五輪マラソン代表選考“MGC” 瀬古利彦さん解説“男子編”

五輪マラソン代表選考“MGC” 瀬古利彦さん解説“男子編”
今月15日に東京オリンピックのマラソンの代表選考レース、MGC(=マラソン グランド チャンピオンシップ)が行われます。31人が出場を予定する男子について日本陸上競技連盟の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダーは、日本記録保持者の大迫傑選手を軸に自己ベストのタイムが上位の「4強」を中心にレースが進むと予想しています。

大迫は“ナンバー1の実力”

MGCは男女とも3人の代表選手のうち2人を一発勝負で決めるレースです。厳しい基準を突破した男子の31人の選手の中でも、瀬古さんが「ナンバー1の実力」と認めるのが、2時間5分50秒の日本記録を持つ大迫選手です。

瀬古さんは大迫選手について「強みは42キロでしっかりと自分の力を出し切るペース配分にある。気持ちもぶれないし、メンタルが強い。そのうえ5000メートルで日本記録を持つほどスピードもある。スピードもあって長い距離も強いわけだから、常識から考えたら誰よりも強い」と評価しました。

“4強”中心のレース展開か

「大迫選手中心のレースになるのは間違いない」という瀬古さん。
一方で大迫選手に対抗する力があると見るのは、
▽前の日本記録保持者の設楽悠太選手、
▽去年のアジア大会で優勝した井上大仁選手、
▽去年の福岡国際マラソンを制した服部勇馬選手の3人です。
瀬古さんは設楽選手について「大迫選手に日本記録を破られて悔しい思いでいるので、絶対負けたくないとレースに来る。最初から行くかもしれないし、何をやるか分からない楽しみがある」と話しました。
井上選手については「真夏のアジア大会で勝ったことが大きい。大迫選手や設楽選手よりも暑いレースでの実績がある」としています。
服部選手については「何といっても後半にペースアップできるスタミナがあり、最後の上げは大迫選手や設楽選手の脅威になる」と話すなど、大迫選手にこの3選手を加えた“4強”を中心にレースが進むと予想しています。

31人の“つぶし合い”

総勢31人が臨む今回のMGC。
瀬古さんは、ペースメーカーがいないため「常識的には余分な力を使わずにスローペースになりがち」としながらも、“4強”以外の選手にとっては駆け引き次第で前に出るチャンスが出てくると見ています。

瀬古さんは「力を残して最後まで行ったら当然スピードがある選手が有利になるので、そうはさせじという選手が出てくる。本当につぶし合いになると思っている。みんなが途中でスパートをかけあったり、揺さぶったりして、有力選手のスタミナを奪おうとする。『まともに戦ったら勝てない』と、一か八かの勝負にでて逃げるところまで逃げてみようという選手もいるんじゃないか。ここで新しいスター選手が出てくることをわれわれは望んでいる」と話していました。

MGCの経験を五輪へ

男子マラソンは、去年誕生した世界記録が2時間1分39秒。
日本記録との差は4分以上ありますが、選手たちにとって一発勝負のMGCの経験は「オリンピックに向けて大きい」と瀬古さんは考えています。

瀬古さんは「MGCは本番と近い暑さで、本番と同じコースを走るので代表選手は海外の選手より1つも2つも有利な状況でオリンピックを迎えられる。これは大きな強みになる。今回、本当のプレッシャーの中でこのMGCを勝ち抜いた人に世界の舞台で堂々と戦ってほしい」と期待を込めました。