被ばく事故の治療マニュアル 初めて作成へ 原子力規制庁

被ばく事故の治療マニュアル 初めて作成へ 原子力規制庁
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放射性物質の活用が医療や工業分野を中心に広がっていることから、原子力規制庁は被ばく事故に備えて治療方法をまとめたマニュアルを初めてつくることになりました。
放射性物質は原発などの原子力関連施設のほか、近年、放射線の照射によるがん治療や製品の内部の検査といった用途にも使われ、医療や工業分野を中心に活用が広がっています。

こうした状況を踏まえて、原子力規制庁は万一の被ばく事故に備えて、治療方法をまとめたマニュアルを初めてつくることになりました。

すでに千葉市にある量子科学技術研究開発機構に作成を依頼していて、IAEA=国際原子力機関の指針などを参考にしながら、過去に起きた国内外の被ばく事故の治療実績や最新の知見を集めます。

そして、患者にあらわれる特有の症状や有効な薬の種類、投与のタイミングなどを具体的にまとめる方針です。

さらに作業員2人が亡くなった茨城県東海村の臨界事故のような高線量被ばくだけでなく、低線量の被ばくや放射性物質を吸い込むなどして起きる内部被ばくなどにも対応できる内容にするとしています。

原子力規制庁は今後、作成の作業を本格化させる考えで、「これまでは病院ごとに対応が任され、ノウハウが十分に共有されていないとの指摘もあったことからマニュアルの作成で対応力の向上につなげたい」としています。

医師「放射線事故のリスク増す」

20年前に茨城県東海村で起きた臨界事故の際、高線量の被ばくをして、亡くなった2人の作業員の治療に当たった東京大学名誉教授で医師の前川和彦さん(78)はマニュアルについて、「いろいろな検査や治療などで放射線を扱う現場が増えていて、以前よりも放射線事故のリスクは高くなっていると言える。また、ヨーロッパなどでは核のテロを念頭に入れて、テロ対策として被ばく医療マニュアルを作っている。日本でもこれまでに蓄積してきたものを整理しまとめておく必要がある」と話しています。