去年の悪夢 “史上初の幕切れ“を乗り越えて 星稜 寺沢投手

星稜の2回戦。勝利の瞬間にマウンドに立っていたのは大会屈指の好投手、奥川恭伸投手ではなく、背番号10の寺沢孝多投手でした。寺沢投手は去年の甲子園で、済美との延長タイブレークで史上初となる逆転サヨナラ満塁ホームランを打たれた投手。去年の悔しさを乗り越えてつかんだウイニングボールでした。

悔しい記憶

去年の夏、星稜は済美と延長13回までもつれる熱戦を繰り広げました。決着は延長13回タイブレークの末の逆転サヨナラ満塁ホームラン。
史上初の幕切れは、100回の記念大会となった去年の夏の名場面として語られています。

この劇的なホームランを打たれたのが、当時2年生の寺沢投手でした。「失投だった」と涙ながらに悔しがる寺沢投手に、林監督は「お前のせいじゃない。もう1回甲子園に戻ってこないとだめだ」と声をかけたといいます。
寺沢投手も「必ず甲子園で悔しさを晴らす」という強い気持ちで、この1年間の練習に取り組みました。

9回に訪れた登板

林監督は黙々と練習に打ち込む寺沢投手の姿を見て「勝利の瞬間をマウンドで味わわせてやりたい」と、この試合の9回のマウンドを寺沢投手に託すと事前に決めていました。

8回を終えて星稜のリードは3点。舞台は整いました。
奥川投手が外野に走り、寺沢投手が再び甲子園のマウンドに立ちます。
しかし、先頭バッターにはフォアボール。
「怖さもあるけど楽しさもある。立ち向かう気持ちで投げないといけない」。去年の経験を糧に成長した寺沢投手の心には余裕がありました。

冷静にバッターと向き合いボールの高さを修正。
丁寧に投げきって試合を締め、今度こそ勝利の瞬間をマウンドで味わいました。

「去年はとても悔しい思いをし、次はここで最後に笑って抑えたいと思っていた。マウンドに送ってくれた監督の期待に応えないといけないとも思っていた。きょうの結果を次に生かして、これからも1戦1戦しっかり戦っていきたい」(寺沢投手)

大会屈指と言われる奥川投手に注目が集まりがちな星稜ですが、悔しさを乗り越え成長を遂げた寺沢投手のピッチングにも期待です。