熊本の逃走事件 県内の宿泊施設を一斉立ち入り

熊本の逃走事件 県内の宿泊施設を一斉立ち入り
熊本市で、住宅を捜索しようとした警察官を振り切って43歳の男が乗用車で逃げた事件で、警察は熊本県内に潜伏している可能性もあるとみて、宿泊施設の協力を得て一斉に立ち入りを始めました。
9日、熊本市西区で警察が覚醒剤の事件の関係先として住宅を捜索しようとしたところ、この家に住む職業不詳、藤木寿人容疑者(43)が乗用車で逃走し、現場にいた警察官3人が車に引きずられてけがをしました。

藤木容疑者は国会議員の元私設秘書で、警察は傷害と公務執行妨害の疑いで指名手配しています。

警察は熊本県内に潜伏している可能性もあるとみて県内の宿泊施設の協力を得て11日から一斉に立ち入りを始めました。

このうち、熊本市東区のホテルには午後6時10分ごろ、警察官2人が入り、受付に男の顔写真を見せて捜査への協力を求めたほか宿泊者の名簿を確認しました。

このホテルの従業員は「全面的に捜査に協力したい。今後、怪しい人物を見かけたらすぐに通報できるよう注意していきたい」と話していました。

相次ぐ逃走現場対応の難しさも

捜査対象者が警察官の制止を振り切って逃走を図るケースはこれまでにも相次いでいますが、警察は現場で難しい対応を迫られているのが現状です。

今回の熊本のケースで捜査員が容疑者の自宅を訪れた目的は、覚醒剤事件の関係先として捜索することでした。

警察は容疑者に捜索への立ち会いを求めていましたが、逮捕状は出ていなかったためその場を離れようとしても強制的に止める権限はありませんでした。

一方、和歌山のケースは盗難届が出ているナンバープレートを付けた車に男が乗り込もうとしたため、警察官が職務質問をしようとしたところ、男は車を急発進させました。

職務質問の方法などは「警察官職務執行法」で規定されていますが、あくまで任意で協力を求めるため、相手がその場を立ち去ろうとした場合、強制的に止めることは認められていません。

事件への関与が強く疑われる場合には、警察官が身をていして逃走を防ぐ場合もありますが、過去には職務質問した相手の車を警察官が止めようとしてはねられ死亡するケースも起きています。

福岡県警の本部長などを務めた京都産業大学の田村正博教授は「相手に逃げられないようにすることはもちろん重要だが、100%逃走を防ぐことはできず、警察官は現場で難しい対応にあたっているのが現状だ。警察は住民に不安を与えるこうした事件の再発防止に取り組まなければならないが警察官の安全確保も重要で、装備の充実も含めて今後、検討が必要だ」と話しています。