韓国 チョ法相 業務を開始 野党側は解任で一致し混乱続く

韓国 チョ法相 業務を開始 野党側は解任で一致し混乱続く
韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領の側近で、9日就任したチョ・グク法相は検察改革を進めるため、新たに独立した組織を立ち上げるなど、本格的に業務を開始しました。一方で、野党側は、チョ法相の解任を求めて協力することで一致するなど、混乱が収束する見通しは立っていません。
9日就任した韓国のチョ・グク法相は、10日午前、ムン・ジェイン大統領が開いた閣議に出席し、政権の幹部らと相次いであいさつを交わすなど、本格的に業務を開始しました。

法務省は10日、チョ法相の指示に基づいて、検察改革を進めるため、新たに独立した組織を立ち上げたと発表しました。

一方、最大野党の「自由韓国党」と野党第2党の「正しい未来党」は、10日午後、国会で、今後の対応について協議しました。

協議のあと、自由韓国党のナ・ギョンウォン(羅卿)院内代表は「チョ法相の解任の決議案を積極的に推進し、任命に反対している国会内の勢力を結集することにした」と述べ、チョ法相の解任を求めて協力することで一致したと明らかにしました。

こうした中、韓国メディアによりますと、検察は10日、一連の疑惑に関連して、チョ氏の弟の前の妻の自宅などを新たに家宅捜索したと伝えました。

野党が圧力を強める中、検察もチョ法相の疑惑について捜査を続けていて、混乱が収束する見通しは立っていません。

チョ・グク法相任命の背景

ムン・ジェイン大統領が検察改革にこだわりを見せる背景には、みずからが政権中枢で支えたノ・ムヒョン(盧武鉉)元大統領の「挫折」があります。

人権派弁護士だったノ元大統領は、韓国の民主化後も強い権力を維持し、保守派の「牙城」とも言われる検察の改革を、重要課題の1つに据えていました。

ノ元大統領は、就任からわずか12日後の2003年3月9日、検察官たちを集めて異例の懇談会を開きました。

そこには、大統領府で司法機関を統括する民情首席秘書官だったムン氏の姿もあり、意見を交わす様子はテレビで生中継されました。

この中で検察官側は、検察の人事権を法相から検事総長に移すよう求めたのに対し、ノ元大統領が、「新しい政府で検察指導部は新しくしなければならない。ノ・ムヒョンが人事権者だ。私が新しく変えたいのだから受け入れてほしい」と語気を強める場面もありました。

ノ元大統領としては、検察改革の議論を本格化させるきっかけにしたい考えでしたが、かえって検察側から強い抵抗にあい、ノ元大統領は、結局、検察改革を実現できないまま、5年間の任期を終えました。

さらに退任後、親族や側近の収賄事件などが発覚し、ノ元大統領自身も不正資金疑惑をめぐって検察の事情聴取を受け、その後、自殺しました。

ノ元大統領をそばで支え続けたムン大統領にとって、検察改革は「悲願」であり、それを実現するうえで、みずからと同じ民情首席秘書官を務めた側近のチョ・グク法相の手腕が欠かせないという判断があったとみられます。

大統領「支持せず」上回る

韓国の世論調査機関、「韓国ギャラップ」が今月3日から5日にかけて実施した世論調査の結果では、ムン・ジェイン大統領を「支持する」と答えた人は43%、「支持しない」と答えた人は49%でした。

この調査は、チョ・グク氏が法相に任命される前に実施されましたが、支持しない理由として、「人事の問題」が21%と、前回の調査より6ポイント増えていて、チョ・グク氏をめぐる混乱が影響した可能性がありそうです。

支持層で受け止め大きく異なる

韓国の世論調査機関、「リアルメーター」は、チョ・グク氏が法相に任命された9日、緊急の世論調査を行いました。

その結果、全体では、
▽肯定的な評価が46.6%、
▽否定的な評価が49.6%で、3ポイントの差でしたが、支持層別にみると、受け止めが大きく異なる結果となりました。

具体的には、
▽「革新系」だとする人の71.6%が肯定的に評価していて、
▽与党「共に民主党」の支持者の場合、86.2%が肯定的に評価しています。

一方、
▽「保守系」だとする人は、76.4%が否定的に評価していて、
▽最大野党「自由韓国党」の支持者の場合、95.5%が否定的に評価しています。