GSOMIA 韓国側から協定破棄の通告

GSOMIA 韓国側から協定破棄の通告
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日本と韓国の軍事情報包括保護協定=「GSOMIA」について、韓国政府は、破棄すると日本政府に正式に通告しました。
これによって、協定は11月下旬に、発効からわずか3年で効力を失うことになります。
日本と韓国の軍事情報包括保護協定=「GSOMIA」は、日本と韓国が2016年に締結したもので、1年ごとに延長されていますが、どちらかが毎年8月24日までに通告すれば協定を破棄できることになっています。

韓国政府は22日、延長せずに破棄することを決めたと発表し、23日午後、韓国外務省のチョ・セヨン第1次官が、韓国駐在の長嶺大使を呼び出し、協定を破棄すると正式に通告しました。

これに対し、長嶺大使は「現下の地域の安全保障環境を完全に見誤った対応と言わざるをえない」と述べ、破棄の決定に抗議しました。

通告によって、協定は11月23日午前零時に、発効からわずか3年で効力を失うことになります。

外務省関係者は「協定が法的に継続している残り3か月間も、日韓関係が悪化している中、有名無実化する」としています。

専門家「日米韓の防衛体制が不安定になる可能性」

韓国政府が日本との軍事情報包括保護協定=「GSOMIA」を破棄すると日本政府に通告したことについて、元外交官で東アジアの安全保障に詳しいキヤノングローバル戦略研究所の宮家邦彦研究主幹は「日本と韓国が秘密情報を瞬時に共有することができなくなり、日米韓による防衛体制が不安定になる可能性がある」と述べ、中国やロシア、北朝鮮などに対する抑止力が弱まる可能性があると指摘しました。

そのうえで「短期的には安全保障に決定的な影響が及ぶことにはならないが、日韓に信頼関係のない状態が続けば、日本やアメリカにとって大きな懸念になる」と指摘し、地域の安定のためには日米韓の連携の強化が欠かせないという考えを示しました。

また日本の対応の在り方については「感情に流されず冷静に状況を見て、中長期的に、いかにしてこの地域を安定させるのか、戦略的に考えていく必要がある」と指摘しました。

一方、宮家研究主幹は「韓国側は、冷戦時代に作られた日米韓の連携を時代遅れだと考えている可能性がある」として「アメリカが早い段階で介入し韓国に対し言うべきことを言っていれば、状況は違っていただろう」と述べ、アメリカの対応次第では今回の事態を回避できたとする見方を示しました。

専門家「ロシアにとって有利な展開に」

韓国政府が日本との軍事情報包括保護協定=「GSOMIA」を破棄すると、日本政府に通告したことについて、ロシアの安全保障に詳しい防衛研究所の兵頭慎治・地域研究部長は「日米韓の連携が失われるのをロシアは歓迎している。ロシアが何もしなくても好ましい状況が展開しつつあるためプーチン大統領もほくそ笑んでいるのではないか」と述べてロシアにとっては有利な状況になっていると指摘しました。

その一方で今回の韓国の決定はロシア側も予測できなかっただろうとしたうえで今の状況について「あまり日米韓の連携が乱れすぎて、逆に北朝鮮がミサイル発射など新たに軍事的な挑発行動をとり東アジアの安全保障情勢が流動化することも好ましくないと思っているのではないか」と述べて、ロシアは当面、事態の推移を見守るのではないかとの見方を示しました。

また、今後については「東アジアの情勢がどういう形で展開していくか読みにくくなり、予測が難しくなっていくだろう。ロシアが今後東アジアで外交的にどう関与してくるか見極める必要がある」と述べてロシアの動向を注視する必要があるとの見方を示しました。

中国「韓国政府の決定注視」踏み込んだ評価避ける

韓国政府が軍事情報包括保護協定=「GSOMIA」を破棄すると日本政府に通告したことについて、中国外務省の耿爽報道官は23日の記者会見で「韓国政府の決定を注視している」と述べるにとどめました。

韓国政府によるGSOMIAの破棄の通告は、日米韓の連携の足並みを乱し、安全保障面において中国を利することになりかねないという見方も出ていますが、耿報道官は踏み込んだ評価を避けた形です。

一方、耿報道官は3年前に日本と韓国の間でGSOMIAが締結された際「朝鮮半島の対立を激化させ、北東アジアに不安定要素をもたらす」と批判しています。

23日の会見で耿報道官は「2国間の軍事協定は地域の平和と安定に役立つべきで、第三国の利益は損なうべきではない」と述べ、協定の解消は望ましいという立場をにじませました。

二階幹事長「韓国には冷静な対応を」

自民党の二階幹事長は「協定破棄の決定は、日米韓の信頼と協力による地域の安全保障の枠組みを損なうもので、大変遺憾と言わざるをえない。アメリカも強い危惧を表明しており、今回の韓国の決定が誤ったメッセージとして北朝鮮に受け止められれば、これまでのアメリカの非核化の努力にも影響があるのではないか。韓国には冷静な対応を望みたい」というコメントを出しました。

岸田政調会長「協定破棄は見誤った判断で遺憾」

自民党の岸田政務調査会長は記者団に対し「協定に署名した時に外務大臣を務めており、重要性を韓国側に働きかけてきたが、北朝鮮情勢など厳しいアジアの安全保障環境の中、協定を破棄するのは見誤った判断であり、遺憾に思う」と述べました。

そのうえで「太平洋戦争中の『徴用』をめぐる問題でのやり取りが対立の大きな原点だ。国際的な約束という最も基本的なことをしっかり守るよう、韓国側に合理的な対応を求めていかないといけない」と述べました。