宇部鴻城 監督も驚き 不振の9番が大活躍

宇部鴻城 監督も驚き 不振の9番が大活躍
7年ぶりの夏の甲子園で初戦を突破した宇部鴻城。打線を引っ張ったのは地方大会では不振だった9番バッターでした。「これだから野球は分からない」と監督を驚かせた活躍の裏には…

地方大会 打席に立ったのはわずか11回

宇部鴻城の9番バッターは、センターを守る河村勇飛選手。守備範囲の広さと足の速さを買われてレギュラーの座をつかみました。

しかし、積極的な代打策をとるのが尾崎監督。山口大会ではチャンスを目の前にたびたび河村選手に代打を送り、打席に立ったのは6試合でわずかに11回。悔しさを胸にしまいながらプレーを続けていました。「本当に打てなかったのでしかたがないことだが、とても悔しかった」(河村選手)。

悔しさ胸に素振り増やす

少しでも長く甲子園でプレーがしたい。河村選手は甲子園が決まったあと、自主的に打撃の強化に取り組みました。

全体練習が終わったあと、家に帰ってからひとりで黙々とバットを振り続けたといいます。その数は1日500スイング以上、夏の大会までより、倍以上に増やしました。

11日の前日練習。河村選手はフリーバッティングの打球に確かな手応えを感じていました。

「思い切り振るだけ。ちょっとずつ調子は上がっている」(河村選手)。

きょうも代打を考えたが…

迎えた宇和島東との試合。最初の打席は2回、2アウト一塁二塁と先制のチャンスで回ってきました。実はこのとき尾崎監督は「先制点がどうしても欲しい」と代打を送ることも考えていました。

しかし、まだ序盤、いくら積極策の尾崎監督でも、その決断はできませんでした。

尾崎監督「チームを勢いに乗せた」

ツーボールからの3球目、速球をはじき返した河村選手の打球はレフトへ。タイムリーツーベースとなってチームに貴重な先制点をもたらしました。

ベンチは大盛り上がり、「勇飛が打てるなら俺たちも」と一気にスイッチが入りました。河村選手は続く打席でもタイムリーヒットを打ち3安打3打点、チームは15安打で7点を奪い宇和島東に打ち勝ちました。

試合後「まさかの活躍。これだから野球は分からない」と思わず笑みがこぼれた尾崎監督。「チームを勢いに乗せ勝利につながった。本当によくやってくれた」と最後まで手放しで河村選手をたたえました。

その10メートル先には、記者たちに囲まれて照れくさそうに受け答えをするヒーローの姿が。その表情には打った喜びとともに、9イニング最後までグラウンドに立ち続けた充実感が漂っていました。