小4女児虐待事件 母親が起訴内容認める

小4女児虐待事件 母親が起訴内容認める
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千葉県野田市で小学4年生の女の子が虐待を受けた末に死亡し、両親が起訴された事件で、このうち虐待を止めなかったなどとして、傷害ほう助の罪に問われている母親の初公判が千葉地方裁判所で開かれ、母親は起訴された内容を認めました。裁判は16日で結審し、検察は懲役2年を求刑しました。
ことし1月、千葉県野田市の小学4年生、栗原心愛さん(10)が自宅の浴室で死亡しているのが見つかった事件では、父親の勇一郎被告(41)が冷水のシャワーを顔に浴びせ続けるなどの暴行を加えて死亡させたなどとして、傷害致死などの罪で起訴されたほか、母親のなぎさ被告(32)も暴行を止めなかったなどとして、傷害ほう助の罪で起訴されました。

このうち、なぎさ被告の初公判が16日千葉地方裁判所で開かれ、被告は「間違いありません」と述べて、起訴された内容を認めました。

続いて検察が冒頭陳述で「被告は、夫の勇一郎被告による虐待をおととし9月から認識していた。児童相談所での一時保護を経て、去年夏以降、再び床に正座させたほか、けがをさせるなどしていたのに、これを止めたり問いただしたりしなかった」などと指摘しました。

また、検察官は被告の調書を読み上げる中で、去年の大みそかに家族で年越しそばを食べているとき、勇一郎被告が心愛さんに『もっとおいしそうに食えないのか』と言ったのをきっかけに、浴室に立たせるようになったことを明らかにしました。

さらに、亡くなる数日前からは食事を抜いたり、浴室に夜通し立たせたりする虐待があったことも指摘しました。

一方、なぎさ被告は被告人質問の中で、弁護士から虐待を止めようとしなかったのか聞かれると「夫にやめてと言ったが、胸ぐらをつかまれ、馬乗りになられた」などと述べました。

裁判は16日で結審し、検察は「夫に逆らえなかったことは否定できないが、母親として虐待を認識しながら放置したのは許されるべきではない」として、懲役2年を求刑しました。

これに対し、弁護側は「DV=ドメスティックバイオレンスを受けていたので夫に逆らって行動することが極めて困難だった」などとして、執行猶予のついた判決を求めました。

判決は来月26日に言い渡されます。

事件の経緯

栗原心愛さん(10)が亡くなっているのが見つかったのはことし1月24日の夜でした。

父親から「浴室でもみ合いになった娘が呼吸をしていない」などと110番通報があり、警察と消防が駆けつけたところ自宅の浴室で倒れて死亡していました。

警察は、冷水のシャワーをかけるなどの暴行を加えたとして父親の勇一郎被告(41)を逮捕しました。

10日後、母親のなぎさ被告も逮捕し、心愛さんが日常的に虐待を受けていた疑いがあるとみて捜査を進めました。

その結果、なぎさ被告の供述や勇一郎被告から押収したスマートフォンに残された動画などから、勇一郎被告がことし1月初めにかけても心愛さんに胸の骨を折るなどの大けがをさせていた疑いがあることがわかりました。

検察は、虐待と心愛さんの死因との関係を捜査した結果、心愛さんに食事を与えず十分な睡眠も取らせなかったうえ、冷水のシャワーを浴びせ続けるなどの暴行を加えて死亡させたとしてことし3月、勇一郎被告を傷害致死などの罪で起訴しました。

さらになぎさ被告についても、夫の暴行を止めなかったなどとして傷害ほう助の罪で起訴しました。

なぎさ被告もDV被害か

なぎさ被告は自宅に一緒にいたにもかかわらず暴行を止めなかったなどとして夫の逮捕から10日後、逮捕されました。

捜査関係者によりますと、当時の調べに対して「夫を止められなかった。娘が暴力を振るわれおびえていると、夫が怒って浴室に連れて行ったあと死んでいた」などと供述していたということです。

一方でなぎさ被告も夫の勇一郎被告からDV=ドメスティックバイオレンスを受けていたとみられています。

勇一郎被告は心愛さんへの暴力に加えて、ことしの元日ごろ、自宅のリビングでなぎさ被告の胸倉をつかんで顔を平手でたたくなどの暴力を振るったとして暴行の罪でも追起訴されています。

また、一家は以前、沖縄県糸満市に住んでいましたが、おととしの夏、なぎさ被告の親族が「心愛さんが父親からどう喝を受けている。母親がDVを受けている」と市に相談していました。

糸満市は家庭訪問を行おうとしましたが、勇一郎被告が「千葉に行く準備があり忙しい」などと言って断り、DVについて詳しい調査が行われないまま一家は千葉県野田市に引っ越していました。

おととし11月、心愛さんが児童相談所に一時保護された際にもDVを受けている可能性が浮かび上がりました。

児童相談所が家庭環境を調べるための面談でDVについて尋ねたのに対してなぎさ被告は「ないわけではないです」と答えていました。

また、心愛さんも当時、小学校で行われたアンケートで担任の聞き取りに対し、「お母さんは味方してくれるが、お父さんは保護者だといって言うことを聞かない。沖縄ではお母さんがやられていた」と答えていたということです。

児童相談所の対応も課題に

心愛さんへの虐待をめぐっては、なぜ幼い命を守れなかったのか、児童相談所の対応も問われました。

心愛さんはおととし11月、当時通っていた小学校のアンケートで、父親からの暴力について訴えていました。

心愛さんは「お父さんにぼう力を受けています。夜中に起こされたり、起きているときにけられたりたたかれたりされています。先生、どうにかできませんか」と書いていました。

これを受けて、心愛さんは児童相談所に一時保護されましたが、1か月余りあとのおととし12月下旬に児童相談所は保護を解除しました。

心愛さんは、いったん親族のもとに身を寄せたあと、去年3月ごろには再び両親のもとで生活を始めましたが、児童相談所は自宅を訪問してその後の状況を直接確認することはしていませんでした。

ことし1月、心愛さんをめぐって再び異変がありました。

冬休みのあと、一度も登校しなかったのです。

長期欠席について学校が児童相談所に伝えたのは事件発覚の3日前でしたが、児童相談所は直ちに安否を確認するなどの対応を取っていませんでした。

当時、勇一郎被告は欠席の理由について「娘は家族と沖縄にいるので1月いっぱい休ませる」などと学校に連絡していました。

捜査関係者によりますと、なぎさ被告は「冬休み中に夫が暴行し、娘の体の見えるところにあざができたため外出させなくなった」と供述していたということです。

千葉県は、第三者委員会を設けて児童相談所の対応の問題点などを検証しています。