収賄容疑で逮捕の秋元衆院議員 「一切身に覚えがない」と否認

収賄容疑で逮捕の秋元衆院議員 「一切身に覚えがない」と否認
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カジノを含むIR=統合型リゾート施設などを担当する内閣府の副大臣を務め、自民党を離党した秋元司衆議院議員がIRへの参入を目指していた中国企業から現金300万円などの賄賂を受け取っていたとして、東京地検特捜部に収賄の疑いで逮捕されました。特捜部はIR参入をめぐる癒着の実態解明を進めるものとみられます。25日夜、接見した弁護士によりますと、秋元議員は容疑を否認しているということです。
収賄の疑いで逮捕されたのは、国土交通省や内閣府などの元副大臣で自民党を離党した衆議院議員、秋元司容疑者(48)です。また中国・深センに本社があり、スポーツくじなどの事業を手がける「500ドットコム」の顧問の紺野昌彦容疑者(48)と仲里勝憲容疑者(47)、それに日本法人の元取締役の鄭希容疑者(37)の3人が、贈賄の疑いで逮捕されました。

東京地検特捜部の調べによりますと、秋元議員はIR=統合型リゾート施設などを担当する内閣府の副大臣を務めていたおととし9月、IRへの参入を目指していた「500ドットコム」側から東京都内で現金300万円の賄賂を受け取ったとして収賄の疑いが持たれています。
また、秋元議員は去年2月、企業側から家族とともに北海道旅行への招待を受け、航空機代や宿泊費などおよそ70万円相当の利益供与を受けた疑いも持たれています。

関係者によりますと、秋元議員は北海道旅行に合わせて、この企業がIRの誘致計画に投資する意向を示していた北海道留寿都村を訪れ、場谷常八村長や北海道庁でIRを担当する幹部、それに観光会社の社長らと面会していたということです。
秋元議員はおととし12月、中国・深センにある500ドットコムの本社を訪問し経営トップと面会していましたが、特捜部はこの訪問に同行していた自民党の白須賀貴樹衆議院議員の千葉県印西市にある事務所や、自民党の勝沼栄明前衆議院議員の宮城県石巻市の事務所を関係先として捜索したということです。

特捜部は秋元議員が副大臣としてのIRへの影響力を背景に中国企業側との癒着を深めたと見て、実態解明を進めるものとみられます。

25日夜、東京拘置所で接見した弁護士は秋元議員が容疑を否認し「一切身に覚えがない」と話していることを明らかにしました。

特捜部は秋元議員ら逮捕された4人の認否を明らかにしていません。

※深セン=(土偏に川)
東京地検特捜部は紺野容疑者らが海外から数百万円の現金を国内に不正に持ち込んだ疑いがあるとして外国為替法違反の疑いで捜査を進め、今月19日には関係先として秋元議員の事務所などを捜索していました。

秋元議員は副大臣就任後のおととし12月、中国・深センにある500ドットコムの本社を訪問し経営トップと面会したほか、去年2月には、この企業がIRの誘致計画に投資する意向を示していた北海道留寿都村を訪れ、村長や北海道庁の幹部らと面会していました。

特捜部はIRへの参入をめぐる癒着の実態解明を進めるものとみられます。

秋元議員は24日夜、NHKの取材に対し、「企業側から陳情を受けたり便宜を図ったりしたことは一切なくカネを受け取ったこともない」などと説明し不正への関与を強く否定していました。

※深セン=(土偏に川)

秋元議員 拘置所に到着

秋元議員を乗せた車は、午後0時40分すぎに東京 小菅の東京拘置所に到着しました。

車の後部座席のカーテンは閉まっていて、車内の様子をうかがうことはできませんでした。

秋元議員「カネ受け取っていない」

秋元司衆議院議員は、24日夜、NHKの電話取材に応じ、「中国企業側から陳情を受けたり便宜を図ったりしたことは一切なく、カネを受け取ったこともない」などと不正への関与を強く否定していました。

この中で秋元議員は、おととし12月、中国・深センにある中国企業の本社を訪問し、経営トップと面会したことについて、「深センはIT企業が集積するスマートシティで、企業の活躍ぶりを見たいと思って視察に訪れた。そのついでに、この年の8月にシンポジウムで知り合いになった中国企業を訪問しただけだ。そのときにはIRの話もしていないし、カネももらっていない」と説明しました。

また中国企業がIRの誘致計画に投資する意向を示していた北海道留寿都村を去年2月に訪れたことについては、「地元の企業から遊びに来ないかと言われて家族旅行に行った」と話していました。

そのうえで秋元議員は、「中国企業側から陳情を受けたり便宜を図ったりしたことは一切なく、カネを受け取ったこともない。IRの整備法が成立する前の段階なのに、どうやったら便宜を図れるのか」などと述べ、不正への関与を強く否定していました。

秋元司衆議院議員とは

自民党の秋元司衆議院議員は東京都出身の48歳。

国会議員の秘書を経て平成16年の参議院選挙で初当選し1期務めました。

平成24年と平成26年の衆議院選挙では江東区が選挙区の東京15区から立候補し、いずれも比例代表で復活当選しました。

前回の衆議院選挙では小選挙区で初めて当選し、おととし8月から国土交通省の副大臣を、去年10月からことし9月まで環境省の副大臣を務めました。

ことし9月まで内閣府の副大臣も兼務し、去年10月まではIR・統合型リゾート施設などを担当していました。

IR・統合型リゾート施設とは

IR・統合型リゾート施設はカジノのほかホテルや商業施設、国際会議場などが一体となった複合施設で、政府の成長戦略の1つに位置づけられています。

平成28年12月にIRの整備を推進する法律が成立し、全国の自治体でIRの誘致に向けた活発になったほか参入を目指す海外の企業が積極的に営業活動を展開し始めました。

この法律で1年以内をめどにIRの整備に必要な法整備を行うことが政府に義務づけられ、去年7月、IRの整備法が成立しました。

成立した法律では、施設の整備区域について、当面は全国で3か所までとし、最初の区域認定から7年後に見直すとしているほか、事業者に対してカジノの収益の30%を国に納付することを義務づけています。

観光庁がことし9月までに全国の都道府県と政令市に対し、IRを誘致する意向があるかアンケートを行ったところ北海道、千葉市、東京都、横浜市、名古屋市、大阪府と大阪市、和歌山県、長崎県の8つの地域の9つの自治体が、整備計画の申請を予定、または検討していると回答しました。

このうち北海道では苫小牧市、釧路市、留寿都村が誘致を表明していましたが、ことし11月、北海道の鈴木知事は自然環境への懸念などを理由に誘致を断念する意向を表明していました。

IRをめぐる状況

IRをめぐっては、観光庁が行ったアンケートに対し、北海道、千葉市、東京都、横浜市、名古屋市、大阪府と大阪市、和歌山県、それに長崎県の8つの地域の9つの自治体が誘致の意向を示し、このうち北海道は先月、自然環境への懸念などを理由に当面、誘致を断念することを発表しています。

また、大阪府と大阪市は、ほかの自治体に先駆けて、24日からIR事業者の公募を始めました。

大阪では、2025年の「大阪・関西万博」の会場と同じ大阪 夢洲への誘致を目指していて、アメリカに拠点を置く「MGMリゾーツ・インターナショナル」と日本のオリックスの共同グループ、シンガポールに拠点を置く「ゲンティン・シンガポール」、マカオでIRを運営するGalaxyEntertainmentの日本法人が、事業のコンセプトを提出しています。

府と市では、来年の6月ごろに事業者を決定して、具体的な整備計画を策定する方針で、再来年の1月以降、国に申請を行うことにしています。

留寿都村 場谷村長「怒り覚えている」

秋元議員が逮捕されたことを受けて、北海道留寿都村の場谷常八村長は、「留寿都村は、世界一安全で安心なIRを迎え入れようということでコンセンサスを得て前に進めてきたし、国に対しても依存症対策を十分にやってほしいと呼びかけてきた。このようなダーティーな事件が起きたことは大変ショックで衝撃を受けているし、大変怒りを覚えている。1日も早く真相を解明してほしいと願うのみだ。今回の事件によるイメージダウンをどう回復していくか、今後みんなで力を合わせて取り組んでいきたい」と話しました。

留寿都村議会議長「秋元議員と副大臣室で面談」

北海道留寿都村の松井幸雄村議会議長は、去年4月、贈賄側の中国企業「500ドットコム」の顧問の紺野昌彦容疑者の仲介で東京・霞が関の国土交通省を訪ね、当時副大臣だった秋元議員と副大臣室で面談していたことを明らかにしました。

松井議長によりますと、「500ドットコム」が留寿都村へのIR誘致計画に投資を検討していると表明した去年1月、村内でリゾート施設を運営する札幌市の観光会社の経営者の紹介で紺野容疑者らと初めて会ったということです。

その後、紺野容疑者から、「非常に力のある方だから、名刺を渡しておいたほうがいい」と勧められたことから、去年4月、500ドットコムの顧問の仲里勝憲容疑者らとともに国土交通省を訪問し、当時副大臣だった秋元議員と副大臣室でおよそ1時間にわたって面談したということです。

松井議長は、「紺野容疑者はその場に来なかった。面談の内容は、ふるさと自慢や村の歴史の紹介がほとんどだった」と述べました。そのうえで、「秋元議員に対して、社交辞令で、留寿都村へのIR誘致が実現したらその時は、河川法や農地法などの関連法令にいろいろと問題が発生するのでよろしくお願いしますという話はした。しかし、秋元議員は誘致先を決める権限はなく、留寿都村にしてほしいなどという具体的な要望はしていない」と述べました。

そして、「秋元議員には極めて友好的に接していただき、本当に立派な方だと思った。普通はこんな小さな村の議長が副大臣室に1時間もいるなんてことはできないので、秋元議員と500ドットコム側の間には非常に信頼関係があったと思う」と話しました。

海外メディアも詳しく伝える

秋元議員の逮捕は海外メディアも詳しく伝えていて、カジノを含む、IR・統合型リゾート施設の今後の整備に影響する可能性が指摘されています。

このうち、アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズは「国会は反対の声にもかかわらず、カジノギャンブルを合法化したが、秋元議員の逮捕はこの新たな産業への打撃になる可能性がある」と伝えています。

また、ロイター通信も秋元議員がIRなどを担当する内閣府の副大臣を務めていたと指摘したうえで「今回の逮捕は、日本では一貫して人気が無かったカジノに対する反対意見を、より強くする可能性がある」としています。