停電復旧を阻む大量の倒木 病気で空洞化したスギが一因か

停電復旧を阻む大量の倒木 病気で空洞化したスギが一因か
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台風15号による千葉県の大規模停電の発生から10日、復旧を阻む大量の倒木が生じた原因の1つが見えてきました。倒木の現場やその画像を専門家が調べたところ、幹の内部が空洞化する病気にかかり折れたスギが相次いで確認され、専門家は、この病気が多いところでは同じようなことが起きるおそれがあると警鐘を鳴らしています。
千葉県の大規模停電では大量の倒木のため、各地で電線が切断されて停電が広がっただけでなく、道路を塞ぐなどして復旧の妨げとなり、倒木が停電の規模を拡大させ長期化を招いています。

樹木に詳しい千葉大学大学院園芸学研究科の小林達明教授は数多くの倒木が残る山武市の現場や、県内各地の復旧現場で撮影された倒木の画像などを詳しく調べました。

山武市の現場ではヒノキなど、スギ以外の倒木も見られたものの、倒木の大半が幹の内部が空洞化する「溝腐病(みぞぐされびょう)」と呼ばれる病気にかかったスギでした。

また倒木の画像でも、病気とみられるスギが各地で確認され、小林教授は病気で空洞化したスギが次々と折れたことが、大量の倒木が生じた原因の1つとみられると指摘しています。

小林教授は「大量の倒木がここまで生活に影響する事態は自分も想像できなかったが、これまでの林業の衰退のつけが回った形で、起こるべくして起きたともいえる」と話し、このスギの病気が多いところでは同じようなことが起きるおそれがあると、警鐘を鳴らしています。

空洞化したスギを各地で確認

小林教授によりますと、「溝腐病」と呼ばれる病気は、スギの幹の内部で菌が繁殖し腐って空洞化するため、強度が低下して折れやすくなるということです。

この病気にかかったスギは表面にできる特有の溝で見分けることができます。山武市の倒木の現場で確認された倒木の大半がスギで、そのほとんどに病気特有の溝ができていました。

さらに倒木処理の現場で撮影され公開されている画像でも、小林教授は木更津市と成田市の倒木について病気のスギだと指摘しているほか、富津市の倒木も病気のスギの可能性があるとし、各地で病気のスギが次々と折れたことが大量の倒木が生じた原因の1つだと指摘しています。

千葉県が「サンブスギ」という県特産のスギについて行った調査では、82%ものスギで「溝腐病」の一種が確認されるなど、日本のスギ林にこの病気が広がっていると指摘されています。

小林教授は「今回のように、倒木が停電の原因や復旧の妨げとなるだけでなく、例えば土砂災害で被害を拡大するなどの危険性も考えられる」と話し、災害時に病気のスギが大量に折れて被害や影響が拡大するケースが今後も各地で相次ぐおそれがあると指摘しています。