香港 抗議の若者を警察が強制排除に乗り出す 双方にけが人

香港 抗議の若者を警察が強制排除に乗り出す 双方にけが人
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香港では容疑者の身柄を中国本土にも引き渡せるようにする条例の改正に反対して、11日夜から数万人の若者が中心部の道路を占拠するなど、抗議を続けています。警察は12日夕方になって若者たちの強制排除に乗り出し、警官隊と衝突して複数のけが人が出る事態となっています。
若者は12日、中心部の道路を占拠したり、議会にあたる立法会を取り囲んだりして、「改正案を撤回しろ」などと声を上げて抗議を続けました。

一部は雨傘や鉄柵などを警察官に投げつけるなどして、一時、立法会の敷地内になだれ込んだほか、そのほかの道路でも若者たちと警察との衝突が散発的に起きました。

警察は12日夕方になって、ゴム弾や催涙ガスなどを使って道路を占拠する若者たちの強制排除に乗り出し、双方に複数のけが人が出ています。

香港警察トップの盧偉聰局長は日本時間の午後5時すぎに会見し「一部の参加者が鋭利な鉄の棒を所持するなどしている。公共の安全を損ねる危険な行為を強く批判する」と述べて、市民に対し立法会周辺に近づかないよう呼びかけました。

一方、条例の改正案を審議するため12日予定されていた立法会の本会議は開かれていません。

今のところ、どのように審議が進められるのか不透明で、今後、審議を阻止しようと若者たちが抗議活動をさらにエスカレートさせる可能性があります。

「香港の自由 失われる」「中国の思いどおりに裁かれる」

立法会の周辺に集まった若者たちは「条例改正に反対だ。撤回せよ」「香港頑張れ」などどシュプレヒコールをあげていました。

12日の香港は日中の最高気温が31度の暑さで、時折強い雨も降っていて、参加した若者の中には抗議の演説を終えたあと体調を崩して倒れ込む人もいました。

若者たちは立法会の審議が予定どおり開かれないとわかってからも周辺の占拠を続け、黄色の傘などをさして抗議の意思を示していました。

歩道には雨傘やマスクなどの支援物資を提供する臨時の場所も設けられていました。

日本時間の午後5時ごろには立法会周辺の通りで警察が催涙ガスを使用し、現場で白い煙があがる中、若者たちが目や鼻を押さえながら急いで逃げる様子が確認できました。

抗議に参加した20歳の大学生の男性は「多くの人が集まって心強いと感じる。ただ政府は自分たちの声を無視しているので、みじめにも感じる。中国政府の思いどおりに裁かれるおそれがあり、条例改正に反対だ」と話していました。

30代の女性は「きょうは仕事を休んできました。条例が改正されたら表現の自由など香港の自由が失われてしまう。改正案が撤回されるまで声をあげ続けたい」と話していました。

60代の男性は「香港は返還されてから社会の状況がだんだんと悪化している。中国政府はうそつきで信用できない。集まった若者たちを応援したい」と話していました。

中国 抗議活動の報道はTV画面真っ黒に

中国外務省の耿爽報道官は12日の記者会見で「香港の繁栄や安定を損なういかなる行為にも、香港の主な民意は反対している」と述べ、抗議活動は一部の人々によるものだとする主張を繰り返しました。

そのうえで「中国政府は、香港政府が条例の改正を進めることを強く支持する」と述べ、香港政府を支持する立場を改めて強調しました。

中国本土では抗議活動を行う香港の若者たちの主張は伝えられておらず、当局がメディアの報道内容について規制しているものとみられます。

外国メディアの報道も制限され、NHKが海外向けテレビ放送「ワールドプレミアム」で関連のニュースを伝えた際にも、映像と音声が遮断されて画面が真っ黒になり、報道を通じて政府に都合の悪い内容が伝えられることに神経をとがらせていることがうかがえます。