覚悟の手術で…病気と向き合い躍進 パラ競泳 石浦智美選手

覚悟の手術で…病気と向き合い躍進 パラ競泳 石浦智美選手
イギリスで9日から始まったパラ競泳の世界選手権。優勝すれば東京パラリンピックの日本代表に内定しますが、エースの木村敬一選手を含めて初日に内定した選手はいませんでした。そうした中で飛躍を遂げた姿を示したのが31歳の石浦智美選手。6年ぶりの出場ながら女子50メートル自由形の視覚障害が最も重いクラスで5位に入り、世界の強豪と戦える手応えをつかみました。その背景には、初のパラリンピック出場を目指す石浦選手の悲壮とも言える覚悟がありました。

記録の伸び悩み 背景に持病

石浦選手はこれまで世界選手権に3回出場した実力者ですが、前回のリオデジャネイロパラリンピックの選考会では、派遣標準にわずか0秒3届かず初めてのパラリンピック出場を逃しました。

石浦選手がなかなか記録を伸ばせなかった大きな要因が持病です。

先天性の緑内障で視力が徐々に低下し、現在は両目ともわずかに光を感じる程度。緑内障の影響で眼圧が高く、着水する際の衝撃で眼球に負担がかかるため飛び込み台を思い切り蹴ってスタートすることができないという大きなハンデを長年抱えていました。

手術きっかけに…

「東京大会で初のパラリンピック出場を果たしたい」。その大きな目標のためにことし7月、石浦選手は眼圧を下げるため、右目の手術を受けました。

わずかに感じる光すらも失う危険がありましたが「命懸けで競技と向き合いたい」と覚悟を持って手術に踏み切りました。

手術は無事成功し、石浦選手はスタートでこれまでより思い切って飛び込みができるようになりました。

より遠くへ飛び込めるよう、改善を重ねた結果、世界選手権直前の大会では31秒38の日本新記録をマーク。世界ランキング3位に相当する好タイムを引っ提げて、今回6年ぶり4回目となる世界選手権に臨みました。

6年ぶりの世界の舞台で

大会初日に行われた石浦選手の得意種目である女子50メートル自由形の決勝。強化してきたスタートでは、以前より遠くに飛び込むことができました。

みずからの日本記録に及ばなかったものの、31秒69で5位に入り、「緊張もしたが、ようやくこの舞台に戻ってこれたことは本当にうれしい」と世界のトップクラスの選手と戦える手応えをつかんだようでした。

まだまだ高い世界の壁

ただ、今回の世界選手権で表彰台に上った選手は、全員が30秒台をマーク。石浦選手が目標とする東京パラリンピックでのメダル獲得には、あと1秒ほどの短縮が必要です。

石浦選手は「最後のタッチが流れたし、コースロープにぶつかって大きく減速してしまった。スタートの飛び込みも最低限はできたがもっと練習をすれば、さらにタイムの短縮につながると思う」と課題を冷静に分析しながらメダルへの道のりを探り始めています。