イラン外相「米が核合意に違反」対話の状況でないと強調

イラン外相「米が核合意に違反」対話の状況でないと強調
中東のイラン情勢が緊迫する中、日本を訪れているイランのザリーフ外相が都内でインタビューに応じ、アメリカのトランプ大統領がイランは対話を望むはずだとしていることについて「完全に間違っている。アメリカが核合意に違反した」と述べ、現状ではアメリカと対話に応じられる状況ではないと強調しました。
イランのザリーフ外相は16日夜、都内のホテルでNHKなど一部メディアのインタビューに応じました。

イラン情勢をめぐっては、アメリカは中東地域に原子力空母を派遣するなどイランへのけん制を強める一方で、トランプ大統領は15日、「イランは近く対話を望むはずだ」とツイッターに書き込んでいます。

これについて、ザリーフ外相はインタビューで「完全に間違っている。対話を求める前にアメリカのほうが国際的なルールに従う必要がある。アメリカが核合意に違反した」と述べ、現状ではアメリカとの対話に応じられる状況にはないと強調しました。

そのうえで、アメリカが軍事的な圧力を加えていることについて「アメリカにとってもイランにとっても利益はない。彼らにとって自殺行為だ」と述べ、アメリカ側をけん制しました。

また、「アメリカは、ルールを守っている国に懲罰を加えようとしている。アメリカの制裁行為は経済的なテロだ。これを許すことは経済的なテロに加担することになる。各国はイラン産の原油を購入するなどできることがあるはずだ」と述べ、アメリカの制裁に従わず、イランとの経済取り引きを行うよう日本やヨーロッパ諸国などに求めました。

そのうえで、アメリカとの制裁によってイランとの経済取り引きができない状況が続けば、ことし7月には核開発を本格化する措置も辞さないとけん制しました。

また、ザリーフ外相は、17日は中国を訪れ、王毅外相などと会談する予定を明らかにし、友好関係にある中国に経済などの分野で具体的な協力を求めるものとみられます。

ザリーフ外相は16日、安倍総理大臣や河野外務大臣と相次いで会談し、両国の伝統的な友好関係を発展させることを確認していて、イランとしては、日本を含む国際社会との連携を深めることで、アメリカをけん制するとともに事態打開の糸口を探るねらいとみられます。

専門家「G20前に日本にくぎ」

イランのザリーフ外相がこのタイミングで急きょ日本を訪れたねらいについて、イラン情勢に詳しい慶應義塾大学の田中浩一郎教授は「来月、大阪で開かれるG20サミットには、敵対するアメリカやサウジアラビアの代表が参加する。両国によってサミットでの議論や最終文書がイランに敵対的にならないよう、日本にくぎを刺しにきたのだろう」と述べ、サミットの議長国を務める日本に対し、議論がイランに不利にならないよう働きかけるねらいがあると指摘しました。

また、この1か月余りでイラン情勢が急速に緊迫化していることについて「アメリカは、経済面だけでなく軍事面でも威嚇していて、強い緊張状態にある。今後も同等か、いま以上に圧力をかけてくるとみている」と述べて、来年、大統領選挙を控えているトランプ大統領が、支持者に対して成果をアピールするために、イランへの圧力をさらに強化する見方も示しました。

それに対するイランの出方については「イラン側から軍事的な行動を起こすのは自殺行為でありえない」と指摘したうえで、「現状は、みずから譲歩してアメリカとの対話を求める環境ではない。来年のアメリカの大統領選挙までなんとか辛抱を続ける計算をしている」と述べ、当面は双方ともに譲歩せず、緊張状態が続くという見通しを示しました。