かんぽ生命 不適切な保険の販売で社長が陳謝 ノルマ見直しへ

かんぽ生命 不適切な保険の販売で社長が陳謝 ノルマ見直しへ
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かんぽ生命は不適切な保険の販売が相次いで確認されたことについて10日記者会見して陳謝するとともに、販売を担う郵便局員に対する営業目標、いわゆるノルマを下げるなどの再発防止策を公表しました。
かんぽ生命の植平光彦社長と保険の販売を担う日本郵便の横山邦男社長は10日午後、都内で記者会見しました。

冒頭、植平社長は「多数のお客様に不利益を生じさせ保険の募集に関し、お客様の信頼を損ねた点について深くおわび申し上げます」と陳謝しました。

かんぽ生命では古い保険から新しい保険へ移る「乗り換え」をめぐって、顧客が保険料を二重に支払ったり、無保険の状態になったりする事例が相次いで明らかになりました。

会社側はこれまで顧客の同意を得ているとして「不適切な販売ではない」と説明してきましたが今回、一転して謝罪することになりました。

不適切な販売が相次いだ原因について日本郵便の横山社長は「超低金利の長期化で貯蓄性の商品の魅力が低下しているにもかかわらず、旧態依然の営業を続け、営業成績を重視するあまり、お客様本位とはいえない契約を増加させてしまった」と述べました。

これを受けてかんぽ生命と日本郵便は今後、顧客に対して乗り換えを勧めないようにすること、販売に当たる郵便局員に対する営業目標、いわゆるノルマを下げることなどを盛り込んだ再発防止策を公表しました。

また、かんぽ生命は植平社長をトップとする専門の組織を社内に設けて不利益を受けた顧客への対応に当たり、年内に経過報告を行うとしています。

さらに、この問題を調べる第三者委員会の設置も検討するしていて、顧客の信頼を早期に回復できるか問われることになります。

顧客の問い合わせ先は

かんぽ生命は、不利益を受けた可能性がある顧客に対しては個別に訪問する方針で、随時連絡を取るとしています。

また顧客からの問い合わせに対応するために、今後専用の窓口をつくる方針で、それができるまでは全国の郵便局かかんぽ生命のコールセンターに問い合わせて欲しいとしています。

電話番号は0120-552-950で、受付時間は平日が午前9時から午後9時まで、土日や祝日は午前9時から午後5時までです。

金融庁 事情聴取へ

かんぽ生命で不適切な保険の販売が相次いで確認されたことを受けて金融庁は顧客に対する説明が十分行われていたかや、うその説明をしていなかったか、不適切な販売が組織的に行われていなかったかなどの点について今後、詳しく事情を聞くことにしています。

そのうえで、違法性の有無や保険商品を販売する管理態勢に問題がなかったかを検証して、業務改善命令などの行政処分が必要かを検討する方針です。

日本郵政が株式の64%を保有

かんぽ生命は12年前の平成19年10月の郵政民営化で発足した生命保険会社です。

保険の大半は全国2万余りの郵便局の窓口や、1万5000人の営業担当の郵便局員が販売しています。

かんぽ生命によりますと契約者と被保険者を合わせた顧客の数はおよそ2600万人に上り、貯蓄性のある養老保険では生命保険会社全体の新規契約の80%のシェアを持っているということです。

また、ことし3月末時点の総資産は73兆9000億円余りと78兆8000億円余りの日本生命に匹敵する規模になっています。

会社は完全民営化を目指していますが、現在は日本郵政が株式の64%余りを保有していることから、ほかの民間生命保険会社との競争環境を確保するため一定の規制がかけられています。

具体的には1人にかけられる保険金の額が最大で2000万円とされているほか、新しい商品を開発する際には国の認可が必要になっています。

保険の「乗り換え」めぐり顧客が不利に

かんぽ生命では古い保険から新しい保険への「乗り換え」をめぐって、顧客が不利になるような不適切な販売が相次いで明らかになっています。

ことし3月までの5年間に、保険を乗り換えようとして古い保険を解約したものの、健康状態が変わったため、新しい保険の審査に通らなかった事例が1万5800件、乗り換えの際の健康状態の申告に不備があったことを理由に保険金が支払われなかった事例が3100件あるとしています。

さらに、乗り換えずに古い保険の特約だけを切り替えたほうが顧客にとってよかった可能性のある事例がおととし10月以降で5000件あると見られています。

かんぽ生命の保険は全国の郵便局員が販売を担っていて、保険を販売すると手当てを得られますが、新たな契約をしてから6か月以内に古い契約を解約した場合と、反対に古い契約を解約してから3か月以内に新たな契約をした場合、「新規契約の獲得」ではなく、「契約の乗り換え」とみなされ、手当てが半分に減る仕組みがあります。

郵便局員が手当てが減るのを避けるために、顧客に負担を負わせていた可能性がある事例も分かりました。

去年12月までの2年9か月で、新しい保険を契約してから7か月目に古い保険を解約し、結果として6か月にわたって保険料を二重に支払っていた事例がおよそ2万2000件ありました。

また古い保険を解約してから4か月から6か月の間に新しい保険に加入し、この間、無保険の状態になっていたおそれがある事例も4万7000件あるということです。