香港 市民と警察が衝突 東京農大生も身柄拘束

香港 市民と警察が衝突 東京農大生も身柄拘束
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抗議活動が続く香港では警察に包囲され、大学にとどまる学生たちを助けようという呼びかけに応じた大勢の市民が大学の周辺に集まりましたが、強制排除に乗り出した警察と衝突し、拘束される人が相次ぎました。一方で、抗議活動に関連して20代の日本人男性が大学の近くで警察に逮捕されていたことがわかりました。
香港の繁華街に近い香港理工大学には数百人の学生たちが構内にとどまっているとみられていますが、警察に包囲された状態が続いています。

構内に残る学生のなかには警察との衝突でけがをしている人もいて、18日の夜は学生たちを助けようという呼びかけに応じた大勢の市民が大学の周辺に集まり、抗議活動を行いました。

これに対して警察は催涙弾を発射して強制排除に乗り出し、一部の若者が火炎瓶を投げるなどして警察と衝突し、相次いで拘束されました。

一方で、外交筋によりますと、17日の夜、香港理工大学の近くで、抗議活動に関連して20代の日本人男性が警察に逮捕されたということです。

詳しい容疑などは明らかになっていませんが、当時、大学では学生と警察との間で激しい衝突が続いていました。

男性にけがはなく、健康状態に問題はないということです。

一連の抗議活動に関連して日本人が逮捕されたことが分かったのはことし9月に続いて2人目です。

外務省は香港に滞在する日本人に対し、「レベル1」の危険情報を出して抗議活動の現場には近づかないなど、十分、注意するよう呼びかけています。

身柄拘束は東京農業大学の学生

関係者によりますと、香港の警察に身柄を拘束された男性は東京農業大学の3年生の井田光さん(21)だということです。

井田さんの長野県内にある実家で、58歳の父親がNHKの取材に応じ、「息子はこれまでも海外によく行っていて、今回は3泊4日くらいの日程で香港に行くと聞いていた。デモに参加したわけではないはずなので、すぐ解放されると思っている」と話していました。

東京農大「私的な旅行で訪れていたようだ」

東京農業大学は「香港の日本領事館から連絡があり、本学の学生で間違いないと確認できた。プライベートの旅行で香港を訪れていたようだ。ご家族とも連携を取りながら引き続き情報収集に努める」としています。

茂木外相「拘束された日本人 けがなく体調も良好」

茂木外務大臣は閣議のあとの記者会見で、「17日に香港理工大学の周辺で日本人の20代の旅行者が拘束されたことを確認している。18日に総領事館員が面会を行い、本人はけがなく体調も良好であるということだ。政府としては邦人保護の観点から、家族と連絡を取るなどできるかぎり支援し、早期解放に向けて最大限努力したい」と述べました。

そのうえで、「昨今の香港情勢の緊迫化が長期間にわたり、大変憂慮しており、自制と対話による平和的な話し合いを通じた解決を関係者に求めたい。そして事態が早期に収拾され、香港の安全が保たれることを強く期待している。日本としてさまざまな機会を捉えて中国側にこの旨を伝達していて、今週末に名古屋で開かれるG20の外相会合に合わせて調整中の王毅外相との会談でもしっかり意思疎通したい」と述べました。

菅官房長官「できるかぎり支援をしている最中」

菅官房長官は閣議のあとの記者会見で18日、現地の総領事館が身柄を拘束された邦人男性と面会したことを明らかにしたうえで、「邦人はけがもなく、体調は良好であるということだ。政府としては、邦人保護の観点から、領事面会や家族との連絡など、できるかぎり支援をしている最中だ」と述べました。

また抗議活動が続く香港情勢について、菅官房長官は日本政府がこれまで1国2制度のもとに自由で開かれた香港の繁栄の重要性を指摘してきたが、そうした状況にはないという認識を示し、「わが国としては国際会議などで話し合いで解決できるように、そして1国2制度を保つことができるよう、働きかけはしっかり行っていきたい」と述べました。

香港高官 区議選延期も

抗議活動が続く香港では、今月24日に区議会議員選挙が予定されています。

これについて、香港政府で、選挙などの責任者を務める※ショウ徳権局長は、18日記者会見し、安全に投票が行えないようであれば、延期の可能性もあると述べました。

区議会議員選挙は香港の選挙のなかで、最も民意を反映しやすいとされ、香港政府が市民の要求に応じない中、今回は中国に批判的な民主派の議員が議席を伸ばすと見られています。

ショウ局長は、選挙を行う条件として暴力の即時停止と道路や鉄道など交通網への妨害をやめることなどをあげ、抗議活動をけん制するねらいがあるものとみられます。

※ショウは「耳」が3つ。

米国務長官 深く憂慮

アメリカのポンペイオ国務長官は18日、記者会見し、香港の大学周辺で警察がデモ隊を強制排除していることなどについて、「深く憂慮している。われわれは警察とデモ隊の双方に繰り返し自制を求めており、いかなる暴力も受け入れられない」と述べました。

そのうえでポンペイオ長官は「香港に平穏を取り戻すいちばんの責任は香港政府にあり、取締りだけで混乱と暴力は解決できない。香港政府は市民の懸念にこたえる明確な方策をとらなければならない」と述べ林鄭月娥行政長官に対して、警察の暴力的な取締りなどを検証する独立した調査の実施を求めました。

さらに、ポンペイオ長官は「香港の人たちは自由を求めているだけだ」と述べ、中国政府に対して、香港の高度な自治を認める「一国二制度」を守るよう改めて求めました。