全国の火山概況(12月) 火口周辺警報は9火山

全国の火山概況(12月) 火口周辺警報は9火山
気象庁は14日、去年12月から1月にかけての全国の活火山の活動状況や警戒すべき点について発表しました。噴火が発生したり火山活動が高まっているとして、全国9つの火山に「火口周辺警報」が、1つの海底火山に「噴火警報(周辺海域)」が発表されています。

火口周辺警報は9火山

今後の噴火で火口の周辺や居住地域の近くに影響が出るおそれがあるとして「火口周辺警報」が発表されているのは、
▽群馬県にある草津白根山の「白根山」、
▽熊本県の「阿蘇山」、
▽鹿児島と宮崎の県境にある霧島連山の「新燃岳」と、
▽鹿児島県の「桜島」「口永良部島」「薩摩硫黄島」「諏訪之瀬島」、
▽小笠原諸島の「西之島」と「硫黄島」の合わせて9火山です。

噴火警戒レベル3は2火山

このうち、居住地の近くまで影響が出るおそれがあり、「入山規制」を示す噴火警戒レベル3は「桜島」と「口永良部島」に発表されています。

<口永良部島>
口永良部島では1月11日に噴火が発生し、噴煙が火口から2000メートルまで上がり、雲に入りました。口永良部島で噴火が観測されたのは去年2月2日以来です。口永良部島では一時的に火山性地震が増加し、1日当たりの火山ガスの放出量は高い状態が続くなど、火山活動が高まった状態となっています。気象庁は噴火警戒レベル3を継続して、火口からおおむね2キロの範囲で大きな噴石や火砕流に、向江浜地区から新岳の南西のかけての火口から海岸までの範囲では火砕流に警戒するよう呼びかけています。

<桜島>
桜島の「南岳山頂火口」では引き続き噴火が発生しています。12月は71回の噴火が観測され、このうち49回が爆発的な噴火でした。噴煙は最高で火口から3300メートルまで上がって雲に入り、大きな噴石が最大で火口から1300メートルから1700メートルの4合目まで達しました。火山ガスの放出量は多い状態で推移しました。気象庁は今後も南岳山頂火口を中心に噴火が発生する可能性があるとして、南岳山頂火口と昭和火口からおおむね2キロの範囲では、大きな噴石や火砕流に警戒するよう呼びかけています。

噴火警戒レベル2は5火山

火口周辺への立ち入りが規制される噴火警戒レベル2は、
▽草津白根山の「白根山」、
▽「阿蘇山」、
▽霧島連山の「新燃岳」、
▽「薩摩硫黄島」、
▽「諏訪之瀬島」の5つの火山に発表されています。

<新燃岳>
霧島連山の新燃岳では12月20日に噴火警戒レベルが2から1へと引き下げられましたが、その後、火口直下を震源とする火山性地震が一時的に増加しました。このため、気象庁は1月2日に再び噴火警戒レベルを2に引き上げ、火口からおおむね2キロの範囲で大きな噴石に、おおむね1キロの範囲で火砕流に警戒するよう呼びかけています。

<阿蘇山>
阿蘇山では「中岳第一火口」で噴火が継続しています。火山性微動の振幅はやや大きい状態で経過して、一時的にさらに大きくなるなど変動を繰り返しています。1日当たりの火山ガスの放出量も2100トンから4000トンと非常に多い状態で、火山活動が高まった状態が続いています。気象庁は、中岳第一火口からおおむね1キロの範囲では大きな噴石や火砕流に警戒し、地元自治体などの指示に従って危険な地域に立ち入らないよう呼びかけています。

<薩摩硫黄島>
薩摩硫黄島では11月3日以降、噴火は確認されていません。12月は白い噴煙が火口から1200メートルまで上がりました。また、高温の火山ガスなどが雲や噴煙に映って赤く見える火映も時々観測されるなど、長期的に熱活動が高まった状態が続いています。気象庁は火口からおおむね1キロの範囲で、大きな噴石に警戒するよう呼びかけています。

<草津白根山の白根山>
草津白根山の「白根山」では、9月上旬から湯釜付近の浅い部分で火山性地震がやや増加し、湯釜の浅い場所の膨張を示す傾斜変動も観測されています。気象庁は、引き続き小規模な水蒸気噴火が発生する可能性があるとして、湯釜火口からおおむね1キロの範囲では、大きな噴石に警戒するよう呼びかけています。

<諏訪之瀬島>
諏訪之瀬島の御岳火口では、活発な噴火活動が続いています。12月は噴火が23回発生し、このうち10回が爆発的な噴火でした。噴煙は最高で火口から800メートルまで上がり、大きな噴石が火口から600メートルまで達しました。気象庁は今後も火口周辺に影響を及ぼす噴火のおそれがあるとして、火口からおおむね1キロの範囲では、大きな噴石に警戒を呼びかけています。

レベルなしも警報は2火山

噴火警戒レベルが導入されていないものの「火口周辺警報」が発表されているのが、小笠原諸島の「西之島」と「硫黄島」です。

<西之島>
西之島では、12月になってから断続的な噴火や溶岩流が確認されています。12月15日には、海上保安庁の上空からの観測で火砕丘の北側に新たな火口が開き、溶岩が北西に流れて海に達していることが確認されました。気象庁は12月16日に改めて「入山危険」を示す火口周辺警報を発表し、警戒が必要な範囲を山頂火口からおおむね2.5キロに拡大しました。大きな噴石や溶岩流に警戒を呼びかけています。

<硫黄島>
おととし9月に海底噴火が起きたと推定される硫黄島では、地盤の隆起を示す変動がみられるほか、島内は全体に地温が高くなるなど、火山活動がやや活発な状態で推移しています。気象庁は火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生するおそれがあるとして、警戒を呼びかけています。

「福徳岡ノ場」に「噴火警報(周辺海域)」

小笠原諸島の近海にある海底火山の「福徳岡ノ場」では、周辺の海域に影響を及ぼす噴火が発生するおそれがあるとして、「噴火警報(周辺海域)」が発表されています。周辺では火山活動によるとみられる海面の変色が確認されるなど、やや活発な状態です。気象庁は、小規模な海底噴火の発生が予想されるとして、周辺の海域で警戒を呼びかけています。

警報なし・レベル1もリスク認識を

このほかにも全国の活火山の中には噴火警報が発表されておらず、噴火警戒レベルが1の火山がありますが、過去に噴火を繰り返してきた活火山であることに変わりはありません。去年は浅間山や薩摩硫黄島でレベル1の状態で噴火が発生し、直後にレベルが引き上げられています。噴火警戒レベルが最も低いレベル1であっても、顕著な前兆がない中で突然の噴火が起こりうることを改めて認識する必要があります。

最新の火山情報の確認を

各地の火山の活動状況や注意点は、気象庁や各地の気象台、自治体のホームページなどで確認することができます。