ノーベル文学賞 トカルチュク氏「東欧革命30年で受賞か」

ノーベル文学賞 トカルチュク氏「東欧革命30年で受賞か」
ノーベル文学賞の受賞者に中央ヨーロッパ出身の2人の作家が選ばれたことについて、中東欧文学が専門の東京大学の阿部賢一准教授は「ことしは東欧の革命から30年なので、もしかしたら、という期待はしていた。女性が選ばれたことも新しい兆候を感じる」と分析しました。
去年の受賞者のトカルチュク氏について、阿部准教授は「女性が選ばれたことは新しい兆候を感じる」としたうえで、「彼女はポーランドの国境に住んでいる人で、彼女の作品は国境をこえたいろいろな人の生活を生々しく女性の視点から描いているのが特徴だ」と述べました。

そのうえで、「特定の国の文学というより、歴史的に複雑な国境地帯の人々の生き様を、例えば料理のレシピを作品に交えるなどして生活感のある作品にした。中央ヨーロッパの歴史は重く描く人が多い中、軽やかに描いたのが特徴で、それが評価されたのはとてもいいことだ」と分析しました。

トカルチュク氏が2013年に来日した際、阿部准教授は一緒に講演会を開いたということで、その人柄について、「非常にやわらかい物腰で、いつも笑顔を絶やさない人だった。仏教や東洋思想に関心を持つ一方、食べ物や人の所作など人間の生活そのものにまで幅広く興味をもっていて、大きい問題から小さい問題まですべてつながっているという考えを持っているようだった」と話していました。

また、ことしの受賞者のハントケ氏について「トカルチュク氏と同じく中央ヨーロッパの作家だが、こちらはオーストリアに特化した作品を多く執筆している。ナチスの過去もあるオーストリアの歴史の複雑な部分を、ジャーナリスティックに描いている。繊細な描写が特徴的だ」と評価しました。