南極タロとジロ「奇跡の生存」当時の隊員が2頭の思い出を語る

南極タロとジロ「奇跡の生存」当時の隊員が2頭の思い出を語る
日本の南極観測隊の初期、昭和基地に観測隊のカラフト犬が置き去りにされた、およそ1年後にタロとジロの2頭の生存が確認されたのが1959年、昭和34年の1月14日です。大きく報道され、映画化もされた「奇跡の生存」について、観測隊に参加していた男性が振り返りました。
東京 調布市で暮らす中村純二さん(96)は昭和31年から35年にかけて、当時の東京天文台に勤務していた間に、日本の南極観測隊の1次隊から3次隊まで参加し、オーロラの観測などを行いました。

ただ、このうち2次隊は南極の悪天候や厚い氷にはばまれて、越冬しながらの観測を断念することになり、中村さんらは昭和基地から撤退せざるをえなくなりました。

その際、飛行機の燃料の問題などから観測隊はタロ、ジロを含むカラフト犬15頭を当面の食料とともに基地に置き去りにするという、苦渋の決断をしなくてはなりませんでした。

中村さんは「犬たちは100平方メートルぐらいのところに、10メートルぐらいずつ離してつないで餌も置いてきました。しかし基地に置いていかれることを分かっていたようで、飛行機が飛び立っても空に向かってほえ続け、泣いているように見えました。あまりにかわいそうで、昭和基地の上空を2回、旋回したことを覚えています」と振り返りました。

犬たちのことが気がかりだった中村さんは観測隊の3次隊にも参加しました。

そして撤退からおよそ11か月たった昭和34年1月14日、昭和基地でタロとジロの2頭が奇跡的に生存していることが確認され、大きく報道されました。

中村さんは「うれしかったです。最初はタロ、ジロとは分からなかったですが、名前を呼ぶと近づいてきました。タロとジロは私たち隊員より現地に詳しくて、その後いろいろと道案内をしてくれました」と話しています。

中村さんは3次隊の越冬隊として、タロやジロたちとソリで探検の旅に出るなど、交流を深めたということで「むこうも信頼してくれたし、こちらもタロとジロを信頼していた。人間と同じです」と2頭の思い出を語りました。

96歳の中村さんはいまは自宅で横になりながら過ごす時間が多いということで、親族は南極での活動の記録を整理して残したいと考えています。

中村さんの長男の妻の玲子さんは「たくさんの資料が残っているので南極観測隊黎明期の資料として、活用してもらえるように整理していきたい」と話しています。