香港の若者たち なぜ空港で抗議活動?

香港の若者たち なぜ空港で抗議活動?
香港の若者たちが抗議活動の場として空港を選んでいるのは政府への圧力として効果的であること、警察による強制的な排除が難しく安全であることという2つの理由からです。
香港国際空港は香港と世界各地の200以上の都市と結び、1日の利用客数は20万人にのぼるアジア有数のハブ空港です。貿易や観光が基幹産業の香港にとって玄関口の空港での混乱は大きな痛手になります。

香港政府トップ、林鄭月娥行政長官も13日の会見で、「空港が香港にとってどれだけ重要な場所かは言うまでもない」と懸念を示しており、若者たちは空港での抗議活動は、政府への圧力として効果があると自信を深めていると見られます。

加えて国際的な支持を得たい若者たちにとって、海外からの多くの利用客に香港の現状や自分たちの主張をアピールするために効果的な場となっています。また、空港は、不特定多数の人が利用し閉鎖された空間のため、警察が強制的な排除に乗り出すのが難しく、若者たちは、市街地での抗議活動よりも安全だと考えています。

警察がこれまでの2か月間に使用した催涙弾は2000発近くにのぼり抗議活動が過激化するにつれて、その頻度は増しています。警察は大量の水を放出できる大型車をまもなく導入すると発表するなど過激な行為を厳しく抑え込む姿勢で、警察との衝突を避けたい人たちが空港での抗議活動に参加する動きも広がっています。

空港での抗議者「空港は政府にとって弱点」

空港で抗議活動を続ける20代の女性は「空港は政府にとって弱点で、ここで抗議をすれば、政府庁舎の近くや繁華街で抗議活動を行った時よりもずっと効果的で、最大限に私たちの声を届けることができる」と話していました。

別の男性も「私たちの抗議活動が空港業務に大きな影響を与えたら、政府がすぐに反応することが分かり、とても効果があるので、続けていきたい。多くの旅行客や市民に迷惑をかけていることは申し訳ないと思うが、世界中の人に私たちは自由のために戦っていることを理解してもらいたい」と話していました。

今回の抗議活動の特徴

香港では1997年に中国に返還されて以降、市民がみずからの主張を政府などに伝える手段として、デモ行進や集会がひんぱんに行われるようになり、「デモの都」とも呼ばれます。

5年前には政府トップの行政長官を決める選挙をめぐって、中国に批判的な候補を事実上排除する方針が示されたことに学生や市民が反発し、「雨傘運動」と呼ばれる大規模な抗議活動が行われました。

「雨傘運動」の背景にも、中国への反発があり、中国本土に容疑者の身柄が引き渡されることへの不安感から始まった、今回の抗議活動と共通するものがあります。

ただ、今回は抗議の方法が大きく異なっていて「雨傘運動」の時の経験が生かされていると言われています。「雨傘運動」では学生たちが2か月余りにわたって、政府庁舎周辺などの幹線道路にバリケードを作って占拠したことで市民生活にも影響がおよび、これに反発する市民と学生たちとの溝が深まりました。このため、今回、若者たちは長期間にわたって道路を占拠することはせず、抗議の場所を次々に変えています。

また、「雨傘運動」では、長期化にともなって、グループ間で運動の方法や主張をめぐって対立が生まれましたが、今回は、学生会や民主派の団体が運動を主導するのではなく、明確なリーダーがいないのが特徴です。そのかわりにSNS上の討論を通じて、活動方法や日程などが決められ、自発的な参加が呼びかけられています。

若者たちは行動する際のモットーとして、「各自がそれぞれの方法で努力する」ことを掲げ、どのような形で抗議に参加するかは個人の判断にゆだね、それぞれができる範囲で活動に加わっています。

ほかにも「異なるやり方を批判しない」、「仲間割れをしない」ことを掲げていて、対立を避け、結束を保とうと考える若者たちが多いのが特徴です。