危険性高い組み体操 大阪府が原則禁止に 市町村にも対応要望

危険性高い組み体操 大阪府が原則禁止に 市町村にも対応要望
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大阪府東大阪市の複数の小学校の運動会で、各地で事故が報告されている“7段ピラミッド”などの組体操が予定され、SNS上で中止を求める意見が相次いでいた中、大阪府教育庁はすべての府立高校などに対し、危険性が高い組み体操を原則禁止とする通知を出しました。府内の市町村の教育委員会にも事故防止への取り組みを要望したということです。
運動会の組み体操をめぐっては、府内の公立の小中学校などで昨年度、骨折を含め383件の事故が報告されています。一方、学校によっては根強い支持もあり、今月には東大阪市内で3つの小学校が7段ピラミッドを行うことが明らかになり、ツイッター上で中止を求める声が相次ぎました。

こうした中、大阪府教育庁は11日、すべての府立の高校や支援学校などに対し「ピラミッド」や「タワー」といった高いところから落ちる危険性が高い組み体操を、原則禁止とする通知を出しました。

また、小学校や中学校などを指導する府内の市町村の教育委員会にも、事故の未然防止に取り組むことなどを要望したということです。

大阪府教育庁保健体育課の田中実課長は「組み体操で、団結力や感動を子どもたちに感じてもらうという意義は承知しているが、事故がいまだにたくさん発生していることを考えれば安全対策は必要だ」と話しています。

ネットに中止求める声も

東大阪市ではことし春の運動会シーズンに4段以上のピラミッドを実施した小学校は15校あったということです。また、今月には3つの小学校では、7段ピラミッドを実施しようとしていることが明らかになり、先月下旬にインターネットのツイッターなどで中止を求める意見が相次ぎました。

その後、3つの小学校はいずれも、7段ピラミッドは取りやめて、段数を6段から3段に減らして、運動会で実施したということです。

このうちの1校の小学校の校長は「組み体操は子どもたちに、協力することや、信頼することの大切さを教えることができる。どんな技を披露するかは、あくまで児童の安全を最優先に決めている」と話していました。

大阪府教育庁がピラミッドなどを原則禁止するよう求める文書を送付したことを受け、東大阪市教育委員会は、「今後、検討を進め何らかの方針を決めていきたい」とコメントしています。

7段ピラミッドの中学校も

東大阪市の中学校では9日開かれた運動会の組み体操で、5段や7段ものピラミッドを披露するところもありました。

このうち保護者が撮影した映像には、グラウンドに散らばった男子生徒たちが5段ピラミッドに臨む様子が撮影されていました。生徒たちは太鼓に合わせて徐々にピラミッドを組み始め、5段が完成すると一斉に顔を前に向けました。映像にはピラミッドの完成後、数歩だけ前に動き出す様子も撮影されていました。

また、7段ピラミッドに臨む様子も写っていて、同じように太鼓に合わせて前方の生徒たちがかがみ込むと、その上に別の生徒たちがゆっくりと上っていきました。周りには転落を防止するためとみられる教師たちが付き添っている様子も確認できました。ピラミッドが成功した際、保護者から拍手があがる一方で、いちばん上に上った生徒が少しふらついている様子も見て取れました。

この中学校に子どもが通っているという母親は、「僅か1か月ほどの練習で、7段ピラミッドなどの大技を披露していて、ずっとひやひやしながら見ていました。学校や教育委員会には子どもの命を守ることを第一に考えてほしい」と話していました。

別競技に変更 段数を低くする動きも

組み体操のピラミッドやタワーで、骨折などの事故が相次いでいることを受けて、大阪府内の学校では、別の競技に変更したり、段数を低くしたりする動きが広がっています。

このうち、大阪・八尾市の八尾高校では、今月13日の体育祭に向けて、組み体操で披露するピラミッドなどの練習を行っています。この高校では、4年前までは、5段ピラミッドと5段タワーを伝統的に行っていました。しかし、全国で事故が相次いでいることを受けて、ピラミッドは3段に下げ、タワーは実施を取りやめたということです。さらにピラミッドでは、負荷がかからないように、2段目の生徒は足を地面につけているほか、練習の際には、常に3人の教員が見守る体制を取っているということです。

男子生徒は、「ちょっとさみしい思いもあるが、高い所から落ちたら怖いので、低いほうが安全でいいと思う」と話していました。また別の男子生徒は「小学生のときに10段近いピラミッドをして、崩れてしまった。けがはなかったが、高すぎたら危ないと思う」と話していました。

八尾高校の藤井光正校長は「高いピラミッドをやめた当時は『伝統的に続けてきたことをなぜやめるのか』といった意見もあったと思うが、生徒の命が何よりも大事だ。ピラミッドは表現力や判断力を高めるのによい教材だと思うが、高くすることでえられるものはないと思う」と話しています。

専門家「子どもの安全を大前提に」

組み体操の安全な実施を求めてきた名古屋大学の内田良准教授は「全国的に具体的な安全対策が進められてきた中で、大阪府でいまだに高いピラミッドが行われていたことに驚きを隠せない」と話していました。

そのうえで、内田准教授は「府がようやく対策に乗り出したことについては一定程度評価はできる。ただ、本来なら規制されるのではなく、学校みずからが子どもの安心安全を考えるべきだ。高さや段数に限らず、低くてもアクロバチックで危険な技もあり、子どもの安全を大前提に考えていってほしい」と指摘しています。