北朝鮮漁船と水産庁漁業取締船が衝突 能登半島沖

北朝鮮漁船と水産庁漁業取締船が衝突 能登半島沖
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水産庁の漁業取締船と北朝鮮の漁船が衝突した事故について、水産庁は日本のEEZ=排他的経済水域から出るように警告していた際に発生したと明らかにしました。
7日午前9時すぎ、日本海の大和堆の周辺水域で水産庁の漁業取締船と北朝鮮の漁船が衝突しました。

水産庁・漁業取締課の桑原智課長は記者団に対して「北朝鮮と思われる漁船に対して日本のEEZ=排他的経済水域から退去するよう警告していた際に発生した」と述べました。

この海域では外国漁船による違法なイカ漁が行われていて水産庁の漁業取締船は外国漁船に対して、違法操業が疑われる場合には海域から退去するよう警告を行っています。

また桑原課長は、漁船の乗組員の救助活動を行っているとして、詳しい人数などは調査中だとしています。

水産庁では、どちらの船から衝突したかなど衝突した時の詳しい状況について調べています。

江藤農相「漁船が急旋回したためぶつかった」

この事故について、江藤農林水産大臣は衝突時の状況について「漁船が急旋回したためぶつかった。取締船の航行に問題はなく人的被害もなかった。現在、救命艇で人命救助に全力をつくしている」と述べました。

農水次官「水産庁側には けが人なし」

農林水産省の末松広行事務次官によると「午前9時7分に水産庁の漁業取締船と北朝鮮とみられる漁船が接触した。漁船は沈没しつつあるかすでに沈没したかもしれない。いま救助を行っている。場所は日本の200海里以内の排他的経済水域内だ。水産庁の側にはけが人はいないとみられる」ということです。

ことし5月下旬から1016隻に警告

石川県の能登半島沖の日本の排他的経済水域で、「大和堆」と呼ばれる周辺海域では、海上保安庁の巡視船と水産庁の漁業取締船が北朝鮮の漁船の違法操業の取締りを強化していて、排他的経済水域に侵入した漁船に対して警告や放水などを行って退去させています。

海上保安庁によりますと、この海域ではことし5月下旬から7日午前8時までに延べ1016隻に対して排他的経済水域から出るよう警告を行い、このうち従わなかった189隻に放水を行ったということです。一方、水産庁のホームページによりますと、ことし8月5日までに延べ498隻に対して警告を行い、このうち121隻に放水をしたということです。

退去警告 去年1年間では5300件余

水産庁によりますと、去年1年間で大和堆周辺では合わせて5300件余りの退去警告を行っていて、3年前に比べておよそ1.4倍に増えています。このうちおよそ2000件について放水を行ったということです。

また違法な操業が疑われる場合には法律に基づいて外国漁船に対する立ち入り検査を行い、悪質なケースでは漁船を拿捕(だほ)することもあります。

去年1年間では14件の立ち入り検査を実施し、韓国やロシアの漁船6件について拿捕しています。水産庁では全国で44隻の漁業取締船が違法操業の取締りなどの活動にあたっています。

官邸に情報連絡室

今回の衝突を受けて政府は午前10時、総理大臣官邸の危機管理センターに「情報連絡室」を設置し、情報収集などにあたっています。

漁業に力入れる北朝鮮

経済制裁が科されている北朝鮮はキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の指示のもと、水産部門に力を入れていて、最近では密漁の疑いで拿捕(だほ)される漁船が相次いでいます。

北朝鮮では軍が農場や水産事業所を所有して経済活動も行い、漁船は各部隊の傘下に所属して漁に出ています。

北朝鮮の国営メディアはキム委員長が去年12月に日本海側にある軍の水産事業所3か所を相次いで訪問し、軍の幹部らに漁業活動に力を入れるよう指示を出したと伝えました。

キム委員長はことしの元日の演説でも水産部門について「物質的・技術的土台を強化して漁業を科学化し、水産業発展の新しい道を開くべきである」と強調しています。

こうした背景には北朝鮮では経済制裁などにより食糧事情が悪化しているほか、水産業が貴重な外貨の獲得手段になっていることがあるものとみられています。

最近では日本海のロシアの排他的経済水域で北朝鮮の漁船が密漁の疑いで拿捕されるケースが相次いでいて、先月だけで合わせて40隻以上の北朝鮮の漁船がロシア当局に拿捕されています。