バドミントン 桃田賢斗選手 あす帰国へ 現地の医師が許可

バドミントン 桃田賢斗選手 あす帰国へ 現地の医師が許可
マレーシアで交通事故に遭い入院しているバドミントンの桃田賢斗選手について日本バドミントン協会は、現地の医師の許可がおりたとして、15日帰国すると発表しました。
桃田選手はマレーシアで開かれていた国際大会を終えて13日朝、空港に向かう途中、乗っていた車が高速道路でトラックに追突し、車の運転手が死亡しました。

桃田選手と、同行していた日本人スタッフ2人、それにイギリス人1人の合わせて4人はけがをして現地の病院に入院し、桃田選手は全身のMRIなどの検査を受けていました。
日本バドミントン協会の銭谷欽治専務理事は14日午後、都内で取材に応じ、桃田選手の診断結果について「鼻やあごの骨折という報道もあったが骨折はなく、顔の裂傷と全身打撲という診断を受けている」と話しました。

そのうえで、現地の医師の許可がおりたとして桃田選手など3人について15日の便で帰国すると発表しました。

銭谷専務理事は「大きな事故でドライバーが亡くなったことはとても残念だが、4人の命に別状がなかったことは正直奇跡だと思っている」と話しました。

そのうえで「日本に帰国して痛みが出たりすることもあるので、帰国後もう一度病院で精密検査を受けさせたい。精神的な部分で動揺もあると思うので、サポートしながら、どのように練習を再開させていくか考えたい。所属やコーチと相談しながら3月の全英オープンを復帰のターゲットにしたい」と話しました。

現地では新聞各紙が大きく報道

バドミントンが国民的な人気を誇るマレーシアでは世界ランキング1位の桃田選手が巻き込まれた今回の事故について新聞各紙が大きく報じていて、国民の関心の高さを示しています。

マレーシアの英字紙スターは1面に桃田選手の写真とともに事故現場の写真を載せ、「バドミントンの達人が交通事故で負傷」という見出しも付けています。

また桃田選手が去年、11の国際大会で優勝したほか、12日まで現地で開かれていた国際大会でも優勝するなど、東京オリンピックでの金メダルの有力候補だったと紹介したうえで「彼の夢は大きく揺さぶられるかもしれない」と今回の事故が桃田選手の今後のパフォーマンスに影響を与えかねないと論評しています。

このほかマレー語の現地紙は見開きの紙面に「日本に帰国する途中に襲った悲劇」という大きな見出しを付け、図を使って事故の詳細について解説したり、事故のあと、地元の著名人が相次いで桃田選手を見舞いに訪れたことなどを紹介したりしています。

マレーシア副首相が桃田選手を見舞う

日本バドミントン協会によりますと、首都クアラルンプール郊外の病院に入院している桃田選手は15日、日本に帰国しますが、帰国を翌日に控えた14日午後、マレーシアのワンアジザ副首相が見舞いに訪れ、病室に10分ほど滞在しました。

訪問のあと、報道陣の取材に応じたワンアジザ副首相は桃田選手の様子について、「容体は安定していた。桃田選手は『いい治療を受けられた』と話していた」と述べました。

そのうえで、「事故が起きたことはとても残念だが、一刻も早い回復を願っている」と述べ、競技への速やかな復帰を望みました。

バドミントンが国民的な人気スポーツとなっているマレーシアでは世界ランキング1位の桃田選手が巻き込まれた今回の事故は大きな関心を集めていて、これまでにマハティール首相の妻や、かつてランキング1位だった地元選手などが桃田選手のもとを相次いで見舞いに訪れています。

ヘッドコーチ「体と心が安定すれば3月全英オープン目標に準備」

15日帰国することになった桃田賢斗選手について、現地で対応していたバドミントン日本代表のパク・ジュボンヘッドコーチはコメントを発表しました。

このなかでパクヘッドコーチは、桃田選手がマレーシアでの大会のあと出場予定だったインドネシアの大会について疲労を理由に欠場することになり帰国の途中に事故にあったことを明らかにしました。

そのうえで「あまりにも大きな不慮の事故が起きてしまった。私たち自身はもちろん、本人の心と体が傷つくようなことが起きてしまい残念だ。ドライバーの方が亡くなったことは非常に残念だが、大きな事故に巻き込まれながら今回のけがで済んだことは不幸中の幸いだった」とコメントしました。

そして今後については「まずはけがの回復と事故の後遺症に対する心理的な治療に集中していきたい。治療の経過を見ていくことが前提ではあるが、体と心が安定すれば、8週間後の3月に行われる全英オープンを目標に準備をしていく予定だ」と復帰に向けた考えを明らかにしました。

IOCバッハ会長「回復を祈る」

IOC=国際オリンピック委員会のバッハ会長は14日、談話を発表し、「桃田選手とスタッフの事故からの速やかな回復を祈る。自国での東京オリンピックでプレーする姿を楽しみにしている」とコメントしています。

陣内貴美子さん「焦らずに復帰すれば必ず勝てる」

バルセロナオリンピック日本代表の陣内貴美子さんは、特長のバランス能力や繊細なプレーに与える影響に懸念を示した一方で、「焦らずに復帰すれば必ず勝てる選手」と話し、十分な休養が必要だと指摘しました。

陣内さんはNHKのインタビューに応じ、事故の影響について「手足の骨折がなかったことが不幸中の幸いだったと思うが、見た目以上のダメージは受けていると思う。運転手が亡くなったことを目の前で見ているので精神的なダメージも大きいのではないか」と話しました。

また、「無理をして復帰して激しい練習をすれば痛みが出た時にそこをかばうようになりまた違うところが痛くなる。桃田選手の特長はバランス能力や繊細なプレーなので違和感を感じればプレーに影響するし手足のしびれがあればネットプレーでの感覚が狂う」とプレーに与える影響に懸念を示しました。

そのうえで陣内さんは「とにかく焦らないでほしい。彼は今、飛び抜けてほかの選手よりも強い選手なので復帰すれば勝てる。まずはゆっくり休むことが大事だと思う」と話し、桃田選手が東京オリンピックの代表入りを確実にしていることを踏まえ十分な休養が必要だと指摘しました。