ウイグル族人権侵害裏付ける内部文書を公開 各国記者の団体

ウイグル族人権侵害裏付ける内部文書を公開 各国記者の団体
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中国でウイグル族の人たちが不当に拘束されていると国際社会から批判が強まるなか、世界各国の記者でつくる団体は中国政府がウイグル族を監視する大規模なシステムを構築し、1週間で1万5000人余りを収容施設に送ったことなどが記された内部文書を公開しました。
各国の記者でつくる団体、「ICIJ=国際調査報道ジャーナリスト連合」は、24日、中国政府が新疆ウイグル自治区でウイグル族に対して行っている監視活動や、収容施設の運営について記した20ページ余りの内部文書を公開しました。

それによりますと、中国政府は携帯電話アプリの利用記録などの個人情報をもとにウイグル族に対する大規模な監視システムを構築し、この監視網を使っておととし6月には1週間で1万5000人余りを収容施設に送ったとしています。

また施設では、収容者に対し、ウイグル語ではなく中国語を使わせることや、脱走を防ぐために食事中や入浴中も監視を徹底することなどが記されています。

アメリカは中国政府がウイグル族に対する不当な拘束や虐待といった人権侵害を続けているとして、関与したとみられる政府当局者への入国ビザの発給を制限するなど圧力を強めています。

今回、中国政府による人権侵害を裏付ける文書が明らかになったことで、国際社会からさらに非難が強まることが予想されます。

中国外務省「中傷のたくらみ成功しない」

これについて中国外務省の耿爽報道官は25日の記者会見で、「メディアが卑劣な手段で問題をあおり立てて、中国のテロや過激化対策を中傷しようとするたくらみは成功しない」と述べて、強く反発しました。

そのうえで、「新疆ウイグル自治区が安定を保ち、民族が団結することが、メディアのデマに対する最も効果的な反撃だ」と述べ、ICIJの指摘は事実に基づいていないと強調しました。

内部文書が示す抑圧の実態

各国の記者でつくる団体、「ICIJ=国際調査報道ジャーナリスト連合」が入手したとする内部文書では、中国政府が職業訓練を行っていると主張する施設の運用方針が記されていて、抑圧された環境でウイグル族への思想教育などが行われていることがうかがえます。

この文書では、施設では訓練を行う部屋や寮などすべての場所に監視カメラを置くほか、逃亡を防ぐためトイレや入浴する際などにも徹底して監視することなどが指示されています。

また、施設では収容された人が施設外の活動に参加したり携帯電話を隠し持ったりすることを禁止するなどと記されています。

文書では、家族との連絡について少なくとも週に1回は電話することを認めるほか、毎月1回、ビデオ電話もできるとされていますが、ICIJはこの規定も十分に守られていないなどと指摘しています。

さらに施設から出る条件として、少なくとも1年以上入所し思想を改めることなどが必要だとしています。

中国政府は、職業訓練の施設だとして一部の海外メディアなどを招いて正当性をアピールしてきましたが、文書では、施設の職員に機密を守るよう強く要求していて、施設の情報が外部に漏れて国際社会から非難を浴びることを警戒しているものとみられます。

このほか、「ICIJ」が入手したとする別の文書では、中国政府が新疆ウイグル自治区で「一体化統合作戦プラットフォーム」という名の大規模な監視システムを構築し、ウイグル族を徹底的に管理していたことがうかがえます。

この監視網を使って中国当局が危険と判断する国内外のウイグル族などを特定していて、テロに関わった疑いがあるとする人物が海外から入国した際にはすぐに拘束するよう入国管理を厳しくするよう定められています。

また、内部文書では、当局が問題視する携帯電話のアプリを利用していたウイグル族180万人を特定したと指摘し、テロの疑いがある人物は施設などで徹底的に調べるべきだなどと強調しています。

専門家 「習指導部への反発の表れ」

各国の記者でつくる団体が、中国政府がウイグル族に対して行っている監視活動や、収容施設の運営について記した内部文書を公開したことについて、中国や香港の情勢に詳しい神田外語大学の興梠一郎教授は「習近平政権というのは、一強体制をつくって情報管理や規律を徹底し、敵なしの状況を作り上げてきたが、こうした文書が外国のメディアに渡されるというのは1つの規律のほころびで、内部では耐えられないという反発がかなり強くなっていると思う」と述べ、習近平指導部への反発の表れだとする見方を示しました。

そのうえで、「現在の中国は習近平政権になってから、学者も誰も意見を言えなくなっている状況で、これが一強体制の問題だ。今後、国内のさまざまな意見を聞いて修正を図っていかなければ、中国は国際的にも厳しい状況に置かれることになる」と指摘しました。