大相撲夏場所 平幕の朝乃山が初優勝

大相撲夏場所 平幕の朝乃山が初優勝
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大相撲の平幕、朝乃山が夏場所14日目の25日、初めての優勝を果たしました。富山県出身力士の優勝は、大正5年夏場所の横綱 太刀山以来、103年ぶりです。
夏場所は13日目を終えて平幕の朝乃山がただ1人2敗で単独トップに立ち、星1つの差で横綱 鶴竜が追う展開で、25日、14日目を迎えました。

朝乃山は、結び前の一番で大関 豪栄道と対戦し寄り切りで勝って2敗を守りました。

このあと結びの一番で、3敗の鶴竜が、関脇 栃ノ心に敗れたため、26日の千秋楽を待たずに朝乃山の初優勝が決まりました。

朝乃山は富山市出身の25歳。右を差しての四つ相撲が得意で、前頭8枚目で臨んだ今場所は立ち合いの当たりから前に出る圧力が増し、11日目までにふた桁の10勝をあげました。13日目に関脇 栃ノ心、25日、14日目に大関 豪栄道と続けて上位陣を破って、平幕優勝を果たしました。

富山県出身力士の優勝は、大正5年夏場所の横綱 太刀山以来となる103年ぶりです。

朝乃山は、新入幕から11場所での初優勝で、年6場所制が定着した昭和33年以降では、貴花田に並んで8番目に早い記録です。

上位陣の休場や不振が目立った令和最初の本場所は、大器として期待されてきた若手が制し、この6場所で4人目の初優勝力士の誕生となりました。

学生相撲の出身

初優勝を果たした朝乃山は富山市出身の25歳。身長1メートル87センチ、体重177キロの体格を生かした四つ相撲が持ち味です。

学生相撲の出身で、近畿大学4年生だった平成27年には全日本選手権で3位の実績を残しました。

優勝25回を誇る横綱 朝青龍と同じ高砂部屋に入門し、三段目100枚目格付け出しで平成28年春場所に初土俵を踏みました。

おととし春場所には十両に昇進して、富山県出身力士としては20年ぶりの関取になり、新入幕を果たしたその年の秋場所には10勝5敗で敢闘賞を獲得するなど、順調に番付を上げました。

関取になってからは、四つ相撲だけでなく、相手の圧力に負けない強い立ち合いを身につけることを意識して稽古を重ねてきました。

今場所は、得意の右四つになってからの強さに加えて、立ち合いの当たりから一気に前に出る圧力が増し、初日から白星を重ねて初優勝を果たしました。

朝乃山「思い切っていこうと思った」

平幕優勝を決めた朝乃山は、大関 豪栄道に勝った一番について「思い切っていこうと思った。上手が取れなかったが前に出られたのがよかった。いつもなら投げにいっていたと思うが、今回はじっとしておこうと思って左を絞っていった」とほっとした様子で我慢の相撲を振り返りました。

また、きのうの相撲で微妙な判定の末に行司軍配差し違えで勝った栃ノ心に対して、「おめでとうと言われてうれしかったが、半分は、きのうの相撲について謝りたい。もやもやした気持ちは一生残ると思う」と複雑な心境を明かしました。

次の名古屋場所では、三役昇進が期待される中で「三役になれるかどうかわからないが、結果に満足せず稽古をして、まだ上を目指していきたい」と話していました。

朝乃山の父親「愛される強い力士に」

東京 両国の国技館で息子の朝乃山の初優勝を見届けた父親の石橋靖さんと、母親の佳美さんは、打ち出し後に東京 墨田区にある高砂部屋を訪れて祝福しました。

靖さんは「優勝した瞬間は、“やった”とバンザイしました。まさか優勝できるとは思っていなかったので、びっくりしたのと同時にうれしさがじわじわとこみ上げてきます」と話しました。そのうえ、「今場所は全般的に前に出る攻めの相撲ができていたと思います。今回の優勝で、地元にも1つの恩返しができたのではないかとも思います。番付が上がっていく中で、愛される強い力士を目指してほしい」と話していました。

高砂親方「ラッキーを生かしなさい」

朝乃山の師匠の高砂親方は「まだ本人と一緒で実感がわいてきません。横綱 白鵬や新大関の貴景勝がいないという状況はあるし、きのうの一番でも行事軍配差し違えで勝ったが、本人には、そういうラッキーを生かしなさいと言った。よく頑張ったと思う。気を緩めず、あすももう一番勝つという気持ちでいかないといけない」と話していました。

尾車事業部長「価値がある」

東京で行われる本場所の責任者で、日本相撲協会のナンバー2の尾車事業部長は、平幕 朝乃山の初優勝について「よくやったと思う。栃ノ心、豪栄道と上位力士に続けて勝っての優勝で価値がある。今までは攻めながら惜しい相撲で負けていたが、だからこそ花が咲く。地力、本当の力がついたのだろう。けがをせず、成長していけば、大関・横綱も夢ではない」と高く評価しました。

一方で、「14日目に平幕の優勝が決まるのは情けないし、一横綱・二大関には猛省してもらいたい」と上位陣に苦言を呈しました。

また、立ち合いの変化で勝って10勝目をあげ大関復帰を決めた栃ノ心については「気持ちはわかる。横綱になってもおかしくない体なので、これで気持ちを切り替えてしっかりまた頑張ってもらいたい」と期待している様子でした。