配車アプリ“戦国時代” 3社目サービス開始 大阪 京都

配車アプリ“戦国時代” 3社目サービス開始 大阪 京都
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スマートフォンのアプリを使ってタクシーを呼ぶ配車サービスで、日本の大手IT企業、「ディー・エヌ・エー」が8日から大阪と京都でサービスを開始しました。先行してサービスを開始した中国の「滴滴」、アメリカのウーバーとの厳しい競争が大阪京都で始まることになりそうです。
「ディー・エヌ・エー」は大阪市で記者会見を開き、8日から大阪と京都でスマホのアプリを使ったタクシーの配車サービスを始めたと発表しました。

「配車アプリ」は、利用者がタクシーを呼び出す際、スマホのアプリで乗車する場所と目的地を入力すると、近くにいるタクシーが配車される仕組みです。

「ディー・エヌ・エー」ではAI=人工知能を使ってタクシーを利用したい客と、空いているタクシーを短時間で効率よく結び付けることができると説明しています。

AIを使った配車アプリをめぐっては、去年9月、中国の大手「滴滴」が日本で最初に事業を始める場所として大阪を選びました。その後、アメリカのウーバーもことし1月から大阪でサービスを始めています。

海外の大手2社と「ディー・エヌ・エー」が同じ都市でサービスを展開するのは大阪・京都だけで、今後、厳しい競争が始まることになりそうです。

専門家「消費者の使いやすさが条件」

大阪でアプリを使った配車サービスが相次いで始まっていることについて、りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員は「まずは外国人旅行者をねらうということで、大阪 京都は理想的だ。外国人の訪問率が40%と高い関西は海外のサービス会社にとって魅力的な場所だ。加えて、都市の規模が大きい関西は外国人旅行客をねらいつつも、国内客を乗せることも期待できる」と述べました。

そのうえで、参入が相次ぐ中で今後、勝ち残るための条件や競争の展開について、「基本的には消費者の使いやすさが条件になる。呼べばすぐ来てくれるかどうか、アプリの使いやすさ、それに料金のトータルでの競争が進む。まずは連携するタクシーの台数を増やすことが大事だ。最終的には、回数を多く利用する利用者にはスマホを介して、ポイントを還元するとか連携しているレストランのクーポンを渡すといった、ビッグデータを活用したサービスが進むだろう」と述べました。

なぜ大阪でのサービスに力入れる?

各社は、なぜ大阪での配車アプリのサービスに力を入れるのか。それは大阪を訪れる外国人旅行者が多いこと、そして、人口やタクシーの台数が多いことが理由です。

中国の滴滴とアメリカのウーバーは、特に大阪を訪れる外国人旅行者の比率の高さに注目しています。

観光やレジャー目的で日本に入国した外国人が、各都道府県を訪れた割合を示す「訪問率」という観光庁のデータをみると、2016年と17年は東京を抜いて大阪が1位でした。

観光目的で日本を訪れた外国人100人に対し40人以上が、大阪を訪れるという状況がここ数年続いているのです。

背景には、外国人に特に人気が高い観光地である京都と奈良が近くにあるうえに、多くの国際線が乗り入れる関西空港が大阪にあるからです。

こうした中、滴滴とウーバーは、それぞれ、外国人の登録者数の多さから、母国で登録したアプリをそのまま使える強みを生かし、提携するタクシー会社を増やしていきました。

一方、今回参入した「ディー・エヌ・エー」は、大阪の市場の大きさに注目しています。タクシーの台数は、東京のおよそ3万台に次いで全国第2位のおよそ1万5000台。大阪府の人口は東京都、神奈川県に次いで3番目の規模があります。

中国の滴滴とは 米のウーバーとは

中国に本社がある配車サービス大手滴滴は去年9月、日本で最初に大阪で事業をスタートしました。ことし3月の時点で大阪府内のタクシーの登録台数は2000台だということです。

4月に京都と東京に展開するなどして、現在、6つの都道府県に事業エリアを拡大しています。

特徴は中国国内だけで5億5000万人という膨大な利用データの蓄積がある点です。こうしたデータをAIで解析することで、タクシーと利用者を効率的に結び付けるとしています。

また、中国では蓄積したデータによって15分後にいつどこで利用の需要が発生するのか、高い精度で予測できるといいます。滴滴のアプリは中国では広く普及しています。

日本でも中国人観光客がことばの壁を気にせず手軽にタクシーを使いたいというニーズをつかむねらいがあります。

一方、アメリカのウーバーは一般の車に客を乗せるライドシェアのビジネスをいち早くつくりあげたパイオニア的な企業です。

ことし1月時点で世界中で7500万人のユーザーが配車アプリを利用しています。日本ではライドシェアはいわゆる白タク行為として法律で禁じられているため、タクシーの配車サービスに乗り出しました。本格的なサービスを去年9月に名古屋でスタートし、ことし1月から大阪と京都でもサービスを始めました。

特徴としてはアプリが世界63の国と地域でどこでも共通で使うことができる点です。アプリはおよそ50の言語に対応しており、外国人旅行者が自分の母国語でストレスなく、操作することができるといいます。現時点で大阪府内のタクシーの登録台数は550台ということです。

「ディー・エヌ・エー」の売りは?

今回、大阪と京都に新たに参入した「ディー・エヌ・エー」は、AIを使って今後の需要を予測することを売りにしています。

大阪に先行して去年4月からサービスを開始した神奈川県では、時間帯や曜日ごとに、乗客の利用状況のデータを集め、そのデータをAIで解析し、どのエリアで客が多いのかを予測します。

そしてこの予測をもとに、どのようなルートを走れば、効率よく利用客を乗せることができるのかをタクシー1台1台のカーナビに示すことができます。

新人の運転手でも、カーナビの指示どおりにタクシーを走らせることで、売り上げを平均的な金額まで伸ばすことができていると会社では説明しています。「ディー・エヌ・エー」は大阪と京都でもデータを集めてこうした需要予測のサービスを始めたい考えです。

常務「まずは日本人をターゲットに」

会見のあと、「ディー・エヌ・エー」の中島宏常務は、NHKの取材に対し、先行する海外2社の印象について、「海外のユーザーがたくさんいて、そうした方々向けには使い勝手がいいサービスになっていると思う」と述べました。

そのうえで、「われわれは、日本人をターゲットに日本のタクシー業界を研究し、日本人にとって使い勝手のよいサービスを提供していきたい」と述べました。

そして、「激戦区である大阪・京都でサービスを開始するが、海外の陣営に負けないようしっかり頑張っていきたい」と意気込みを語りました。