イラン ウラン濃縮度「制限超えた」

イラン ウラン濃縮度「制限超えた」
イランの原子力庁は8日、ウランの濃縮度が核合意で決められた制限の3.67%を超えたと明らかにしました。アメリカはさらに制裁を科して圧力を強める構えで、今後は核合意に参加するヨーロッパの国々がイランへの有効な経済支援策を打ち出せるかが焦点となります。
イランの核合意をめぐりイランは7日、約束された経済的な利益が得られていないとして、合意の義務の履行を停止する形でウランの濃縮度を引き上げると発表し、60日後までに状況が改善されなければ、再び新たな義務の停止に踏み切ると警告しました。

8日、イラン原子力庁の報道官は地元メディアの取材に対し、合意で3.67%に制限されてきたウランの濃縮度が4.5%を超えたことを明らかにしました。

また国営放送の取材に対して「濃縮度を20%やそれ以上に引き上げることも選択肢にあがっている」と述べて、60日後に濃縮度をさらに大幅に引き上げることも辞さない構えを示しました。

イラン市民 政府支持の声 今後の懸念も

イランの市民からは政府の対応を支持する声が聞かれました。

61歳の男性は「イランは核合意のすべての義務を履行してきたにもかかわらず、ほかの参加国は守ってきませんでした。両者が合意事項を守る必要があり、政府の対応を支持します。ただ事態を深刻なものにしないよう注意も必要です」と話していました。

50歳の女性は「アメリカが科している制裁は公平ではありません。行動を起こすことで、今の状況は正しくないということを示すべきです」と話し、政府の判断を評価していました。

一方、19歳の男性は「濃縮度を上げたことでさらに制裁が強化され、イランの経済がより深刻な状況にならないか心配です。経済の悪化で影響を受けるのは国民です」と話し、アメリカがさらに圧力を強化するのではないかと心配していました。

中国報道官「米による極限の圧力が危機の根源だ」

中国外務省の耿爽報道官は8日の記者会見で、遺憾の意を示したうえで「関係各国には大局と長期的な視点から抑制を保つよう呼びかける」と述べ、核合意の参加国として各国に合意の枠組みを維持するよう求めました。

そのうえで「アメリカがイランに対し極限の圧力をかけていることがイランの核問題における危機の根源だ」と述べ、核合意を離脱しイランに制裁を科したアメリカを批判しました。

ロシア 核合意一方的離脱の米を暗に批判

ロシア大統領府のペスコフ報道官は8日、「もちろんわれわれは現状を懸念している。事態の打開に向けてロシアは対話と外交努力を継続する」と述べ、核合意の枠組みを支持する考えを改めて強調しました。

そのうえで「われわれが以前から警告してきたように、核合意の参加国のうち仮に1か国でも義務の履行を停止し、枠組みから外れれば、必ず悪いことが起きる」と述べ、名指しこそ避けたものの、核合意から一方的に離脱しイランへの制裁を強化するアメリカを批判しました。

今後 欧州の出方が焦点に

イランが核合意の義務の履行を一部停止する形でウランの濃縮度の引き上げを発表したことを受けて、アメリカはさらに制裁を科して圧力を強める構えで、今後は核合意に参加するヨーロッパの国々がイランへの有効な経済支援策を打ち出せるかが核合意の枠組みの維持に向けた焦点となります。

イランのムサビ報道官は8日の記者会見で次の措置について「さらに強力で断固とした措置になる」と述べてヨーロッパ側に対し、実効性のあるイラン経済の支援策を急ぐよう強く求めました。

アメリカはトランプ大統領が「よくないことだ。イランは気をつけた方がいい」と述べ、イランにさらなる制裁を科して圧力を強める構えです。

これに対して核合意に参加しているイギリス、フランス、ドイツの3か国は非難や懸念を表明する一方で、核合意の枠組みを維持するため各国で連携して対応する方針を示しています。

今後はヨーロッパの参加国の対応が焦点となりますが、これまでもイランが納得する経済支援策は打ち出せておらず、核合意の枠組みの維持に向けて厳しい局面が続くことになります。