朝乃山 初優勝の要因は春巡業の稽古に

朝乃山 初優勝の要因は春巡業の稽古に
大相撲の平幕、朝乃山が夏場所14日目に初めての優勝を果たしました。今場所の朝乃山は、持ち前の四つ相撲からの力強い寄りに加えて、ひたすら前に出続ける鋭い出足も目立ちましたが、成長を遂げた要因は、春巡業の稽古にありました。

力をつけてくれた栃ノ心

ことしの春巡業は、3月から先月にかけて関西や関東など合わせて25か所で行われました。

朝乃山は、毎日のように上位陣に稽古をつけてもらったということです。特に熱心に稽古相手を務めてくれたのが、14日目に大関復帰の10勝目を挙げた関脇 栃ノ心で、巡業中、多い時には1日に10番ほど相撲を取ってくれたということです。

朝乃山と栃ノ心は、ともに右を差して左上手を取る「右四つ」を得意としていますが、大関経験者の右四つは、朝乃山の想像をはるかに超えていたといいます。

朝乃山は「上手を持つ位置とか、組んでからの顔の動きとか、僕ができていないことをできている。右四つになられた時にはすべて負けた」と、学ぶ点が多かったと振り返ります。

たとえば上手の使い方で、栃ノ心は、まわしの前のほうを取って引き付けることが、力強さにつながっていると実感したほか、四つに組んでから頭を差し手側に傾けることで、重心が安定することにも気付かされました。

その栃ノ心とは13日目に対戦し「上手を取られる前に前に出て行きたい。相手の中に入って、右を差して寄り切る」と、稽古の経験を生かして具体的な対策を立てて臨み、見事に“恩返し”の白星を手にしました。

こうして春巡業で培った寄りの力強さと出足の鋭さが、朝乃山の初優勝の大きな要因となりました。

日本相撲協会の阿武松審判部長も「のびのびとすごい相撲を取った。懐が深いし四つ身ができるし思い切りもいい。力がついている」と評価しました。

高校時代の恩師は心の支えに

巡業での稽古で力をつけてきた朝乃山を支えていたのが、おととし1月に亡くなった高校時代の相撲部の監督、恩師の浦山英樹さんからの手紙です。

この手紙は、葬儀の席で浦山さんの妻から受け取ったといいます。

手紙には「おまえはよく相撲を頑張っている。俺の誇りだ。横綱になれるのは一握り。おまえにはその無限の可能性がある。“富山のスーパースター”になりなさい」などと書かれ、花道で内容を思い出し取組に臨むこともあるということです。

今場所は、初日からつけている化粧まわしにも浦山さんの名前が刺しゅうされ、朝乃山は「いつも土俵上で見守って応援してくれている。『おかげさまで優勝できました』と言いたい。これからも戦っている時は、土俵の上で支えてくれていると思う」と心からの感謝を口にしました。

“スーパースター”への階段の第一歩を上った朝乃山。「令和」の幕開けにふさわしい25歳の初優勝が、角界にも新時代の到来を予感させます。