月例経済報告 景気判断は下方修正も回復の見方は維持

月例経済報告 景気判断は下方修正も回復の見方は維持
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政府は、公式な景気認識を示す今月の「月例経済報告」を取りまとめました。注目された基調判断は、中国経済の減速を背景に「輸出や生産の弱さが続いている」として判断を引き下げた一方、全体としては「緩やかに回復している」という見方を維持しました。
月例経済報告は、政府の公式な景気認識を示すもので、24日の関係閣僚会議で今月の内容を取りまとめました。

それによりますと、中国経済の減速を背景に「輸出」は弱含んでいて、米中が追加関税を掛け合う貿易摩擦の影響に注意が必要だとしています。
また中国向けの輸出の弱さを背景に、「企業の生産」は電子部品や半導体製造装置などを中心に「このところ弱含んでいる」と見方を下向きに修正したほか、「企業の設備投資」も製造業で投資を先送りする動きがあるとして見方を引き下げました。

こうしたことから基調判断については「輸出や生産の弱さが続いている」という表現を加え、ことし3月に続いて判断を引き下げました。

ただ全体としては「景気は緩やかに回復している」という見方を維持しました。

ことし3月の「景気動向指数」では、基調判断が後退の可能性が高いことを示す「悪化」となる一方、月例経済報告では「回復している」という判断を維持したことについて、内閣府は、雇用や所得環境が改善し企業収益が高い水準にあることなどを挙げたうえで、「直ちに日本の内需が腰折れする状況ではない」と説明しています。

「景気の基調は変わっていない」

茂木経済再生担当大臣は、月例経済報告に関する関係閣僚会議のあと記者会見し、「景気の山や谷の判断は専門家による事後的な検証を経て正式に決定されるが、政府として現時点で景気回復が途切れたとは考えていない」と述べたうえで、ことし10月に消費税率を引き上げる予定に変わりはないという考えを示しました。

また、景気動向指数と月例経済報告で判断が異なっていることについて茂木大臣は「経済の中のどの部分を見るかということであり、決してそごがあるとは思っていない。製造業中心とした生産活動に弱さがみられる状況が景気動向指数に現れた一方、政府の景気判断はさまざまな経済指標の動向や企業の景況感などを総合して判断している。内需を支える基礎的条件はしっかりしていて、緩やかに回復という景気の基調は変わっていない」と述べました。

景気回復維持の根拠は

ことし10月の消費税率引き上げを前にした国内の景気は、今、どういう状況なのか。

景気の基調判断をめぐっては、内閣府が発表する「景気動向指数」と政府の公式な景気認識である「月例経済報告」で見方が異なる状況が続いています。

「景気動向指数」は、景気が上向いているのか、それとも下向きなのかを判断する際の材料になる経済指標です。

ことし3月の「景気動向指数」では、指数の動きから機械的に導かれる景気の基調判断が6年2か月ぶりに、「悪化」に下方修正されました。

中国経済の減速で企業の生産が落ち込むなどしたためで、「悪化」という基調判断は「景気後退の可能性が高い」ことを意味します。

これに対して「月例経済報告」は、さまざまなデータをもとに経済を取り巻く国内外の状況を総合的に判断して、政府としての公式な景気認識が示されます。

政府は、今回の報告で「景気回復は続いている」という見方を維持しました。

その根拠としているのが、国内の需要=「内需」の底堅さです。

今回の月例経済報告では、中国経済の減速や、激化している米中の貿易摩擦といった「海外要因」によって、輸出や企業の生産それに設備投資が振るわない現状は認めています。

その一方で政府は、企業の生産活動のうち、輸出の影響を受けやすい「製造業」は全体の2割にすぎず、残りの8割を占めるサービス業や小売業などの「非製造業」は持ち直しているとしています。

また、ことし1月から3月のGDP=国内総生産で、いずれもマイナスだった「個人消費」や「企業の設備投資」も、長期的な動きで見れば、持ち直しや増加の傾向が続いているとしています。

設備投資は、「日銀短観」などで示された今年度の計画自体は堅調だとも説明しています。

さらに人手不足などを背景に雇用や所得環境の改善が続いていることや企業の収益が高い水準にあるなどとして、「内需」を支える基礎的な条件はしっかりしていて、「内需が腰折れする状況にはない」と説明しています。

政府の景気判断の変遷

「月例経済報告」では、第2次安倍政権が発足して以来、そのほとんどの期間で、景気判断の中に「回復」ということばを盛り込んでいます。

第2次安倍政権が発足して、初めてとなった2013年1月の「月例経済報告」では、「アベノミクス」への期待感から円安と株高が進み、企業の景況感や業績に対する見方が改善していると分析。「一部に下げ止まりの兆しもみられる」という判断を示しました。

その後、上向きの修正を重ね、2013年7月、「景気は着実に持ち直しており、自律的回復に向けた動きもみられる」という判断を示しました。

ここで「回復」ということばが登場しました。

そして、2013年12月には「景気は緩やかに回復しつつある」という判断を示すとともに、デフレ脱却に向けた動きが進んでいるとして、物価に対する判断を見直し「デフレ」という文言を削除しました。

消費税率を8%に引き上げた2014年4月には、駆け込み需要の反動で、消費が落ち込みましたが、景気判断自体は「緩やかな回復基調が続いている」との見方を示しました。

安倍総理大臣が、最初に消費税率10%への引き上げの延期を表明した2014年11月も、消費の弱さを認める一方で、「緩やかな回復基調が続いている」との判断を維持しました。

さらに消費税率引き上げの再延期の方針が表明された2016年6月も、「緩やかな回復基調が続いている」との判断は変わりませんでした。

第2次安倍政権のもとでの景気回復期間は、「バブル景気」や高度成長期の「いざなぎ景気」を抜いたのに続いて、ことし1月には6年2か月に達し、政府は、「戦後最長となった可能性が高い」という認識を示しました。

その後、春ごろからは、中国経済の減速などを受けて景気の悪化を示唆する経済指標も相次ぎましたが、月例経済報告では「景気は緩やかに回復」しているという判断を維持してきました。