ボクシング村田諒太 TKO勝ちで世界ミドル級王座に復帰

ボクシング村田諒太 TKO勝ちで世界ミドル級王座に復帰
ボクシング、WBA=世界ボクシング協会のミドル級タイトルマッチで、挑戦者の村田諒太選手が、チャンピオンでアメリカのロブ・ブラント選手にテクニカルノックアウト勝ちして、世界王者に返り咲きました。
WBAミドル級チャンピオンだった村田選手は去年10月、2回目の防衛戦でアメリカのブラント選手に敗れて王座から陥落しました。

村田選手は12日夜、大阪市で行われたWBAミドル級タイトルマッチで、チャンピオンのブラント選手と再び王座をかけて対戦しました。

試合は開始直後から激しい打ち合いとなり、スピードを生かして手数を出してくる相手に対して、村田選手は前に出て得意の右ストレートやボディーブローを決めました。

そして2ラウンド、村田選手は相手が後退したところで一気に連打で攻勢をかけ、ダウンを奪いました。

村田選手はその後も攻撃の手を緩めず、相手が棒立ちとなったところでレフェリーが試合を止めて、テクニカルノックアウトで勝ちました。

これで村田選手は9か月ぶりに世界ミドル級のチャンピオンに返り咲きました。

村田選手は「練習したとおりのことができてよかった。彼も前回と違う戦い方で来て、めんくらったが、チームのおかげで勝てた。ありがとうございました」と、ほっとした表情で話していました。

村田「最後かもという気持ちで」

世界チャンピオンに返り咲いた村田諒太選手は「もうしばらくしたらうれしさが出てくると思うが、まだ夢見心地だ」と話し、まだ実感がわかない様子でした。

序盤、相手のスピードに乗ったパンチにひるまず前に出たことについて、村田選手は「相手が出てきてめんくらった部分もあったが、前に行くしかないと思っていた。練習でやったことしかできないからそれをやろうと考えた」と振り返りました。

そして「この試合が最後になるかもしれないという気持ちもあったし、絶対、後悔したくないと思っていた」と話し、強い覚悟で試合に臨んだことを明かしました。

取り戻した“前に出る”スタイル

村田諒太選手が雪辱を果たした最大の要因は、本来の「前に出る」スタイルを取り戻したことにあります。

先月、村田選手は、前回ブラント選手に敗れた去年10月の試合の映像を見ながら「上体が浮いてしまってる。これじゃ何もできませんよね」と、自分に対するいらだちを隠せない様子を見せました。

村田選手の本来のスタイルは、堅いブロックで相手の攻撃を防ぎながら前進し、プレッシャーをかけて攻撃に転じていくというものです。
しかし前回の試合で村田選手は、パンチをブロックするとそのまま後退してしまって、防戦一方となりました。

動き回る相手を捉えようとパンチを打っても単発で終わり、3発、4発と続けるコンビネーションは、ほとんど出せませんでした。

前に出られなかった原因は「腰の高さ」にありました。

腰が高く上体が浮いていると、1つの動作をしたあとすぐに次の動きに移れません。
前回の試合では、腰が高くいわゆる「棒立ち」の状態に近かったため、ブロックしたあとに反撃することも相手を追いかけて連打を打つこともできず、本来のボクシングを見失っていたのです。

村田選手はその理由について「相手をなめていた」と明かしました。

当時は、勝てば世界のスーパースターとの試合が期待されていました。

周囲の誰もが「通過点」と考えていた試合。
さらに“世界チャンピオンとして、チャンピオンらしく勝たなければいけない”、そんな意識もどこかにあり、目の前の試合に集中することができなかった自分に気付かされたと振り返りました。
ブラント選手との再戦が決まり村田選手が取り組んだのは、特別なことではなく「基礎に立ち返ること」でした。

重心を落とし、足をしっかりふんばって前に出ることをミット打ちやシャドーボクシングなどの基礎練習で常に心がけました。
「低さ」を意識づけるため肩ぐらいの高さにロープを張ってくぐりながらパンチを打つ練習も連日、繰り返しました。
「練習でやったことしか試合には出ない」と話す村田選手は、基本の積み重ねが雪辱を果たす唯一の方法だと考えているようでした。

そして、12日の試合は、まさにその言葉通りでした。

第1ラウンド、前回以上にスピードに乗って手数を出してくる相手に対し、パンチをもらうことを恐れず、腰を落として1歩ずつ前に出てパンチを出し、プレッシャーをかけました。

第2ラウンド、たまらず相手が後退した隙を見逃さず、まるでこのラウンドで体力を使い切るかのように連打で相手を追い詰めてダウンを奪ったあと、さらに連打。最後はレフェリーが試合を止めテクニカルノックアウトで勝ちました。

すごみのあるボクシングで相手を圧倒した試合後、村田選手は「この試合が最後になるかもしれない。絶対、後悔したくないという気持ちがあった」と振り返り、強い覚悟で臨んだことを明かしました。

”がむしゃらに泥臭く、とにかく前に出る”本来のスタイルを取り戻し、再びチャンピオンの称号を手にした村田選手。

世界の層が厚く強豪ひしめくミドル級で、これからどのような戦いを繰り広げてくれるのか期待が高まります。