スカウトは選手の何を見ているのか

スカウトは選手の何を見ているのか
連日、大勢の観客が詰めかけている甲子園球場。そのバックネット裏では野球観戦を楽しんでいる人たちとは違ったまなざしで選手たちのプレーを見つめる人たちがいます。右手にペン、左手にストップウォッチ。そう、プロ野球のスカウトです。

スカウトの仕事

プロ野球の球団にはそれぞれ10人前後のアマチュア担当スカウトが所属しています。スカウトたちは担当エリアの高校や大学、社会人チームなどの試合や練習に足を運んで“金の卵”を探します。

“たら” “れば”を見極める

大きなホームランを打ったり、多くの三振を奪ったり、甲子園で活躍した選手はプロに行けるのではないかと思ってしまうところですが、そう単純なものではありません。

スカウト歴36年の大ベテラン、中日ドラゴンズの中田宗男アマスカウトアドバイザーはこう言います。「松井秀喜や松坂大輔みたいにこのままでもプロでもやっていけるという選手を見るとワクワクする。でも、そんな完成された選手はめったに現れない。ほとんどの選手には“たら”“れば”が付く」。

“体力が付いたら”、“技術を身に付ければ”…。プロで通用する選手になるためには伸びしろがないといけないといいます。

選手の何を見ているのか

中田さんによると、スカウトはまず高校の地方大会などで有望な選手を探します。そのときチェックするポイントは、投手なら球速や変化球の質、球の出どころなど技術的なことはもちろん、打たれても根気強く投げられるか、チームを勝たせる投球ができるかなど投手としての振るまいも。そして、野手なら打球を遠くへ飛ばせるか、足は速いか、肩は強いか、投手が嫌がるいやらしいバッティングができるかなど。

ここで何か一つでも光るものがある選手を見つけると、1年2年と追いかけます。その間に本人のプロ入りへの意向や育った環境などもチェック。「特に母親の運動能力を受け継ぐことが多いので、お母さんのスポーツ歴は必ず確認する」と中田スカウト。

こうして時間をかけて丁寧に「欲しい選手か」を見極めます。大学や社会人を経てプロ入りする選手でも、ほとんどが高校時代からスカウトがマークしているそうです。

甲子園の位置づけ

長い時間をかけて追いかけてきた選手が甲子園へ。ここでは何を見ているのでしょうか。

中田さんによると、甲子園という大きな舞台でふだんどおりのプレーができるか、レベルの高い選手と対戦したときにどういうプレーを見せるかという2点です。「活躍しだいでは指名順位に影響するが、基本的な評価は変わらない。甲子園でいきなり活躍しても同じ。実際、甲子園で覚醒したように見えてもその後はさっぱりということが多い」と中田スカウト。

こうして選手のランク付けを行い、10月末のドラフト会議を迎えます。

プロを目指す選手へ

多くのアマチュア選手をプロの世界へ導いてきた中田スカウト。「指名順位が高いほどプロで活躍する可能性があるということだが、1位でも1軍の主力になる確率は半分以下。プロ入りが苦しみの始まりと言っても過言ではない。プロでやりたいという目標を立てたなら、練習の取り組み方や食生活など細部にもこだわってやりぬいて欲しい」と話していました。