温暖化対策訴え 若者中心のデモ 世界150か国以上で

温暖化対策訴え 若者中心のデモ 世界150か国以上で
国連の温暖化対策サミットを前に高校生ら若者が中心になって温暖化対策を訴えるデモが行われ、主催者側によりますと、世界150か国以上で400万人を超える人が参加する、温暖化対策を求めるものとしては過去最大規模のデモとなりました。
このデモは、スウェーデンの16歳の少女、グレタ・トゥーンベリさんが、毎週金曜日に学校を休んで温暖化対策を訴え続けてきた活動をきっかけに、20日、世界各国で一斉に行われました。

国連の温暖化対策サミットが行われるアメリカ・ニューヨークでは、市内の高校生らが大規模なデモを行い、主催した団体の発表ではおよそ25万人が参加しました。

参加者は中学生や高校生といった若い世代が中心で、温暖化対策を求めるメッセージが書かれた看板をかかげたり、「今すぐ温暖化対策を」と声を上げたりしながらおよそ2キロを行進しました。

参加した9歳の男の子は「世界各国の政府が何もしなければ、僕たちに未来はないと思う。政治家は温暖化対策をすぐに行動に移してほしい」と話していました。

サミットに参加するためアメリカを訪れているグレタさんも参加し、「危機を傍観するのではなく行動しなければ世界は変わりません。サミットに参加する首脳たちに声を届け、行動するよう求めましょう」と訴えかけました。

主催者側は、デモは、日本をはじめ、世界150か国以上で行われ、参加者が400万人を超える、温暖化対策を求めるデモとしては過去最大の規模になったとしています。

今月23日の温暖化対策サミットには60か国以上の首脳が出席する見通しですが、若者たちの要望に対し、どのような成果で答えられるのかが問われています。

ニューヨークのデモ 高校生らが計画

世界で同時に行われた温暖化対策を求めるデモは、主に中学生や高校生といった若い世代が主導して行われました。

アメリカ・ニューヨークのデモは、グレタさんが国連の温暖化サミットに参加することが発表されたあとの6月から、市内の高校生らが中心になって計画が始まりました。このうちの1人、カルビン・ヤンさんは去年、グレタさんの訴えを知り、同じようにグレタさんに触発された仲間たちと、温暖化防止を訴える活動をはじめました。

「10代の若者にはそんな力はないと思っていたけど、グレタさんは16歳でもこんな大きな影響を与えられることを示してくれたんです」。

ヤンさんたちは大勢の生徒が20日のデモに参加できるよう、自分たちの通う学校やニューヨーク市の教育当局と交渉して、デモに参加する生徒は欠席してもいいという許可を取り付けました。またテーマソングを作ったり、ソーシャルメディアで情報を拡散したりして、同じ年代の若者の関心を高めました。

そして、20日当日。行進のスタート地点には身動きが取れないほどの若者が集まりました。

「危機を傍観するのではなく行動しなければ世界は変わりません。サミットに参加する首脳たちに声を届け、行動するよう求めましょう」。
「世界は、若者たちが行動、それに変化を求めていることを知るべきだ」。

学校を休みデモ参加 市教育局が許可

今回、ニューヨーク市の教育局は、公立学校の児童、生徒100万人以上に学校を休んで温暖化対策を訴えるデモに参加することを許可する異例の対応を取りました。

また全米の科学者ら2000人以上が、許可が出ていない学校でも、抗議活動への参加を希望する生徒が欠席の理由を示せるよう、病気で学校を休む際提出する「医師の診断書」に代わる、「博士の診断書」=「ドクターズ・ノート」を発行すると宣言し、支援するなど、社会が温暖化対策に立ち上がる若者の行動を後押しする動きが相次ぎました。

「博士の診断書」運動に参加したニューヨーク大学のカッサンドラ・ティール准教授は、「今回は病気の地球のために生徒が欠席する特別なケースだ」と述べ、若い世代の行動を尊重するべきだと話していました。

IT企業など協力表明 従業員が連帯のストライキも

温暖化対策を求める高校生らの声に応じて、大人たちの間でも支援の活動が広がりました。

アメリカ・シアトルにあるIT大手、アマゾンの本社ではおよそ1000人が、会社に対し温暖化対策を求めるストライキを行いました。

また全米各地で、フェイスブック、グーグル、マイクロソフトなどの大手IT企業の従業員合わせて数千人が連帯を示すストライキを行ったということです。

アマゾンは、こうした各地の活動を前に、19日、会社として、電気自動車10万台のほか風力、太陽光といった再生可能エネルギーを導入し、2040年までに温室効果ガスの排出量を差し引きでゼロにする計画を発表しています。

また、デモを主催する若者たちの呼びかけに応じて、IT企業などおよそ6000社が、インターネットのサイト上で温暖化防止に協力することを表明しました。

さらにスポーツ用品メーカーの「パタゴニア」や「バートン」など130以上の企業が、店舗を閉店するなどして従業員がデモに参加できるようにするなど、若い世代の活動を支援する動きが企業の間でも広がりました。

アメリカ トランプ政権下でも62%が「温暖化心配」

温暖化対策に消極的とされるトランプ政権のアメリカでも、国民の意識に変化が見られると専門家は指摘します。

アメリカ・イェール大学が、毎年2回継続して行っている温暖化に対する意識調査の最新の結果では、62%の人が温暖化について「とても心配」、あるいは「心配」だと答えました。

これは、9年前よりも13ポイント増加していて、人々の温暖化に対する関心の高まりがうかがえます。

また温暖化が「実際に起きている」と答えた人の割合は69%と、9年前とくらべ12ポイント、温暖化は人間の活動が原因だと答えた人の割合は55%と、9ポイントそれぞれ増加しました。

アメリカでは、ここ数年、ハリケーンによる被害が相次いでいて、おととし、プエルトリコを襲ったハリケーン「マリア」での死者はおよそ3000人に上ったほか、去年は、8つのハリケーンが発生し、日本円で5000億円を超える被害をもたらしました。

また、カリフォルニア州では大規模な森林火災が相次ぎ、去年だけでもおよそ100人が死亡、歌手のマイリー・サイラスさんや、ニール・ヤングさんの家も焼けるなど、世界的な関心が集まりました。

こうした自然災害が深刻化する背景には、温暖化による海水面の温度の上昇や、林野の乾燥化などが原因だという研究結果も報告されています。

調査を行っているイェール大学のアンソニー・ライゼロウィッツ博士は、「最近、アメリカ本土を襲った激しい自然災害の被害を、メディアを通じて目にすることが多くなったことが変化の背景にあると考えられる。これまで一般的に温暖化対策に消極的だった共和党の支持者の中でも、若い世代は、より高齢の世代と意見が分かれ、政治家に温暖化対策を求めるようになっている」と分析しています。