ―エスピー」の高橋美作社長(58)と運行管理担当だった荒井強元社員(51)が、重大な事故を起こす可能性を予測できたのに運転手への指導を怠ったとして、業務上過失致死傷の疑いで書類送検しました。

そして検察が事故から4年がたつ今も捜査を続けています。

一部の遺族は、再発防止のために責任の所在を明確にする必要があるとして、社長と元社員を起訴するよう求めています。

バスの安全対策進むも指導員は不足

軽井沢町のバス事故を受けて国土交通省はバスの安全対策を進めてきました。

この中ではバス会社への監査体制が強化され、貸し切りバス会社の事業許可を5年ごとに更新し、安全対策が不十分な場合には許可を取り消すほか、バスの抜き打ち監査で重大な違反が見つかった場合、運行を直ちに停止するなどの対策がとられています。

また、安全対策が不十分なバス会社の排除を進めようと、去年3月、バス会社の過去の事故や行政処分についての情報を検索できるホームページを開設し利用者が調べられるようにしています。

さらに、軽井沢町の事故では下り坂で加速したことなどが原因とみられることから速度の抑制装置を導入する事業者などに対し、来年度から費用の一部を補助することを決めています。

一方で、すべての営業所を対象にした年に1回の巡回や監査では、必要な数の指導員が確保できず、昨年度の実施はおよそ3600か所と全体の7割近くにとどまっています。

国土交通省などは指導員を段階的に増やし、令和3年度からバスの営業所すべてで年に1回の巡回を徹底することにしています。

また、事故の遺族たちも対策の強化を求める活動を続けていて、国に対し、運転技術が未熟な運転手が免許を更新できない仕組みを設けることなどを要望しています。

遺族「被害者に終わりはありません」

事故から4年になるのに合わせて、亡くなった大学生、西原季輝さん(当時21)の母親は「事故が起きたのがきのうのことのようで、まだ悪い夢を見ているような気持ちで日々を過ごしています。この間、バス会社の刑事手続きには動きがありませんが、書類送検で終わりなのでしょうか。加害者はそのまま生きていくことができるけれど、被害者に終わりはありません。このような凄惨(せいさん)な事故が起きて大切な命が失われることが二度とないように心から願っています。国土交通省には、監査などをしっかりしてみんなが安心して過ごせる安全な社会づくりを考えてほしいと思います」というコメントを出しました。