初の米朝首脳会談から1年 キム委員長 米に不満も信頼関係維持

初の米朝首脳会談から1年 キム委員長 米に不満も信頼関係維持
史上初の米朝首脳会談から12日で1年です。北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長は制裁を解除しないアメリカへの不満を募らせる一方、トランプ大統領に新たな書簡を送り、首脳どうしの信頼関係を維持しながら譲歩を引き出す機会をうかがっているものとみられます。
史上初めての米朝首脳会談は1年前の去年6月12日にシンガポールで行われ、トランプ大統領が北朝鮮に体制の保証を提供する約束をし、キム委員長は朝鮮半島の完全な非核化について断固として揺るがない決意を確認しました。

ただ非核化に向けた具体的な計画は示されず、その後も北朝鮮が、核実験場の閉鎖やICBM=大陸間弾道ミサイルの発射実験の中止など非核化に向けた措置をすでに取ったとして、制裁を段階的に解除するべきだと主張しているのに対し、アメリカは完全な非核化まで制裁を解除しないという立場を崩していません。

ことし2月の2回目の米朝首脳会談が物別れに終わり、制裁は解除されず、北朝鮮としては見通しが外れた形で、先月、1年半ぶりに弾道ミサイルの発射にも踏み切りました。

先週には北朝鮮外務省の報道官が談話を発表して、アメリカが核の放棄にばかり固執していると非難し、「われわれの忍耐にも限界がある」として不満を募らせています。

一方でキム委員長は首脳会談から1年を前にトランプ大統領に書簡を送り、トランプ大統領は「美しく、とても個人的な心温まる内容だった。何か前向きなことが起きるだろう」と述べて評価するなど、首脳どうしの信頼関係は続いています。

キム委員長としては、さまざまな形でアメリカに揺さぶりをかける一方でトランプ大統領との信頼関係は維持し、3回目の首脳会談を実現させるなどして、制裁解除をはじめとする譲歩を引き出す機会をうかがっているものとみられます。

官房長官「合意の完全で迅速な履行を」

菅官房長官は記者会見で「去年6月の米朝首脳会談でトランプ大統領は、相互信頼を醸成しながら非核化の先の明るい未来を共有して相手の行動を促すという新しいアプローチを採用した。その後さまざまなやり取りが続けられているが、重要なことは、朝鮮半島の完全な非核化に向けた北朝鮮のコミットメントを含む、両首脳の合意が完全・迅速に履行されることだ」と述べました。

そのうえで「わが国としては引き続き米朝プロセスを後押ししていく考えであり、今後も北朝鮮の拉致・核・ミサイルの解決に向けて、日米、日米韓で緊密に連携し、中国やロシアをはじめとする国際社会と協力してしっかりと対応していきたい」と述べました。