パラ競泳世界選手権 エース木村が銀メダル パラ出場枠確保

パラ競泳世界選手権 エース木村が銀メダル パラ出場枠確保
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イギリスで開かれているパラ競泳の世界選手権は、大会4日目の12日、男子200メートル個人メドレーの視覚障害のクラスで、エースの木村敬一選手が銀メダルを獲得し、日本が来年の東京パラリンピックの出場枠を手にしました。
イギリスのロンドンで行われているパラ競泳の世界選手権では、優勝した日本選手は東京パラリンピックの代表に内定し、2位以内に入ると、日本に出場枠が与えられます。

大会4日目の12日には、男子200メートル個人メドレーの視覚障害のクラスの決勝に、前の日に銅メダルを獲得している、日本のエースで、この種目の日本記録を持つ木村選手と、予選で木村選手を上回る好タイムを出した富田宇宙選手が出場しました。

決勝では2人ともスタートから飛ばし、木村選手が最初の得意のバタフライでトップに立ちました。

その後、背泳ぎでは抜かれたものの、平泳ぎと最後の自由形で持ち味のダイナミックな泳ぎと粘りを見せて2番手を守り、みずからがもつ日本記録に0秒54届きませんでしたが、2分26秒58で銀メダルを獲得しました。

木村選手は今大会2つめのメダルで、日本が出場枠を獲得しました。

富田選手は、最後の得意の自由形で追い上げましたが、2分30秒17でメダルに届かず、4位でした。

優勝はオランダのロヒエル・ドルスマン選手で、これまでの記録を0秒38縮める、2分22秒02の世界新記録をマークしました。

このほか、女子100メートル平泳ぎの視覚障害のクラスの決勝では、22歳の辻内彩野選手が、みずからが持つ日本記録を1秒28縮める、1分19秒85のタイムで、今大会、自身初の銅メダルを獲得しました。

また東京パラリンピックで新たに行われる、知的障害のクラスの男女2人ずつが泳ぐ混合400メートルリレーでは、男子が東海林大選手と中島啓智選手、女子が北野安美紗選手と芹澤美希香選手がチームを組みました。

日本は、この種目で4分2秒03の世界記録を持っていましたが、イギリスが日本の記録を19秒82縮める、3分42秒21の世界新記録をマークして、優勝しました。

日本は、これまでの記録を1秒02縮めて、4分1秒01の日本新記録でしたが、6位でした。

木村「思った以上に体が動いた」

今大会で、自身2個目のメダルとなる銀メダルを獲得した木村敬一選手は、「記録的には、限りなく自己ベストに近いところで泳げて、自分が思った以上に体も動いたと思う。富田選手の調子がよかったので、絶対に負けたくないという思いが、結果につながった。銅から銀にメダルが上がって、自分の中の気持ちも盛り上がってきている。あしたは、しっかりと調整し、疲労も含めてリセットして新しい気持ちで次のレースに臨みたい」と話しました。

富田「悔しい、力不足」

4位の富田宇宙選手は、「悔しいです。予選のタイムなら、メダルがとれていたと思う。決勝ではうまくいかないところもあって悔いが残るレースになった。力不足です。また、しっかりと練習します」と振り返りました。

また、日本選手2人が決勝に進んだことについては、「自分たちよりすごい選手がたくさんいる中で、木村選手と思い切りレースができることは、本当にスポーツの大会に来ているなという感覚で、結果が難しい部分があっても楽しませてもらっている」と話しました。

富田宇宙選手とは

富田宇宙選手は熊本市出身の30歳。

視覚障害が最も重いクラスです。

3歳の時に競泳を始めましたが、高校2年生の時に、徐々に視野が失われていく進行性の病気と診断されました。

大学では競技ダンスに転向し、全日本学生選手権にも出場しました。

6年前に再び競泳を始めたころは、「プールのセンターラインがかすかに見えていた」ということですが、病気の進行に伴って視野がさらに狭くなり、おととし、障害が最も重いクラスになると、世界のトップクラスと肩を並べることになりました。

現在は、日本体育大学で、健常者のトップ選手と同じ練習メニューをこなして、多いときには1日20キロを泳ぎ、レース後半も持続される、持久力とテンポのいい泳ぎを強みとしています。

世界選手権は初めての出場で、メイン種目と位置づける400メートル自由形と、エースの木村敬一選手と争う100メートルバタフライで、金メダル獲得を目指しています。

東京パラリンピックに向けては、「400メートル自由形で金メダルを取りたいという気持ちが誰よりもある」と、初出場での金メダル獲得に意欲を示しています。

辻内「メダル何色でもうれしい」

今大会、自身初のメダルで、日本としては5個目となる銅メダルを獲得した辻内彩野選手は「すごくうれしい。メダルは何色でも、とれたことがうれしい。前半からしっかり攻めるということと、後半に粘るのは得意なので、がんばった。パラの世界に来てからやり始めた平泳ぎでメダルが取れたというのは、とても自信につながる。あすは、ゆっくり休養をとって、次の混合リレーに挑みたい」と話しました。

辻内彩野選手とは

辻内彩野選手は、東京 江戸川区出身の22歳。視覚障害が最も軽いクラスです。

水泳のコーチをしていた父親の影響で、小学3年生で水泳を始め、高校では全国大会にも出場しましたが、大学1年のときに視力低下や視野の異常を生じる進行性の難病、「黄斑ジストロフィー」と診断されました。

2年前から、パラ競泳に本格的に取り組み、抵抗の少ないまっすぐな水中姿勢を武器に、次々と日本記録を更新しました。

去年のアジアパラ大会では、4つの銅メダルを獲得、その後も飛び込みの改良などを行い、成長を続けてきました。

世界選手権では、自己ベスト更新を目標にかかげ、地元、東京で開催されるパラリンピックでの、メダル獲得を目指しています。

芹澤美希香選手とは

知的障害のクラスの芹澤美希香選手は、横浜市出身の19歳。

幼いころに、自分の気持ちをことばで表現することなどが苦手な、広汎性発達障害と診断され、水泳は小学校に入ってから始めました。

柔らかい足首を使ったキックで推進力を生み出す、平泳ぎを得意としていて、メイン種目としている100メートルの平泳ぎでは、ことし6月の国内大会で、1分20秒13をマークして、日本記録を更新しています。

東京パラリンピック出場を目指しています。

北野安美紗選手とは

知的障害のクラスの北野安美紗選手は、奈良市出身の16歳。

生まれた時から発達障害がある北野選手は、4歳から水泳を始め、中学生のころから、パラ競泳の大会に出場するようになりました。

メイン種目の200メートル自由形では、前半から積極的にスピードに乗って、後半にかけて粘る展開を得意としていて、去年のアジアパラ大会では、この種目で金メダルを獲得しました。

目標の選手として、白血病で休養中の池江璃花子選手をあげています。初めての出場となる世界選手権では、入賞と自己ベスト更新を目標にしていて、東京パラリンピック出場も目指しています。