「ゲノム編集」技術使った食品 届け出で年内にも販売可能に

「ゲノム編集」技術使った食品 届け出で年内にも販売可能に
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遺伝子を自在に操作できる「ゲノム編集」の技術が使われた食品を流通させる際のルールについて厚生労働省は通知を出し、来月以降、国に届け出れば「ゲノム編集食品」の販売が可能になりました。早ければ年内にも国内での販売が始まる見通しです。
ゲノム編集は特殊な酵素を使って遺伝子を自在に操作する技術で、現在、収穫量の多い稲や肉づきのよいたいなど、新たな農水産物を作り出す研究開発が各地で進められています。

厚生労働省は19日、ゲノム編集食品を流通させる際のルールについて定めた通知を出し、来月1日以降、届け出れば国内で販売することが可能になりました。

通知されたルールでは開発した企業などに対し、販売を始める前に遺伝子をどう改変したかや、アレルギーの原因物質や毒性がある物質が増えていないかなどの情報を厚生労働省に届け出ることを求めています。

国は販売される品目や開発した企業名などをウェブサイトで公表し、届け出をしない場合や虚偽の届け出をした場合はその事実を公表することがあるとしています。

一方、ゲノム編集食品であることの表示について、消費者庁は義務とはせず、企業に対して消費者が選択できるよう自主的に表示したり、ウェブサイトなどで情報提供したりするよう求めています。

アメリカではゲノム編集した大豆で作った食用油の販売が始まっているほか、日本国内でも血圧を下げるとされる成分を多く含むトマトの販売を計画している企業があり、早ければ年内にも販売が始まる見通しです。

流通や販売のルールは

今回の通知を受けてゲノム編集食品を開発している企業などは来月1日以降、事前に厚生労働省に届け出をすれば販売できるようになります。

現在開発が進められているゲノム編集食品は、もともとある遺伝子の一部を働かなくしたもので、国は従来行われてきた品種改良によってできた食品と安全性は変わらないため、安全性審査を受ける必要はなく届け出のみで十分だとしました。

届け出が求められるのは、どのような遺伝子の改変を行ったかや健康に悪影響をあたえるアレルギーの原因物質や毒性のある物質が増えていないか、それに販売を始める時期などの情報です。

厚生労働省はこのうち企業などの名前やどのような遺伝子の改変を行ったかなどについての情報をウェブサイトで公表するほか、専門家でつくる国の調査会にも報告するとしています。

届け出は法律で定められた義務ではないため、違反しても罰せられることはありません。

ただ届け出なかったり、虚偽の届け出をしたりした際には厚生労働省はその事実を公表する場合があるとしています。

一方、ゲノム編集技術を応用すると、外部から別の遺伝子を組み込むことも可能ですが、この場合は、「遺伝子組み換え食品」とみなされるため、国の安全性審査を受ける必要があります。

表示義務化せず

「ゲノム編集食品」の流通ルールが通知されたことを受けて消費者庁は流通の際の表示のルールを公表し、「ゲノム編集食品」であることの表示は義務とはしないとしました。

消費者庁は、ゲノム編集食品が流通する際の表示のルールを19日通知しました。それによりますと、ゲノム編集を行っていても別の遺伝子が組み込まれておらず、品種改良をしただけであれば、通常の食品と区別ができないとして表示は義務とはしませんでした。

一方で、消費者が選択できるようにするためとして、企業に対してゲノム編集食品であることを自主的に表示したり、ウェブサイトなどで情報提供したりするよう求めています。

また、「ゲノム編集食品ではない」と表示することについては、表示することはできるものの、流通の記録など十分な根拠が必要だとしました。

消費者庁の伊藤明子長官は、「ゲノム編集食品かどうかを知りたいという消費者の思いに応えるため、業界などには情報提供を働きかけるとともに今後、必要があれば見直しも含めて対応していきたい」と話しています。

ゲノム編集とは

「ゲノム編集」は、遺伝子をまるで文章を編集するように自在に操作する技術で、世界中で研究が進められています。

この技術によって、DNAの特定の場所だけを切断してねらった遺伝子だけを働かなくさせることや、従来の遺伝子組み換え技術よりもはるかに正確に別の遺伝子を組み込むことなどが可能になりました。中でもねらったDNAを切断する方法は、さまざまな農産物の品種改良への応用が期待されています。

従来の品種改良では遺伝子の突然変異で偶然、よい性質を持つようになったものを見つけ出し、何度も掛け合わせる必要などがあるため長い時間がかかっていましたが、ゲノム編集を使うと、突然変異が起こってほしい場所のDNAだけをねらって切断することで、かかる時間を大幅に短縮できます。

この方法を使って、日本でも収穫量の多いイネや体の大きいタイなど、さまざまな新しい品種の開発が進められています。