野球少年の“ひじ” 6年生の17%は重い症状 全国大会で調査

野球少年の“ひじ” 6年生の17%は重い症状 全国大会で調査
「小学生の甲子園」と呼ばれる軟式野球の全国大会に出場した選手を対象にひじの検査を行ったところ、6年生では医師の診察が早急に必要な症状の重い選手がおよそ17%に上り、関係者は「待ったなしで手を打たないといけない」と危機感を強めています。
ことし8月に神宮球場などで開かれた全日本学童軟式野球大会は、全国のおよそ1万2000チームが参加した予選を勝ち抜いた51チームで争う「小学生の甲子園」と呼ばれる大会です。

主催した全日本軟式野球連盟は、期間中にほぼすべてとなる1年生から6年生までの854人の選手を対象に超音波を使ってひじの内側と外側の骨に異常がないかを調べる検査を初めて実施しました。

その結果、13%の112人がひじの軟骨が剥がれるなど、医師の診察が早急に必要な症状の重い段階でした。そして112人のうち、最上級生の6年生が75人とおよそ67%を占めました。

また、症状の重い選手が占める割合は人数が少ない1年生と2年生を除いて学年が上がるにつれて高くなり、6年生でおよそ17%となったほか、6年生は今回438人が調査を受けておよそ60%に何らかのひじの異常が見つかりました。

全日本軟式野球連盟の宗像豊巳専務理事は「驚きの数字で、これでは野球はおそろしいスポーツだと社会から思われてしまう。待ったなしで手を打たないといけないと痛感している」と話していました。

今回の検査と調査は

今回は、開会式のあとに超音波を使った検査と聞き取り調査が行われ、出場した51チームの854人が参加しました。

超音波の検査ではひじの内側と外側の骨に異常がないかを調べ、異常がある場合は病院で医師の診察が必要なほど症状が悪化しているかどうかを確認しました。

ひじのけがで病院に行くよう勧められた6年生の男子選手は、「今まで痛みを感じたことがなかった。このままでは危ないと先生に言われたのでしっかり治してから野球に打ち込みたい」と話していました。

また、栃木県のチームの監督は「ひじのけがには痛みがないまま進むものもあるので、検診をやってもらえれば早く発見できるので指導者としては非常にありがたい。ピッチャーに限らず、キャッチボールの球数も管理したりするなど気をつけていきたい」と話していました。

また、聞き取り調査ではこれまでに肩やひじが痛くなった経験があるかや病院で治療を受けたことがあるかなど10項目を調べました。

その結果、全体の37%にあたる315人が肩やひじが痛くなった経験があると答えたほか、4分の1にあたる214人が病院で治療を受けたことがあると回答しました。

年間350試合のチームも

ピッチャーの投げすぎによるけがを防ごうと、全日本軟式野球連盟はことしの全日本学童軟式野球大会から1日の投球数を70球までに制限するルールを導入し、都道府県の予選についても来年までに導入するよう各地区の連盟に求めています。

ただ、球数の制限を設けることができるのは公式戦にとどまり、練習や練習試合でけがを防ぐ対策は各チームの指導者に任されているのが実情です。

全日本軟式野球連盟が全国大会に出場したチームに1年間の試合数を調査したところ、年間350試合をこなしたチームがあったほか、29人の部員で年間300試合を組んでいるチームもあったということです。

こうしたチームは、土曜日や日曜日に1日で3試合から4試合を組むケースが多いということです。

今回の検査ではひじの症状が悪化していて、医師の診察が早急に必要だとされた割合が、3年生と4年生を合わせて6%、5年生で11%、6年生は17%と人数が少ない1年生と2年生を除き、学年が上がるにつれて割合が高まっています。

全日本軟式野球連盟は、長時間の練習や練習試合の過密化がけがのリスクを高める要因の1つになっているとしています。

このため連盟ではことし2月、練習試合は年間100試合以内、練習は1週間に6日以内、1日3時間を超えないこと、そして試合をしないシーズンオフの期間を少なくとも3か月設けることなどを定めたガイドラインを作っていて、宗像豊巳専務理事は「練習や試合がかなり過密化しているので監督やコーチは子どもの将来のためにやっているという意識で新たな感覚で指導してもらうことがいちばん必要だと思う」と話しています。