“シルバーコレクター返上” ボルタリングの楢崎

“シルバーコレクター返上” ボルタリングの楢崎
「本人は一時期、“シルバーコレクター”だと気にしていたんですよ」。13日、スポーツクライミング世界選手権ボルダリング男子で2大会ぶりに優勝した楢崎智亜選手。彼をよく知る関係者が苦笑いで振り返りました。
決勝で金メダル奪還を確実にした2つ目の完登を果たした瞬間、23歳の日本のエースが観客に誇らしげに掲げた右手のガッツポーズには、勝負の夏を迎え実力と結果の歯車がかみ合い始めた自信が表れていました。

ことし序盤の楢崎選手は、1月のボルダリングジャパンカップ、3月のリードジャパンカップ、そして4月のワールドカップの第1戦・第3戦と、これらすべての大会で2位が続きました。

それでも楢崎選手は、レベルアップのために積み上げてきたトレーニング方法を貫きました。それは、壁をひたすら登るというシンプルなものです。体作りのための筋力トレーニングは、去年までにやり尽くし、ことしに入ってからはあまり行っていないということです。

楢崎選手は「筋力トレーニングをやると体の感度が落ちて体を自在に操れなくなる。クライミングによって感覚を鋭くし、動きのレパートリーを自分の中に落とし込んでいる」と、独特の表現でそのねらいを説明します。

自分の信念を曲げずに鍛え続けた結果、5月の複合ジャパンカップで優勝。

“2位”の呪縛から解放されると、6月にはボルダリングワールドカップで接戦だった年間チャンピオン争いを3年ぶりに制し「自分がベストを出せば絶対に勝てる」と自信を確かなものにして世界選手権を迎えました。

今大会の終盤、3種目の総合成績を争う複合で7位以内に入り、日本選手の最上位になれば東京オリンピックの代表に内定します。

ボルダリング決勝の6人は、楢崎選手に藤井快選手、土肥圭太選手、さらに海外勢の3人を含め、複合でもライバルになる可能性の高い顔ぶれでした。

「一緒に戦う相手にどれだけ強いと思わせるかで相手にプレッシャーを与えられるので、そこはよかった」と楢崎選手。

ボルダリング世界一のタイトルより、オリンピックの切符を懸けた戦いに向けライバルたちに先制攻撃を仕掛けられたことに大きな手応えをつかんでいました。