貨物船衝突事故 操だ室に救命胴衣なし 取りに向かい船員死亡か

貨物船衝突事故 操だ室に救命胴衣なし 取りに向かい船員死亡か
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ことし5月、千葉県銚子市の沖合で貨物船どうしが衝突し、3人が死亡、1人が行方不明になっている事故で、このうち2人は船の上部の操だ室に救命胴衣がなく、下の階に取りに向かって逃げ遅れた可能性があることが捜査関係者などへの取材でわかりました。日本の沿岸を主に航行する船は操だ室など勤務場所への救命胴衣の整備が義務づけられておらず、専門家は対応が必要だと指摘しています。
ことし5月26日、千葉県銚子市の沖合で、いずれも貨物船の「千勝丸」(499トン)と「すみほう丸」(499トン)が衝突した事故では、千勝丸が沈没して乗っていた5人のうち3人が死亡1人が行方不明となり、海上保安庁が事故の原因を調べています。

その後の調べで、このうち2人は千勝丸上部にある操だ室にいましたが、救命胴衣がなかったため、下の階の保管場所に取りに向かい逃げ遅れた可能性があることが捜査関係者などへの取材でわかりました。

国土交通省によりますと、千勝丸のような「内航船」と呼ばれる日本の沿岸を主に航行する船は、国際航海をする旅客船などと違い、操だ室など乗組員の勤務場所への救命胴衣の整備が法律などで義務づけられていないということです。

船の事故に詳しい東京海洋大学の國枝佳明教授は「救命胴衣が操だ室にあれば状況が変わっていたのではないかと思う。法律で義務づけるのがベストだが、まず、それぞれの船で乗組員が勤務する場所に救命胴衣を備え付ける対応が必要だ」と指摘しています。

「内航船」乗組員の勤務場所に救命胴衣 義務づけられず

日本の領海を航行する船や日本船籍の船については、船舶安全法などで救命胴衣の数などが定められています。

国土交通省によりますと、船の種類ごとに乗る人の数に応じた救命胴衣を備え付けることが求められていることに加え、国際航海をする旅客船と500トン以上の貨物船などは、国際的な基準に合わせて操だ室など乗組員の勤務する場所に救命胴衣を備え付けることが義務づけられています。

一方、日本の沿岸を主に航行する「内航船」や、国際航海をするものの500トン未満の貨物船などは、乗組員の勤務する場所に救命胴衣を備え付けることは義務づけられていないということです。

国土交通省によりますと、義務づけられていない理由としてこうした船は事故が起きても大型の船に比べて救命胴衣の保管場所に比較的戻りやすいことや、沿岸部を航行することが多く、早い段階で他の船からの救助が期待できることなどが挙げられているということです。

運航会社 救命胴衣の追加整備検討

事故を受けて、沈没した「千勝丸」をチャーターしていた運航会社や関係する複数の船主は、救命胴衣を追加で整備する対応を検討しています。

具体的には、今回の事故で衝突後に乗組員が救命胴衣を取りに向かった直後に船が傾きだしたことから、乗組員が勤務する操だ室にも3つから5つの救命胴衣を備え付けることを検討しているということです。