イラク 米軍撤退に向け協議求める

イラク 米軍撤退に向け協議求める
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アメリカとイランの対立の舞台となっているイラクでは、議会がアメリカ軍など外国部隊の駐留に反対する決議を行ったことを受け、アブドルマハディ暫定首相は、アメリカに軍の撤退に向けて協議するよう求めました。ただ、アメリカ政府は現時点で撤退の考えはないことを明らかにしていて、協議に応じるかどうかは不透明です。
イラクでは首都バグダッドでアメリカ軍がイランの司令官を殺害したことを受け、議会が今月5日、アメリカ軍など外国部隊の駐留に反対する決議を行うなど反米感情が高まっています。

イラク首相府によりますと、アブドルマハディ暫定首相は9日夜、アメリカのポンペイオ国務長官と電話会談し、イラン側の報復攻撃も含め、「イラクの主権を侵害するいかなる行為も拒否する」と強調しました。

そのうえでイラク議会の決議に基づいてアメリカ軍の撤退に向けた枠組みを話し合うための代表団をイラクに送るようポンペイオ長官に求めました。

ただ、アメリカのトランプ大統領は7日、「われわれが撤退すればイランがさらに足場を拡大することになる」と述べ、現時点でアメリカ軍を撤退させる考えはないことを明らかにしていることから、アメリカが協議に応じるかどうかは不透明です。

イラクにはおよそ5200人のアメリカ軍の部隊が駐留する一方、イランとつながりのあるイスラム教シーア派の民兵組織が強い影響力を持っていて、アメリカとイランの対立の最前線となっています。

米国務省 イラクからの撤退協議否定の声明

アメリカ国務省は10日、声明を出し、「アメリカがイラクに代表団を送るのはアメリカ軍の撤退を話し合うためではなく、中東におけるアメリカ軍の適切な配備を話し合うためだ」として、今のところ撤退の協議に応じるつもりはないという考えを示しました。

その理由として国務省は、イラクにアメリカ軍が駐留しているのはIS=イスラミックステートに対する戦いを続けるためだとし、「アメリカはアメリカとイラクの国民、それに有志連合の各国を守っていく」としています。

声明ではイラクの防衛についてはアメリカだけでなく、NATO=北大西洋条約機構が負担を増やすよう協議しているとする一方で、アメリカとしては今後もイラクと友好的な関係を維持したいと強調しています。

イラクで反政府デモ アメリカとイランの双方を非難

イラクでは去年10月から続く大規模な反政府デモが10日、首都バグダッドなどで行われ、政府への批判にとどまらずイラクを舞台に対立を深めるアメリカとイランの双方を非難し、イラクへの介入をやめるよう訴えました。

このうち南部ナジャフでは、デモの参加者はアメリカの国旗を踏みつけたり、「アメリカもイランもいらない」と声をあげてデモ行進したりしていました。

また、中部カルバラでは、イスラム教の金曜礼拝でシーア派の最高権威シスターニ師の声明が読み上げられ、イラク国内でのアメリカやイランの攻撃は「主権の侵害だ」と強く非難したうえで、「外国勢力はイラクの意思決定に干渉すべきではなく、イラク国民の意思に従うべきだ」として、アメリカやイランの介入を拒否する考えを強調しました。