スポーツクライミング 森秋彩「東京もなくはない」

スポーツクライミング 森秋彩「東京もなくはない」
スポーツクライミングの世界選手権のリード女子で日本勢が初めて表彰台に上ったのは2005年、当時高校1年で初出場だった野口啓代選手でした。その第一人者が最後の世界選手権として臨む今大会で14年ぶりに表彰台に上ったのが、同じ高校1年、同じ茨城県出身の森秋彩選手です。5年後のパリオリンピックで活躍が期待される15歳にとって、今後の成長しだいで東京オリンピックの希望も見える大舞台での銅メダルとなりました。
森選手は決勝のルートの中盤、手前に反った傾斜の急な壁で真横にあるホールドに移るとき、足を最初にかけましたが体勢が悪いと判断すると、いったん戻って体の向きを変え、今度は手をかけてからホールドの移動に成功しました。

冷静な修正力を示したと同時に体力を消耗する場面でしたが、去年からことしにかけて体重を8キロ増やしてパワーアップを図った森選手。

さらに、練習では壁を登るトレーニングを休憩を挟まずに続けるというスタミナとメンタルを鍛えるメニューを「涙を流しながら」乗り越えてきたことが生き、要所をクリアしたあとも高度を上げることができたのです。

茨城県出身の15歳。同郷で森選手を小さい時から見ていた大先輩の野口選手は「疲れたときの登り方がうまく、落ち着いた登り方をする。学ぶところがたくさんある」と後輩を評します。
クライミングでは大人顔負けの実力を示しますが、ことし6月、父の日に行われた民間のボルダリング大会で優勝し、賞金100万円を獲得した際に報道陣に使いみちを尋ねられると、「父の日のプレゼントとしてサプライズでふだん行けないようなお店に行きたい」とあどけない表情を浮かべました。

一方でその時、来年の東京オリンピック出場については「もともとはパリが目標だったが、今は東京もなくはないと思っている」とまっすぐな目線で話しました。
3種目の総合成績を争う複合のみが行われる東京オリンピックを目指す上で、森選手にとっての課題は壁を登る速さを競うスピードです。現在のタイムは12秒台で、日本記録を持つ野中生萌選手が8秒台、野口選手が9秒台を安定してマークする中、まだまだおよびません。

それでも、伸び盛りの15歳。今後のスピードで急成長を遂げ、ほかの2種目も順調に成長曲線を描ければ、わずか2枠をかけたオリンピックの代表争いに割って入る可能性もあり、「東京もなくはない」のことばが現実味を帯びてきます。