世界との差は“パワー” 日本 デュエット東京五輪へ新たな課題

世界との差は“パワー” 日本 デュエット東京五輪へ新たな課題
「“力の種目”になってきた」
韓国で開かれている水泳の世界選手権に臨んでいるアーティスティックスイミング日本代表の井村雅代ヘッドコーチは大会初日にこう話して危機感を募らせました。それが結果となってあらわれたのが、14日のデュエット、テクニカルルーティン決勝。日本のペアは、目標としていたメダルには届かず4位でした。井村ヘッドコーチが話した“力の種目”の真意とは。
アーティスティックスイミングは演技の“同調性”や“正確な技術”を競う種目です。

現在68歳、長く日本のアーティスティックスイミングを引っ張ってきた井村ヘッドコーチは、東京オリンピックのデュエットで「銀メダル以上」を目標に掲げ乾友紀子選手と吉田萌選手のペアを強化してきました。

井村ヘッドコーチから「双子のような足」と評価される乾・吉田ペア。キャプテンで技術も経験も豊富な乾選手が吉田選手を引っ張る形で、“同調性”を高めてきました。
さらに2人の音感のよさを生かすため、決められた規定要素を泳がなければならない「テクニカルルーティン」の演技には、細かくテンポを刻む緻密な足技を取り入れるなどして世界と戦う準備を進めてきました。

しかし、今回の世界選手権で井村ヘッドコーチが目の当たりにしたのは、長い手足や大きな体を生かした海外勢のパワフルな演技。技術や同調性は荒削りでも、“スピード”や“高さ”のある足技で得点につなげていました。

井村ヘッドコーチは体格で劣る日本の選手は、技術の正確性では海外勢に勝っても、演技全体の迫力では審査員にアピールできないと感じたのです。

テクニカルルーティンの予選の後、井村ヘッドコーチは決勝ではミスを恐れて演技を小さくまとめず、力強さを全面に出すよう乾選手と吉田選手に求めました。

しかし14日の決勝。乾・吉田ペアの演技は足技で高さがそろわないなど磨いてきた“同調性”が乱れました。得点そのものは予選を上回りましたが、正確な技術が問われる“規定要素”の得点は伸びませんでした。

結果は4位。3位のウクライナとの得点差は予選の時よりも広がり、表彰台に立つことはできませんでした。
正確な技術を保ちつつ思い切りよく演技することの難しさを改めて感じたという井村ヘッドコーチ。「どこかで流れを覆さないと流されっ放しになる」と残るデュエットのフリールーティンで雪辱を誓いましたが、およそ1年後の東京オリンピックに向け、演技に“力強さ”を加えるという新たな課題が浮かび上がりました。