「こうのとり」打ち上げ中止 火災は発射台の開口部付近

「こうのとり」打ち上げ中止 火災は発射台の開口部付近
k10012075131_201909110451_201909110453.mp4
国際宇宙ステーションに物資を運ぶ日本の宇宙輸送船「こうのとり」8号機を載せたH2Bロケットは、11日午前6時半すぎに打ち上げられる予定でしたが、発射台で火災が起き、11日の打ち上げは中止されました。火災は、ロケットの炎などを逃す発射台の「開口部」と呼ばれる付近で起きたということで、打ち上げを行う三菱重工業は火災の原因や機体への影響を調べています。
日本の宇宙輸送船「こうのとり」8号機を載せたH2Bロケットは、11日午前6時33分に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられる予定でした。

しかし、打ち上げ予定時刻の3時間半ほど前の午前3時5分ごろ、ロケットが据え付けられた発射台で火災が起きたため、打ち上げは中止されました。

三菱重工業によりますと、火災は、発射台のロケットからの炎や煙を逃がす開口部付近で起きていて、2時間ほど燃え続けたということです。

火が出た発射台はH2Bロケット専用のもので、10年前の1号機の打ち上げから使用されていましたが、火災によって打ち上げが中止されたのは初めてだということです。

また、10日にロケットを発射地点に移動させる際に、発射台の開口部に異常がないことを確認しているということで、三菱重工業などは火災の原因や機体への影響を調べています。

開口部とは

開口部はロケットから出る高温の燃焼ガスを発射台の下に排出するためのもので、直径5メートルの大きな穴と、その四方に直径2.5メートルほどの4つの穴があります。

三菱重工業によりますと、今回の火災は、メインエンジンの燃焼ガスを通す直径5メートルの最も大きな穴の側面で発生したとしています。

宇宙ステーションの物資 当面は影響なし

H2Bロケットには国際宇宙ステーションに物資を運ぶ無人の輸送船「こうのとり」の8号機が搭載されていました。

「こうのとり」を開発したJAXA=宇宙航空研究開発機構の担当者は、11日の記者会見で、「NASA=アメリカ航空宇宙局との取り決めの中に、いつまでに打ち上げなければならないという期限はなく、火災の原因究明などが終わり次第、次の打ち上げ時期を国際的に調整することになる。宇宙ステーションの物資の備蓄量は十分で、当面、補充がなくても大丈夫な状況であり、今回交換する予定の宇宙ステーションのバッテリーの消費状況についても、来年の終わりごろまでは少なくとも大丈夫だと解析している」と話しています。

専門家「燃料漏れの可能性はない」

今回の火災について、宇宙工学に詳しい大同大学の澤岡昭 名誉学長は「これまで日本は宇宙ステーションへの物資の輸送をトラブルなく担ってきただけに大変驚いている。映像を見ると爆発的な燃え方はしておらず、燃料の液体水素が漏れて引火した可能性はないと思う。現時点では全く情報がないため、あくまで推測にすぎないが、発射台の中にある可燃物としては、油圧装置に使われる油や絶縁体として使われているプラスチックなどが考えられる。あくまで一般論だが、電気的なショートなどが火元になることも考えられる」と話しています。